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春の訪れと新入生
僕と新入生君
しおりを挟む「そもそもあの場から逃走しなければ危険もなく帰れたはずなのに。」
「だ、だって地面が移動していたのだぞ。」
「それでもお前より頭の切れる者が居た。」
「母に早く薬を渡したかったんだ。学生のお前が簡単にこなすならぼくだって‥…。」
「彼らはチート級なので参考にはならないのですよ。」
本物チートは兄上だけだけどね。
僕はただの経験値がもともと持っていただけですので一緒くた二しないでもらいたいな。
日も昇ったしどんな方法かよくわからないけど今頃は薬も届いて居るだろう。こちらの薬は回収して置いてどうにか帰ろうかとおもったけどどうやらうまくいかないようだ。
近くの人の気配が何かに気がついた様にいきなりこちらに真っ直ぐ向かってきている。このスピードは弟君を騒がせないで連れて逃げるには間に合わない。
僕とアキさんは弟君の前に立ち背後に彼を隠す。彼は僕達の雰囲気がただ事で無いことを察したようでカタカタと恐怖に震えている。念の為に短剣を弟君の方に投げて僕は双剣を取り出し構えた。
そうしている内に謎の集団の一人が草をガサガサさせながら現れた。全身をフードとマントで覆われた姿に、小さめの斧が両手に装備されている。腰には他の者たちと同じように剣を携えていた。体格を見るに男の様だ。
こちらはアキさんとは違ってフードで顔がほぼ隠れていて表情は確認できなかったが僕といいう見た目か弱げなものが居るのを見かけて舌なめずりをしているだろうな。実際はこの森にも入れる実力なんだけど。
「こんなところで何をしているのかな?」
「あんたも何者?」
「おやおや、気の強いお嬢さんだ。それに赤髪のお兄さんも目が怖いね。」
赤髪と言われた事で今がフードが取れていると分かったアキさんは一瞬だけ怯んだが背後の震える少年の姿に剣を構える姿勢は変えなかった。
目の前の男の仲間がいつこいつが居ないことに気が付いて探しに来るかもわからないし、こいつ自身が仲間を呼ぶかもしれない。
今なら油断しているので簡単に捕らえられそうだ。
叫ばれる前に動けばいい。その考えは二人で同じだった。僕がわざわざカタカタと恐怖に震えているように見せればフードの下の口が心底愉快だと言うように笑う。
ということは僕の方に意識がいっていると言うことで、それを理解したアキさんが地を駆けて男が気が付いたら既に懐に入り込んでいた。
ひゅっと大声を出そうとしているのを喉を剣を持つ手とは逆の手で抑えこんだ。かひゅっと空気の抜ける音がして、力のない何を喋っているかわからない小さな声が発せられる。
そのまま容赦なく剣の柄でみぞおちに衝撃をたたき混んで動きを制したアキさんは慣れたように剣をしまい、呼吸もままならない男を担ぎ戻ってくる。
「場所を離れましょう。」
「うん。男の持ち物を虎の血痕の所に置けば時間も稼げるでしょう。」
「ええ。得物と服の切れ端に指でも置いていきますか。」
男を地におろして、手を踏みつけ動かないようにすると口に男のマントの端を突っ込み悲鳴が出ないようにしてから問答無用で‥…。
野生動物にでもやられたように偽装するため、切断面を石で潰して本体から血が滴らないようにカバーして気絶した男を再度抱えてから移動の準備をする。
僕は一連の行動を信じられない物をみた様に固まる弟君の元に行き手を差し出す。
「ほら、行くよ。」
「なんで。」
「生き残るためだよ。」
この何では予想がつく。
『なんでここまでするの』だろ?
回答は言ったように生き残るため。
これから僕達はこの地を出るために動かなくてはならない。そのためにこの謎の集団に追いかけられるのは得策じゃない。だからといって連れて行くだけならこの男を探す者たちがいずれ僕達の存在に気が付く。
ならば死んだ事にしたほうが色々とたすかるのだ。
大丈夫。今の所は出る手立てがたったら開放するよ。
まあ、正気でいられるかはわからないけど。
「さあ。」
「‥…分かった。」
「アキさん、僕が先導でいいかな。」
「分かりました。お願いします。」
「そうだ。アキさんの髪、夕陽の様で僕は好きだよ。」
「!」
アキさんは慌ててフードを被ったけど、本当に綺麗な髪だとおもう。隠すのが勿体ない。何か事情があるのだと思うけどそれを引いても綺麗だと思う。
弟君の手を引きながら暗器を使い気配を探しながら移動する。やっぱり不思議なことに僕達が近寄ると獣や弱いモンスターは逃げてゆく。僕に関しては現地実習で角ウサギが襲い掛かってきたのでとくに影響指定ないと思う。と言うことはやっぱりアキさんが原因なのかな。
そういえば人形の国に行ったときも山賊は襲ってきたけどモンスターは襲ってこなかったな。
楽だからまあいっか。
もう一つ気になるのはこの静かになった弟君だ。
目の前で死を目の当たりにしてショックを受けているようだけど、ちゃんと持ち直しているようだし。
「どうして今回は無謀なことをしたのさ。」
「辺境伯子息には関係ない。」
「まあ、関係ないけど。お母さんが悲しむと思うよ。自分のせいでって。」
「そんなことはっ‥…無いよ。恨んでるさ。」
急に声を荒げたあと、しょんもりとポツポツと語りだした。
今回の伯爵夫人の怪我は弟君が採ってきて欲しいと頼んだ物のせいだと言うことだ。
だから弟君は自分のせいでこうなったと思って自分で責任を取ろうと考えた様だ。ちょうどよく、魔法にも自信があって伯爵に褒められる位の剣術も持っていた。だから、最初は伯爵の帰りを待っていたけど焦れて自分で動こうと思ったのだ。
でも、僕達の行動を見ていて覚悟が足りないことを実感した。
魔法も経験も同年代なら良い方というだけだと知ったのだ。
「心配をかけたことを謝りに行かないとな。」
「心配?」
「だって黙ってついてきただろう。心配しているさ。」
「そ、そうか。」
「この先に休めそうな所があるから休憩するぞ。弟君。」
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