僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕と音の国

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仲間が増えて?出発してから半日ほどで音の国ミュージアの国に入る関所についた。関所では僕達と同じように勇者という言葉に釣られたのかなかなかの列が出来ている。前にいくつも馬車がいてしばらくはこのまま待機しなければならなそうだ。
  勿論それは馬車の者たちだけではない。徒歩で来る人や一度中から出た冒険者も長蛇の列を並ばないといけないようだ。

 この様子だと国の宿屋もほぼほぼ埋まってしまっているだろう。
 僕達はシス兄様の友人が家に招待してくれたので宿探しは不要になったがそれがなければ大変だったことであろう。

 と言うわけで別に急いで中に入る理由は無いためゆっくりと馬車で待たせて貰うことにする。ついでに提出する書類は用意済だ。


「今の馬車が移動する速度だと一時間はかかるね。」
「友人には連絡用の魔法を飛ばしといた。」
「シス兄様の友人楽しみだな。」
「‥…それなんだけど。」
「友人?」
「いや、そっちじゃなくてシス兄様って呼び方はこの場ではなんか合わないだろう?シス兄と呼んでくれないか。」


 確かに様付けで呼んでたら高貴な人みたいで狙われるかもしれないし、様付けはやめたほうがいいな。アキさんにも僕やコウにぃを様付けしないようにお願いしないと。


「わかったよシス兄。」
「うしっ。」


 なんか凄く喜んでガッツポーズらしき事をしている。
 年齢的に父様母様の呼び方も恥ずかしゲフンゲフン‥…変えてもいい頃だろう。跡取りはもう結婚するし僕も冒険者兼公爵家補助として家を出ることになりそうだから甘えてばかりではいられないな。今度帰ったときは父さん母さんで良いかな。

 頭で色々考えながらアキさんにも様付けを止めてくれるように伝えると、とても悔しそうだったが僕達の身の安全のためだと止めてくれた。その後からまだ慣れないからか吃りながらの僕やコウにぃへの名前を呼ぶアキさんの姿が見られた。関所を通るまで暇だったので呼び方についても話し合う。
 コウランと言う名前は知る人が居れば元とはいえ王族の者だと分かるのでコウと言う呼び方をすることにした。

 なんては話しをしていると扉にノックがされた。まだ関所から位置としては離れているのだが何かあったのかと扉を開くとそこにはアキさんと衛兵の格好をした男たちが居た。


「ほう。獣人はこの男だけか。」


 何を言っているのだこの男は。

 代表格の様な男がアキさんを見つめて忌々しそうに睨みを効かせている。確かにドラゴニュートのハーフではあるがそんな目で見られる様な人じゃない。


「そうだとしても何か問題でも?」
「この国では住居が人と獣人下等と分かれているのだ。」
「た、隊長!」
「じゃあ、仲間なのに別になるというわけ?仲間をそんな言われ方するなんて許せないけど。」
「いえ、入れま‥…。」
「黙っていろ!獣人の方の関所は誰もが入れるぞ。」


 だからそちらにいけということか。
 偉そうにぞろぞろ連れてきたと思っていたが何人かは愚行を止めるためについてきたと言う感じか。止められていない時点で役立たずなのだが前の列の人達のフォローに走っている様子なので彼等の事は責めないでおこう。

 この隊長がとても面倒くさいがこちらの関所の先にシス兄のご友人とやらがいるのだから行くしかないのだ。
 シス兄とアイコンタクトをして場所を代わるとなにかの手紙を隊長格に見せている。その手紙を最初は胡散臭そうに見ていた彼が段々と顔色を変えてゆく。最後にはゴマすりの様に両手を合わせて馬鹿げた様にニコニコとしている。


「ま、まさかラウルス侯爵子息のご友人とは。いま直ぐに入れるように手筈を整えて来ます。」
「順番を追い越すつもりはない。」
「そうですか。で、では前の者たちの処理をはやくしてきますね。」
「ああ。見ているからな。」
「はい!」


 シス兄のご友人はこの国では結構な有名人と言うのがわかった。
 さっきまで難癖つけていた隊長が先頭に向かって走り出した。これで少しは早くなるかな。
 やれやれとその後ろ姿を眺めていると共に来ていた衛兵の若者が耳栓をアキさんに渡して居るのが見えた。一体何ごとかと尋ねると、ここ数年人の領地で奏でられる音楽が獣人には煩いと苦情が来ているのだという。

 2、3年前にはそんな事はなかったのだがそれで先程の隊長のように以前から獣人が気に入らなかった者たちが獣人にはこの素晴らしい音楽がわからないのだと見下しているのだとか。だが、実際は人族も何人かから文句が来てはいるようなのでそんな訳はないと思っていた。しかしもしも体調を崩しては何だからと彼等は密かに耳栓を渡して隊長に内緒で普通に関所を通しているそうだ。耳栓もただではないがそれでこの国を楽しんでくれるのならと活動をしているようだ。

 耳栓をありがたくいただき、先をみると我々が待たされているという事実のほうがまずいと判断したようでどんどんと先に進むようになった。耳栓をくれた衛兵に御礼を述べていよいよ、音の国ミュージアへ入国することができるようだ。


「綺麗な所だね。」
「ああ。観光の前に友人アイツの所に行くぞ。」


  まあ、入国して問題がでたのはアキさんではなくて僕とコウにぃだったのだけどね。




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