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春の訪れと新入生
僕と謎の集団
しおりを挟む弟君、もといモンド君と正体不明の男を連れて数時間後、洞窟の様な所を見つけた。洞窟の中にはモンスターや動物などはいなさそうだが、生臭い空気が奥から流れてきている。もしかしたら戻ってくるものが居るかもしれないので、片手を出入口に向けて結界を張っておく。ただ単に張るのは面白くないので一見ではわからないように張って見る。
謎の集団もこちらに来るかもしれないので明らかに結界なんて張ってあれば不審に思うだろう。ということで、入口の両脇に要になるそこらへんの石を置いてから結界を張る。我々に危害を加えるかもしれないものは排除をするように設定する。
ついでのオプションで防音と保温も追加しておこう。
洞窟の奥にはなにかの骨と肉の残骸、それから草で作られた寝床があったそこから考えるにここは何者かの寝床であり、戻ってくるかもしれないと言うこと。だけど今は結界を張ってあるので今ここにいなければ入ってこれない。
匂いは少し生臭いのを我慢すれば良い。
気絶している男を床に置き荷物検査をアキさんに頼んだ。隠し武器なんて仕込んで居るかもしれないし、自殺用の薬を持っているかもしれないからね。
僕は息切れしているモンド・グレン・ヘタリーチェに冷たい飲み物を渡してあげていた。僕と兄上の空間魔法に入れていれば時間経過が無いので劣化はしないし、こういった冷たいものや熱いものなどはそのままで提供できる。時間経過が欲しい物、ワインとかはそう意識して入れないと熟成してくれないのが難点だ。
「シンリ様、何か模様の入った大量の紙と財産なのか宝石をいくつか持っていました。」
「この紙って札じゃないか。」
「ふだ。」
空きさんが持ってきたのは属性毎に分かれた札の数々。
ここの世界では使われない様な術式なのでこれが魔法のような物が放てるなんて想像もつかないだろう。アキさんからみたらただの紙にしか見えないのか。
アキさんにモンドを頼んで、今度は僕が男を鑑定する。
***
クワイエット・トワイス (48歳)
性別 男
種族 人
魔力 100
称号 無能力者 世界の理不尽に打ちのめされし者 ムラキの配下 始まりの集団のメンバー
魔法属性 無し
***
「ん?」
こんなところでまさかの名前が見えた。
ムラキの配下って書いてある事はあの謎の集団はムラキの配下と言うことか。更にあの札はムラキが用意したとわかる。それならこの世界の術式とは異なるものを使っていた理由も分かった。
そして無能力者という表示はその名の通り無能力者なのだ。魔法が使えずスキルもない。それでも剣で身を立てているものも居るが、それがすべての人ではない。ちょっと悔しいのは僕よりも魔力があることだ。だって僕の魔力50だもの。
そういう者に別世界の術式の札を与えて何を考えているのか。
絶対に善意ではない事はわかる。
あと、謎の集団が始まりの集団なんて恥ずかしい名のメンバーだと分かった。なんでこういった奴らって変な名前の集団名をつけるのだろうか。大体的にいうわけにもいかないからB集団でいいかな。うん。B集団かムラキの下僕で良いか。
鑑定で分かったことをアキさんに報告しながら移動で疲れた身体を癒やす。
兄上が迎えに来てくれると言っていたけどできればグランドオールの入口にまでは戻りたい。ここの位置から入口の方向さえわかればどうにかなるのだけど。
「コウラン殿下と同じように飛んでみたらどうです?」
「確かに僕も飛べはするけど、方向はわからないと思う。」
「なぜ。」
「あれは結構な地域把握能力があってこそ方向がわかるんだよ。」
そう。飛び上がって森の入口がわかるなんてそんな簡単な事ではないのだ。地図を覚えていてもそれを現実に当てはめて方向を確定させるなんて似たような景色の森でなんて難しい。しかも、最大な魔の森であるグランドオールなんて僕には無理かもしれない。方位磁石もここでは役にたたない代物だ。前世の樹海みたいだな。
「こうなったら森の主でも探したほうが早いか。」
「精霊に助けを求めたくてもここは‥…。」
「うん。精霊も迷っているよね。彼らは出られなくても困らないだろうし。だからこの森の食物連鎖のてっぺんの奴に会いに行くのさ。」
こんな場所でも精霊は存在する。
だけど永く生きる精霊は出入口など気にしないでふよふよしているのだ。一等最初に確かめたが『出口を教えて』と聞いても可愛く『わかんない』と言われる。
これだったら出口を探しつつ主も探してお話できたら出口を聞くで良いかな。
この新入生もあんまり長く学校を休んだら勉強についていけないだろう。
「この者はどうしますか。」
「鑑定もしたし縛ったままこの巣穴に放置しよう。ここに住んでいる子が食べてくれるさ。」
「仲間が先に来たらどうしましょうか。」
「奴らの目的も主だったはずだからこんな奥までは見に来ないと思うけど一応カモフラの魔法はかけておくよ。ここの住人には見えるように設定して。」
その時、男が目を覚ましたのかこちらを向いて何やらムームー話している。
一度試しに口の布を外すとまるで盛りのついた動物の様にキーキーギャーギャー喚いている。
『こんなことをしてただで済むと思うな』とか『いずれ公開するぞ』などなど。始まりの集団について聞いても良かったが、関わりあいたくないと言うのが本音だ。だってムラキが絡んでいるのだろう?
ムラキがこの世界で何かを企んでいるとだけ分かったから良いかなって。もしも、魔神や兄上が絡んでいたら容赦しないけど今の所は様子見しかないかな。
再度男の口に布を突っ込み魔法をかけて僕達は洞窟を後にする。
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