僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
108 / 245
王道?邪道?乙女なアレ

私とあの冒険者達

しおりを挟む



「貴女なんて大嫌い!」
「そうですか。」


 会場には気がついたら少人数しか残っていなかった。父様は最後までこの場に残ろうと抵抗していた様だけど、私の行動の意味を理解したコウにぃがカリナの父親の方をどうにかしたほうが後々喜ぶだろうと伝えて退室させたようだ。
 確かに父様が動いたら、カリナは斬られるかもしれないから兄上には感謝だわ。

 粉々に壊した指輪の欠片を黙々と封印の瓶へと回収しているとカリナが私に向かってそう言い放つ。
 傷付かないかと聞かれたら面を向かって嫌いなんて言われたら勿論ショックだよ。


「貴女が居なければ私が皆に愛されて幸せだったのに。」
「そんなカリナ様でさえ私という嫌いな人が居るのに、全員が貴女を好きになると?」
「そ、それは‥…。」
「人の好みは千差万別なんです。それこそ皆が全員愛すなんてできないでしょ。」


 もしもそんなことが可能なら魅了チャームでも使っているんじゃないかしら。

 そんなことを話せば、ぐっと口が閉じられる。

 そんな話をしていると、どうやら迷宮のカリナがいたエリアでの冒険者5が血の海に沈んでいたと連絡が入った。使い魔が叫んでいたと報告が入っていたが、カリナがここに現れたので誤報ではないかとなっていたのに。


「カリナ様、どういうことですか!」
「あ、わた、私‥…。」


 その知らせに、カリナが何かを思い出したようにカタカタと震え始めた。あのクソ指輪に囚われてやったことなのでしょう。転生者とはいえ、人に被害をだすのはまだ年齢的にキツイだろう。
 ここで私があっさり治しても良いのだけど‥…。


「カリナ様、光の属性を持つ貴女なら治療出来ますわね。」
「え、あ、でも。」
「話は後で詳しく聞きますから。まだ息があるかもしれません。助けるならヒロイン貴女でしょ!」
「そうよね。私の力が必要なのね。」


 彼女がやる気を出してくれたようで良かった。
 私は転移の紋章を謁見の間の床に書かせてもらう。紋の形は何度か見たから簡単に描くことができるけど紋を描く際に魔力を使う。それが範囲が広ければ広いほど必要である。いくら私の魔力が回復早いとは言え、たった50しかない魔力。兄上と血の契約しておいて良かった。

 50メートル四方に書き込んで、城の同じぐらいの大きさのカーテンにもう一つ描き込む。これで対になった。カーテンを現場に持っていこうとしたら、珍しく魔力の消費が激しかったからか、目眩で立てなくなってしまう。
 時間が惜しいのに。


「私が行きましょう。使い魔と位置を入れ替えますので早いです。」
「あ、ありがとうございます。では紋様を下向きで掛けてください。」
「なるほど。それに礼は入りません。使い魔が鳴いているのに無視をした私達も悪いのですから。」



 学園長がカーテンを持って一瞬で消えた。学園長がいた場所には烏が一匹声をガラガラにして鳴いている。
 ゴメンね。直ぐに対応出来なくて。

 私を支えてくれていたコウにぃは私が徐々に回復してきたのを確認して支えを止めて立ち上がる。


「親父共に会ってくる。お前はくれぐれも誰かと居ろ。」
「お気をつけて。」


 父上達は干渉しないと言っていたのにあってくれるだろうか。

 転移紋の前に座っていたら転移紋が光り始めた。
 到着したようだ。
 周辺が血の匂いに包まれる。血の中には確かに5人の人物が横たわっている。確認のために血に塗れることもいとわずに一人の元に寄ると、意識は無さそうだが息を微かにしているようだった。脇腹を刺されたような状態で部位を抑えていたから出血が抑えられていてまだいきているのだろう。


「カリナ様!」
「どうしよう。準備はできてるけど、手が震えるわ。」
「光のドラゴンさんも手伝ってくれるそうですよ。」
「あ、クレイ。」


 カリナの召喚獣がカリナが不安そうにしているのを感じて側に寄って魔法のアシスタントをしてくれているようだ。

 私は魔力がほぼ戻ったので、別の意味のアシスタントをしておきましょう。
 
 手を転移の魔法陣に当てて、一緒に運ばれた血が元の一人達の身体に戻るように発動する。すると徐々に血が消えて冒険者の顔色は多少良くなる。


「『広範囲治癒オールキュア!』」


 キラキラと辺が暖かな魔力に包まれる。
 冒険者の身体についていた細かい傷も消えて刺された傷もふさがっていく様だ。
 治療はその怪我の場所が、わからないとちゃんとした治癒魔法はつかえない。何故カリナが、状態を見ていないのに刺されていたのか知っているのか。それは先程の動揺も相まって分かりやすい状況だ。


「どうですか。」
「大丈夫。傷は治っているわ。後は目覚めるのをまちましょう。」
「私は、なんてことをしたの。」


 彼女は迷宮で指輪が語りかけるままに魅了の魔法を一人に使った。
 一人仲間になれば祠を攻略するのは楽だし、回答も知っているものが冒険者にいたので簡単に攻略できた。

 そして最後に追いかけられるのが面倒だったから一人づつ呼び出し魅了した冒険者に刺させたのだとか。


 その時はとても楽しくて笑いが溢れたそうだ。
 この魅了した冒険者は魔法も嗜んでいた優秀なひとだった様でカリナがゴールに行くまで幻影で惨状を隠し、最後に自滅して全てが明るみに出たのだ。



 「取り敢えず、後の事はまた明日にでも話し合う事にしよう。今日の事は皆、内密に。」
「はい。」
「カリナ嬢は私が預かります。」


 ホッとしたのか力が抜けたカリナを学園長が連れてゆく。まあ、今は家にも城にも残しておけないものね。
 私は、この指輪に用事があるので。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...