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勇者という存在がもたらすもの
僕と旅道中 嘆きの幽霊
しおりを挟む「本当に他の冒険者が喜んでくれて良かったよ。」
「まさか滅多に出ないキングディアラを単独で仕留めるとはな。」
今日はシス兄様と荷台に乗っているシンリです。
あのときコウにぃが捕まえたのはその警戒心や強さによって珍しい存在だけど遭いたくない熊型モンスターであるキングディアラだった。額に王冠の様な模様が特徴で冒険者達も間違いないと言っているのでこのモンスターで間違いないだろう。鑑定は流石にしなかったよ。
で、このキングディアラは肉の質がとても良く、王室に献上されるほどの物らしい。そんな肉を好きに持っていけと冒険者に提供したからまた盛大に盛り上がった。肉ばかりで女性陣に悪いなと思ったけど コラーゲンが豊富で肌がぷるぷるになるのだと喜んでいた。
何なら見張りなどやらなくて良い何て言い出したので、流石に勉強にならないからといってむりやりそのまま見張りをさせてもらった。皆さんが分け合ったのにも関わらず余った残りの肉は空間魔法で保存しといたが、うちのチート達が野営の度に狩りをしていたら邪魔でしょうがない。どうせなら骨も残らず滅してくれればいいのに。
数日前の皆から惜しまれながら別れた姿を思い出す。
そうあの冒険者の野営地はだいぶ前にでてきている。だけどご飯の度にキングディアラの肉を見るたびに思い出してしまうのだ。
「美味しいけどな。」
「美味しいんだけどね。」
ここにいるメンバーから分かると思うけど、今日の御者はコウにぃだったりする。アキさんは魔獣のためにただいるだけの存在になりつつある。流石に数日一緒に居たからかテイマーさんが覚えこませた人以外が御者でも言うことを聞いてくれる様になった。アキさん曰く本当はそんなこと無いらしいけどそれは僕達だからだろうと。なんとも解せぬ。
まあ、魔獣の僕達への対応は三者三様で僕には甘えた、コウにぃには直立不動、シス兄様にはなんか諦めた様な感じである。一番安定しているのはアキさんだけどね。
「おい。あれが例のやつじゃないか。」
兄上の言葉に窓から顔を覗かせるとまだ小さく見えるが祠があった。そこからは嫌な気は感じないが確かに何かが居るのがわかる。キュルンと邪眼を発動すれば普通なら見えない物が目に写る。二人のはずの魂が時間経過のせいか一つに混じり合ってしまっているが互いをささえあっている様で安定していた。
ただ単に嘆きのと言われるだけ悲しみの色が強い存在だ。そして彼等は確かに幽霊という存在の様だ。
「寄るか?」
「そうだね。お願い。」
祠の手前に少し開けた場所がある。休憩したりこの祠に埋葬したりなどのためのスペースである。そこに休憩がてら馬車を止めて僕は祠のほうにむかう。邪眼の発動を止めてうつむき嘆く存在は互いを抱き合うような姿をしていて体は完全に一体化しているようだ。首だけが二人分あり今はシクシクと泣いている。
「こんにちわ幽霊さん。」
『だ‥…れ‥…。』
「僕は冒険者だ。今は休憩中でね。泣いているのが見えたから話だけは聞けるから声をかけたんだ。」
『はな‥…し。』
「うん。話せば少しはスッキリするかもよ。」
『‥…きいてくれ‥…る?』
「もちろん。」
幽霊の名前はサラート夫妻。ご夫婦で冒険者をしていたらしい。死ぬ直前の記憶は曖昧だが何かに追われていて襲われたのは覚えているという。
死んだあとにはこの場で二人で立っていたそうだ。妻はやたらと喪失感が感じられて常に落ち込んでいた。それを夫が支えるようにいたそうなのだがそのうち体が混じり初めてしまったのだという。別にそれで困る様な生活はしていないがただ単に心が酷く沈むのだという。
そっとサラート夫妻の体をみると二人の合わさった手は体の中心を守るように混ざっている。
「僕達はここから近い音の国に行くのだけど。」
『ミュージア!ワタシ達もそこにむかっていた。』
「その道中で襲われたんだね。」
『たいせつなものおいてきた‥…気がする。』
「じゃあ、一緒に行ってみる?」
『えっ。』
見たところ地縛霊的ものとは違うみたいだし移動は簡単だろう。なにかに取り憑いて貰えばいいのだ。流石にこの首2つの状態じゃビビってしまう人も居るだろうから普段は取り憑いているものに隠れて貰うことになるが、なんで成仏できないかは判明するかもしれない。
『いいの?』
「うん。どうせミュージアに行くのだから足にはなってあげるよ。」
『じゃあいきたいわ。そこに行けばこのぽっかりがうまる気がするの。』
「わかった。じゃあ皆に言ってくるね。」
少しは嘆くのが止まったかな。
休憩している皆の所に行くと事情を説明する。
ミュージアで手掛かりが見つからないかもしれないかもしれないときはどうするのかなんて話も出たがその時はまたここに戻すことで決着がついた。
そして取り憑いてもらう物はシス兄様の武器に宿ってもらう事になった。最初は僕の身体でもかそうかなと思っていたのだが、それは皆に阻止されてしまった。だけど話しを聞いていた僕に対しての信頼があるようで憑きやすいみたいだった。いろいろ試した結果からシス兄様の僕が送った槍に取り憑く事になったのだ。
心配性の皆も武器ならばと落ち着いた。
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