僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕と国の異変

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 とりあえず巨体から開放された僕は他の人達と共に屋敷に案内された。城下にある屋敷にしては庭も広いし屋敷も大きい。それは軍人の家系である彼等の修行スペースでもあるからだと聞かされて庭と言う割には殺風景だったので納得する。

 屋敷の中は落ち着いた色調で統一されていて木の彫刻なども飾られている。だが、さすがは芸術の国に住む住人と言ったところかエントランスホールには巨大な絵画が飾られていた。闇夜の姿の中に描かれて居るのはの血のように紅い月だった。その月は城のシルエットを際立たせ怖いながらも圧巻を感じさせる。


「それは曽祖父が描き残したもので、曽祖父の愛しの方の姿を描いているそうだ。」
「凄い絵ですね。」
「うむ。」


 じっくりと絵を鑑賞したあとは長旅で疲れただろうと部屋に案内された。シス兄の友人宅で襲われるということは無いはずだが、向こうが気を利かせてくれたのかたまたまなのか四人部屋になっていた。だけどベッドを動かしたと言う形跡がないからもともと四人部屋なのは間違いなさそうだ。

 この部屋も悪趣味にキンキラ指定なくて落ち着いた黒檀の設えのいい部屋だ。コウにぃも満足な様子で同じく黒檀を加工して作られたベッドをまじまじと見ている。もしかしたらでなくこの部屋の調度品が気に入った様子なので後々にラウルス侯爵にどこで仕入れたか聞く気だな。

 
コンコン


 控えめのノックの音がしてそのままこちらの返事を待っている。ちゃんと教育されているお世話係の様で安心だ。
 ちょっと前にディーレクトゥス家の嫁を救いに行ったときは、ノックと同時に入る人がいてシシリーとして行った身としてはバレないかヒヤヒヤとしたものだ。服で胸を隠して甲高い声を上げれば大抵の人は出て行ってくれたけど中にはそのまま観察しようとする者も居て、何人か兄上が殴ってたな。

 思い出はさておき、こちらの反応を待ってくれている人に悪いので返事を返して中に入ってもらう。


「お食事をご用意しました。それとクラウス坊ちゃんがこの結界についてお話しを聞きたいと申しております。」
「わかった。ありがとう。」
「ご案内をしますので、準備が出来ましたらお声掛けください。」
「準備は大丈夫だ。クラウスを待たせたくないしな。」
「それでしたらこちらにどうぞ。」


 話というのなればこの話しも聞きたいだろうなとシス兄の槍も携えてお世話係の案内のもと食堂へと移動した。食堂にはすでに3人の人物が待機しており、机には湯気の登る暖かな料理が用意されていた。3人の人物のうち一人は言わずもわかる通りクラウスさんで残りの二人はクラウスさんに似た年配の男と若い、といっても僕らよりは年上の女性であった。

 僕達が部屋に入ってきたのを確認した三人が席を立ち座るように勧めてくる。主催の主の言うことを素直にきいて席に座ると、三人もまた席について自己紹介をしてくれた。年配の男が現当主のニコラス・ゼウス・ラウルス。その隣の女性は次期当主のセシリア・ニコラス・ラウルスだそうだ。このラウルス家はその時代で強いものが当主になるのだという。セシリアさんは長年のラウルス家で最強と言われる実力者だそうだ。


「お食事にお招きありがとうございます。」
「いえ、これは感謝の印です。」


 クラウスさんが深々と頭を下げる。それを見て他の二人も少し遅れたが頭を下げた。こちらとしてはいきなり頭を下げられて意味がわからないので説明をお願いするしかない。

 顔を上げた彼等からはここ数年の屋敷の住人達の体調不良の話を聞かされた。
 最初は軽い頭痛や目眩だったのだという。
 疲れが溜まっているだけかなと思っていたが段々と症状が酷くなり中には立ってられないほどの辛い状態のものも出て来た。

 そのうち、当主や次期当主まで頭痛と目眩に悩まれ始めた。他の者たちに比べて症状は軽いものの光が過剰に眩しく感じるなど戦いに身を置くものとしてはまさに弱点だらけのこの症状は、現役を退く覚悟をし始めた程だった。
 クラウスさんがこの屋敷に戻ってきたのも次期当主の座を交換しようとしたからだそうだ。
 しかし、兄上の屋敷を囲う程の結界チートの発動から体調が徐々に戻り今では以前の状態に戻ったのだという。

 そのきっかけであったコウにぃに感謝とどんなことをしたのか知りたくて食事をセッティングしたのだそうだ。


「街でも同じような症状で苦しむ者もいる。特に獣人達の被害は冗談で済まされないほど酷いのだ。」
「俺たちもこの国に来てから似た症状を発症した。彼等に助けられたけどな。」
「彼等とは先程の‥…。」
「サラート夫妻の事です。」


 シス兄の槍から二人で一つの存在が現れる。
 さすがは軍人の家系の屋敷か本来なら悲鳴を上げてもおかしくはない見た目なのに誰一人、執事や侍女を含め微動だにしなかった。
 サラート夫妻はそれについて嬉しかった様子。とはいえ彼等のことは説明しなくてはならないだろう。
 夫妻とであったきっかけから彼等の嘆き理由でこの国に連れてきた事まで知っている内容のすべてを話した。サラート夫妻に害意を持っていない彼等だからこそそこまで話すことが出来る。

 すべてを話したあと改めて頭を下げるラウルス侯爵家の人々。
 これは僕達にでなくサラート夫妻にだろう。


「貴方がた夫妻のお陰で大切な家族が元気になりました。貴方がたの探しもののお手伝いを是非にもさせていただきます。」
『あ‥…りがと。』
「あと、出来れば貴方がたの知る今回の予想を聞かせていただきたい。」


 その言葉にサラート夫妻は口を開いた。


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