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精霊たちの秋祭り
僕と精霊たちの祭り
しおりを挟むこの日、タオシャンは緊張のあまり何度も生唾を飲み込んだ。
青空眩しい秋晴れの日、目の前には広い庭と奥に佇むお屋敷がポツん。
庭には数人の人が対峙戦をしているようで豆粒の様な人影の方から声や音が響いている。
屋敷は、昔外から眺めた貴族の屋敷とは違いさほど大きくはないが、人の視界に入る場所にステンドグラスが設置されていて目を楽しませてくれている。
豪華ではないが色彩を楽しませてくれるとても暖かな家である。
そんな屋敷に花束とプレゼントを手に今決戦が幕を切る。
「で、無事にアンナ嬢と婚約できたんだ。」
「うん。義理父がとてつもない圧だったけど精霊の属性で愛するものはただ一人だと伝えたら『お前以外娘を嫁に出来るものは居ない!』って許してくれた。」
「良かったね。」
収穫祭の余韻を残しつつも僕達は学生なので直ぐに日常に戻される。数日見なかっただけなのに今回の祭りで大人びた者もいれば、馬鹿みたいな姿になっているものも居る。一番変化があったのがタオシャンであったのだが、本人は何も変わっていないようにに振る舞っている。
平民が実は精霊王の孫だったと今や知らない人は居ない様な状況だ。タオシャンを虐めていた者は気まずそうにしていたり、おどおどとしていたりそれなら最初からやるなよと呆れるばかりだ。
「タオシャンも引っ越すって聞いたけど。」
「ああ、うん。国の偉い人が精霊王の血筋がこんなところにいてもらったら困るって言ってね。」
「あんなところってコウラン殿下が企画整備した所なのにね。」
「コウラン様には内緒にしておいてね。」
タオシャンは今度から高級区画に引っ越しに行くことなっている。本人達は管理出来ないから今まで通りで良いと言っていたのだが、それだと国の威信に関わると文句をいうものたちがいたのだ。
申し訳ないけど引っ越して貰うことになってしまったのだ。
「でも、アンナ嬢の家と近いのだろ?」
「な、まぁ、そうなんだ。」
えへへと嬉しそうに笑う姿に良かったなと声だけを掛けておく。
今日も一緒に投稿してきたようだしこのまま大人になってもそのままであって欲しいな。
ちなみに教室にはタオシャンをよくいじめていたオレオもいるが、悔しそうに睨むだけで手出しはしてこなさそうだ。さすがのオレオも立場の変わったタオシャンに手を出す勇気はないらしい。
「見る目が変わったのに疲れたよ。」
「暫くしたら皆もタオシャンもなれるよ。」
「早くアンナと婚約したこと広まんないかな。」
「それなら、ほら、いちゃついてきたら良いだろ。」
「アンナが可愛くて辛い。」
グッてりとするタオシャンの視線の先には令嬢と、和気あいあいと談笑しているアンナの姿。シンリとしてはまだ出会って数日なのに惚気けるのはその惚気けを周りに聞いて欲しいからだろう。
甘んじて受ける気も無いので彼女の所に押しやろうとしていたら以外と力強くその場に居た。
そこまでして惚けたいのかと思っていたら本来の話はどうやらアノ精霊の事の様だ。
「闇の精霊くんはどうなったの。」
「ん。僕に謝った所で許す気はないよ。」
「こっちにも来ているようだけど蛹の僕じゃあわからないよ。」
「彼は何がいけなかったかまだわかっていないからね。」
精霊王との面会の後、僕は精霊を軽く無視をしている。闇の精霊が発端といえ周りも連帯責任である。邪眼を発動していないので見えている訳ではないがどうやら頻繁に謝りに来ているようで、精霊の効果で僕の家の花壇を始め自然エネルギーが活発のように感じる。
謝るにしても順番って肝心だよね。
人間を下に見て使い捨てのように思っているような精霊は要らないに決まってる。他の精霊から話しを聞いても彼のその性格は昔からのようだし、やっぱり止められなかった事をみてお仕置き続行だな。
本来なら周りをふよふよと飛んでいる精霊も僕の意思を感じて遠目に寂しそうに飛んているのを見た。だからといって中位精霊に文句を言えるわけでもなくただ単にしょんぼりしている。
「ここ二、三日の魔法が元気ないって話だよ。」
「しょうがないだろう?アンナに一度も心から反省して謝りに行ってないんだよ。」
「何でわかるの。」
「それは秘密。だけどアンナに謝りに行ったら許しの合図が有るはずだけど。」
暇そうだった魔神の二人に頼んだなんて口が裂けても言えない。
そのプレッシャーもあって僕のところに来ているようだけど闇の精霊がやらかした相手は僕じゃないだろ!
でもいい加減、鬱陶しいのでこうやってタオシャンとしゃべってヒントというより答えを出しているのだけどね。
追申だけど、アンナには身の回りでおかしな事があったらまじないをやるように言っている。闇の精霊にはあえてないが他の精霊とはだいぶ仲が良くなった様だ。
まさか、このあと闇の精霊がアンナの元に謝りに行くのに更に3日要するなんて思ってもいなかったけど。
「そういえば、父さんが覚醒の儀式をするって。」
「へぇ。やっぱり覚醒するんだ。」
「うん。人と精霊の架け橋になればって言ってたよ。国にも大体的に次期精霊王って言われちゃったし。」
当日は僕も兄上も見に行こう。
話には聞いていたけど初めて見るもんな。何ならバルスさんも連れてって文献をまとめて発表して貰おう。
脳内のバルスさんが『また仕事が増えた!』と頭を抱える姿をして、小さくクスリと笑った。
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