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精霊たちの秋祭り
僕と精霊学
しおりを挟む精霊は特殊な件を除いて自然現象の中で生まれて来ることが多いです。花が咲く瞬間や水の弾ける瞬間、炎が散る瞬間に雷が落ちる瞬間。
その時に精霊が生まれ、見えはしないが周りを飛び回っています。
しかし、このただの自然現象で生まれるのは下位以下の精霊達であり、中位や高位はそこに魔素の濃度が絡んできていると言われています。
そして特殊な件と言われるのが精霊の最高峰である精霊王なのです。精霊王は生涯で一度だけ恋をして子を設けます。子は精霊王の子であるとわからないようにその力などを封印された状態の蛹で誕生します。偶に高位の精霊も恋をして子を成しますがそれは本当に稀であり、それも蛹状態で生まれます。蛹と言ってもその姿は人と同じ姿で、いざ危機に陥ったら他人の人の子をおとりに使うなんて物語もありますね。
ちなみに精霊は長生きで数百年とかは軽く過ごしています。
なんてタイムリーなバルスさんの精霊についての授業。
補足をするのであれば、高位精霊は各属性に一精霊ずついる。彼らが子を成すとき寿命が近付いていて次世代を生むという感じだ。
「では、精霊と年に一回会えるかもしれないのはいつでしょうか。はい、アンナさん。」
「収穫祭の日です。その日に蜂蜜酒を置いておくと精霊達が飲みに来て翌日には空になります。」
「その通り。一つ面白い技も教えましょう。一度しかやりませんのでよく見ていて下さい。」
そう言ってバルスさんは両の手の指を複雑に組みそこの中心に出来た穴から反対側を見通すと『シーイング ザ トゥルー アイディンティティ』と呟いた。
あれは化けたものの正体や目に見えないものを見るためのまじないに似ている。僕が知っているのは手を左右で表と裏にしてそしてからバルスさんみたいに複雑に組んで中心の穴から覗いてまじないを言う。
まじない自体の文は異なっているがまさに同じ様な感じだ。
「今回の収穫祭でもしかしたら精霊に出会えるかもしれませんよ。」
その一言を添えたら、慌てて周りがもう一度やって欲しいと言っていたが、宣言通り一度しかやらないつもりの彼はニコニコしたままだ。
授業が終わり、ノアさんの様子が聞きたくてタオシャンの元に行くとアンナが涙を堪えてタオシャンのところにいるのが見えた。
あちらもこちらに気が付くと、キッと睨みつけてきた。涙目なのでそんなに怖くはないけど。
でも、何か怒らせるような事をした覚えは無いのだけど。
「タオシャンの家に行ってドアを破壊したのですって!」
「あ、うん。」
「シシリーの兄だから他の人とは違うと思っていたのにそんな嫌がらせしたなんて見損ないました。」
なんか、誤解してません?
アンナの背後でわたわたと奇妙な踊りをしているタオシャン。首を盛大にブンブンと振り、アンナを止めようとしているようだ。
僕は兄上と目を合わせたあと、頭に血が登っているアンナをどうにか落ち着かせて説明の時間を取らせて貰った。
どうやら、タオシャンが帰ってきたらドアが破壊されて、中は食器が割れて酷い有様だったとしかまだ伝わってなさそうだ。
アンナはそこまでで僕らがタオシャンの家に無理やり押し入ったと思ったらしい。
話しを聞いていくうちに今度は恥ずかしそうに縮こまってしまった。
「大変失礼しました。」
「いや、わかってくれて良かったよ。」
「以前も貴族の方に家を荒された事があったようなので。」
それでお怒りだったということか。
まあ、オレオの様なタオシャンが気に食わない奴がいるのは知っていたけどやることが小癪というかみみっちいというか。
学園一年生だからしょうがないか。
後で治安整備をしている所に通報しておけばすこしは痛い目を見るだろうな。
「それにしてもお父様が回復して良かったわ。」
「うん。シンリ様のおかげだよ。」
「状態は良さそうで良かった。明日学園が休みだからまた様子を見させてもらっても良いかな。」
「分かった。あと、アレの話もするのでしょ?」
「アレ?」
アンナに伝えても良いものかをタオシャンに視線を向けて尋ねると、コクリと頷くのが見えた。
無詠唱で周りに音漏れ防止の結界とそれを感知されないように隠しの魔法をかける。
そうしたあとに、事のはじまりから今度の事などを精霊王のキーワードを無しにして説明をした。
「と言うことはタオシャンはとある偉い方のお孫様ということですか?」
「そう。で、一発殴りたいというので遭うための予定を立てようとしているんだよ。」
「‥…。」
「体調の事もあるから数日様子を見ているというのが今の段階だ。」
「それって私が参加することも可能ですか?」
アンナはタオシャンと仲が良いとはいえ精霊王にあわせて良いものか。この年で分別もついていて人に言いふらさないとはおもうし、このことを利用する姿も思い浮かばない。
だけど今回の事はナイーブの所もあるから今回だけは許可は出来ないな。
「申し訳ないが‥…。」
「いえ、偉い方の名前が出てない段階なのに聞くのは愚問でした。」
「すべてが終わってから向こうの意思やノアさんの意思も聞いてからタオシャンが嫁を紹介するのは良いんじゃないかな。」
「え、よ、嫁?」
あれ、まずいこと言ったかな。
タオシャンとアンナが顔を赤らめて首をブンブン。でも、否定の言葉が無いようだから別にもう嫁と旦那で良くない?
「ね、コウラン殿下。」
「馬に蹴られたくないから帰るぞ。」
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