僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕はこの街に起こっていることを予想する

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『恐らくは‥…この賑やかさが‥…原因、かと。』
「賑やかさ。」
『コウモリ型モンスターと退治した‥…ある?』
「‥…そういうことか。だがしかし‥…数年前には何もなかったのだぞ。」


  ラウルス侯爵が頭を抱える。
 街で起こっている事がその街の観光の目玉であることは間違いない。芸術の国とも呼ばれる音の国ミュージアはその名の通り音楽で賑わいを見せている所もある。色とりどりの街並みも確かに素晴らしいが、そこに音が合わさって感動を運んでいるのだという。
 しかし、数年前から突然起こりだしたと言うのは確かに不思議だ。
 長年の蓄積でと言うのなれば僕達には起こらないはずで。そいうことはこの2、3年で何かが変わったということか。勇者の話しは最近だから勇者には関係なさそうだ。


「三年前と言ったら王が変わった頃か。」
『王が変わったのか‥…そうか。』
「貴方がたはいつからその状態に。」
『もうすでに15年は、過ぎようか‥…。』


 それは長い年月だったろうな。自我を保っていたのが不思議なほどだ。
 
 それよりもその原因の音が2、3年から始まっているしかもその年代に王が変わったというのは偶然なのか必然なのか。
 ラウルス侯爵が王城を少し調べてみると仰ったので無理をしないように頑張ってもらうことしよう。


 これは僕の考えだがきっと王は何かしら関わっているだろう。そうなると勇者の件も何か裏がありそうだ。観光がてら勇者を見ようと思っていたがどうやら勇者を気にしながら観光になりそうだ。
 そもそも獣人と人族の住み分けをしているのは何でだろうか。僕達の国ではそんなことをしたことないのだけど。


「この溢れんばかりの音が原因だ。」
「獣人にとっては煩いのだろう。だから間の防音壁が挟まれたのだ。」
「でも国からは出ていかないの?」
「出ていけない、いや、出て行かせないのだ。」


 この国の獣人達が作り上げる木工細工が他国で高値で売れるのだという。この屋敷の彫刻や客室の黒檀の調度品も彼らが造ったものでコウにぃが気に入るほどだから、察してもらいたい。だからこそこの国を出ていかれると困るため態々防音壁を作ったり税金を安くしたりしてより良い隣人となっていたのだ。しかし、ここの最近の獣人への扱いが悪くなっているし件の『煩い』問題。しかも出国しようとすると莫大な税金を払わされるという。

 
「それは酷いね。」
「彼等は本当に良い人達だ。せっかくの旅行だ。明日でも是非に案内しよう。」
「ありがとうございます。サラート夫妻も一緒に行こうね。」
『あり、がとう。』


 となると僕はやることが出来てしまった。
 
 この原因不明の騒音被害にもう二度とあいたくないのだけど結界を張り続けているわけにはいかない。僕達は良いのだけど街でずっと張りながら移動していて入れない所があるかもしれない。なのでこの魔法を術式に変えて持ち歩く御守みたいなのを造ろうと思う。簡単な術式にして大量生産すればこの被害の原因が止められなくてもクラウスさん経由で拡散出来れば被害も軽減できるだろう。
 
 作製初期理由はあくまでも僕と兄上の被害回避なんだけどね。


「あと、エリシスに頼まれていた勇者の話だが‥…。」
「貴方がたも勇者に興味があるのか。」
「当主様はお会いしたのですか。」
「ああ。一度だけ。身なりは綺麗にされていたがまだ成人したてのそこの二人と同じ子供だった。」


 そこのというところで僕と兄上を見たと言うことはだいたい年は10~13歳ぐらいと言ったところか。

 まだ家族が恋しい年頃だろうに離されてかわいそうに。


「勇者は成人の儀でたまたまエクスカリバーだったと言われている剣を抜いたのだ。それが不運の始まりだな。」


 この国ではかつてモンスターの大量発生に悩まされた事があった。そのときに街の一人の青年が聖剣エクスカリバーを携えてモンスターを駆逐してくれたのだという。最後青年はエクスカリバーを地面に突き刺し勝利に喜んで消えていった。それ以降誰もエクスカリバーを抜く事が出来なかったのだが、国に不穏が広がるなかで抜くものが現れたという。
それが今勇者と呼ばれる子供であった。

 国に広がる不穏があの体調不良だったりそれ以外もあるとして確かに勇者が必要とされて現れたと勘違いしているかもしれない。そもそも、その体調不良が国で起こされて居ないのならいいのだけどね。


「王城にはその勇者の保護者と知人が勇者と会わせろと抗議をしているが会わせてもらえないようだ。」
「なぜ?保護者何でしょ?」
「修行中だと言っているが、王が何かを企んでいるのかもしれない。」
「クラウス。証拠を掴んでから暴れろ。」
「‥…御意。」


 さすがは軍人か。その威圧感はとてつもない。周りに控える侍女たちが冷や汗をかいている。
 そうそう。お食事はバッチリとお話しをしながら頂いてますよ。冷めてしまったら作った方に申し訳ないですからね。


「確か、シンリくんでしたよね。」
「はい?」
「後でお話しを二人でしたいのですが。」


 セシリアさんが口元を優雅に拭うと僕を指名して来た。その視線はサラート夫妻の方を向いているので何か気がついたけどこの場では言えないということ。しかも僕以外でははばかれる内容だと言う意味を持つだろう。僕はそれに二つ返事で返した。




 
 



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