112 / 245
精霊たちの秋祭り
僕と探し子
しおりを挟む「赤子を探してほしい?」
あいも変わらず真っ白な世界には真っ白な円卓があり、4つの椅子とそれぞれの席にはお茶が置かれていた。そんな世界に呼び出されて目が潰れそうなほど美しく若々しい父上達からのお話は、そんなお願いだった。
どうやら精霊界の王の子が行方不明になっている様でその無事を祈る声と恨みの声が父上達にまで届いたのだという。
地上に干渉をしないという信条が一応はあるので、僕達にちょっと調べてほしいとの事だ。
その赤子は最近人間の手によって連れてかれたそう。目撃していた妖精曰く、相手は二人組の男達であり、騎士では無いのに腰に剣が装備してあった所を見ておそらくは冒険者であろうと目星はつけたようだ。
後ろ姿だけ見ただけだったが、精霊達の憎しみを込めた視線は呪いとなり今頃は男達を謎の不調が襲いじわじわと苦しめているだろう。
「そんなことを語っていた。ちなみにその赤子は新緑の様な髪に綺麗な琥珀のような瞳の子のようだ。名前はシャリノアで男の子だと言っていた。」
紫暗父様の優しいアメジストの様な紫色の瞳が少しだけ心配しているように見える。
鼻筋が通り、残虐性のある切れ長の目は一見冷たそうな魔帝王だけどその内面はこうやって心配をしてくれる方だ。
魔王達の上の存在なのにその思想が伝わらないで勝手に神と喧嘩をする魔王共を懲らしめたいわ。
「あの心配の顔はお前にむけているぞ。色々と絡まれるからな。」
「そうだね☆妖精の王様は綺麗物好きだからね☆」
「まあ、愛し子だと知っているだろうから手出しはしないだろうけどな。」
「そう言えば知っているんだよね。」
人形の国ニブヘイムから帰ってきたら愛し子を騙る少女に出会った事があった。その時、精霊は少女の元を離れて魔法が使えなくした事がある。
その時は精霊王には会わなかったが、今回の機会にあのときの礼も含めて挨拶をしたほうが良いだろうな。
「勝手に向こうが敬って来るんだけどな。」
「精霊は自然界が無いと生きられないから、この世界を創った魔神を特別扱いだよ☆」
「日頃から感謝の念や捧げ物とかがとてつもない量だったが、その中でもこの願いは必死さを感じた。だから俺たちにも声が届いたのだろう。」
代理として調べるのは問題ない。
ついでに暫くはシシリーはお休みする予定だ。ムラキの事は父上も見ていて接触があったことも知っているはずだ。なのにひたすらにその話題に触れないと言うことは悪い意味であの男を警戒していると言うことだ。あの聖女の集いで兄上が父上と何をしていたか教えてくれないが、冒険者の魂の復帰の他にきっとこの事も話していたのだろう。
そもそも、そんなに警戒している人物ご何故にこの世界に来れたのか。この状況的に父上達が召喚したわけでは無さそうだけど。
別に関わりたいとは思わないから良いけど。
ふと、視線が向いたのは、僕達四人の空間に居心地の悪さを感じるのかそわそわしている相変わらずの美人さんな女神様だ。彼女は席にもつかずに立ちっぱなしである。
カトレア様は恐縮してしまっているようで、椅子も自分の分は用意していないみたいだ。
このまま長居しても迷惑だろうしそろそろお暇しないといけないな。そう思った時この世界はカトレア様が管理しているのだから精霊王の事はカトレア様に聞いた方が良いのではと思い立つ。せっかくの機会だし帰るその前にカトレア様に妖精王について聞いておこう。
「カトレア様、妖精王ってどんな方です?」
「良くも悪くもとてもマイペースですかね。」
来い来いと手招きをして、僕のために造ったと言われた椅子に座らせるのは酷なので、申し訳ないが上着を床に敷き座ってもらう。
とても遠慮してたが本来なら女性を立ちっぱなしにしてるなんて言語道断なんだよ。しかもいま生きている世界の女神様なのに。
渋々と上着の上に座ってくれたカトレア様に精霊王について尋ねると、先の言葉が帰ってくる。
「マイペース?」
「はい。ほんわかしていると言うより興味が移ろい易いというか。」
「それはそれは。」
「ですが、カリスマ性があるようで色々な精霊たちには好かれているようでした。色々な属性がある中で平等に好かれるのはまさに精霊王と言う名に相応しいかと。」
「会ったことは?」
「数回だけあります。」
人よりは神に接する事があるということかな。
姿を持たない下級の精霊は魔法の手助けもしてくれているのだし、この世界にとっても重要な存在ではある。場所によっては神の眷属と言われている様だし。
マイペースな精霊王が勝手に人々に復讐をしてしまう前にどうにかしないと。
「詳しくは精霊王に聞けばいい。俺らの使いだという分かりやすい印を後でつけておくから、会いに行ってこい。」
「本で見たけどめったに人の世界には来ないって。」
「もうすぐ祭りがあるから大丈夫☆」
祭りとの言葉で思い浮かぶのは今度行われる収穫祭だった。秋の様々な収穫を祝うこの祭りには先祖の霊や精霊が紛れ込む事もあるとかないとか。
まるでハロウィンでも混ぜたかの様な行事だ。だけどこの世界はファンタジーだから実際幽霊や精霊が見れるのだろうなと思っていたけど、まさか精霊王も参加するのか。
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる