僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
157 / 245
勇者という存在がもたらすもの

僕はこの街に起こっていることを予想する

しおりを挟む



『恐らくは‥…この賑やかさが‥…原因、かと。』
「賑やかさ。」
『コウモリ型モンスターと退治した‥…ある?』
「‥…そういうことか。だがしかし‥…数年前には何もなかったのだぞ。」


  ラウルス侯爵が頭を抱える。
 街で起こっている事がその街の観光の目玉であることは間違いない。芸術の国とも呼ばれる音の国ミュージアはその名の通り音楽で賑わいを見せている所もある。色とりどりの街並みも確かに素晴らしいが、そこに音が合わさって感動を運んでいるのだという。
 しかし、数年前から突然起こりだしたと言うのは確かに不思議だ。
 長年の蓄積でと言うのなれば僕達には起こらないはずで。そいうことはこの2、3年で何かが変わったということか。勇者の話しは最近だから勇者には関係なさそうだ。


「三年前と言ったら王が変わった頃か。」
『王が変わったのか‥…そうか。』
「貴方がたはいつからその状態に。」
『もうすでに15年は、過ぎようか‥…。』


 それは長い年月だったろうな。自我を保っていたのが不思議なほどだ。
 
 それよりもその原因の音が2、3年から始まっているしかもその年代に王が変わったというのは偶然なのか必然なのか。
 ラウルス侯爵が王城を少し調べてみると仰ったので無理をしないように頑張ってもらうことしよう。


 これは僕の考えだがきっと王は何かしら関わっているだろう。そうなると勇者の件も何か裏がありそうだ。観光がてら勇者を見ようと思っていたがどうやら勇者を気にしながら観光になりそうだ。
 そもそも獣人と人族の住み分けをしているのは何でだろうか。僕達の国ではそんなことをしたことないのだけど。


「この溢れんばかりの音が原因だ。」
「獣人にとっては煩いのだろう。だから間の防音壁が挟まれたのだ。」
「でも国からは出ていかないの?」
「出ていけない、いや、出て行かせないのだ。」


 この国の獣人達が作り上げる木工細工が他国で高値で売れるのだという。この屋敷の彫刻や客室の黒檀の調度品も彼らが造ったものでコウにぃが気に入るほどだから、察してもらいたい。だからこそこの国を出ていかれると困るため態々防音壁を作ったり税金を安くしたりしてより良い隣人となっていたのだ。しかし、ここの最近の獣人への扱いが悪くなっているし件の『煩い』問題。しかも出国しようとすると莫大な税金を払わされるという。

 
「それは酷いね。」
「彼等は本当に良い人達だ。せっかくの旅行だ。明日でも是非に案内しよう。」
「ありがとうございます。サラート夫妻も一緒に行こうね。」
『あり、がとう。』


 となると僕はやることが出来てしまった。
 
 この原因不明の騒音被害にもう二度とあいたくないのだけど結界を張り続けているわけにはいかない。僕達は良いのだけど街でずっと張りながら移動していて入れない所があるかもしれない。なのでこの魔法を術式に変えて持ち歩く御守みたいなのを造ろうと思う。簡単な術式にして大量生産すればこの被害の原因が止められなくてもクラウスさん経由で拡散出来れば被害も軽減できるだろう。
 
 作製初期理由はあくまでも僕と兄上の被害回避なんだけどね。


「あと、エリシスに頼まれていた勇者の話だが‥…。」
「貴方がたも勇者に興味があるのか。」
「当主様はお会いしたのですか。」
「ああ。一度だけ。身なりは綺麗にされていたがまだ成人したてのそこの二人と同じ子供だった。」


 そこのというところで僕と兄上を見たと言うことはだいたい年は10~13歳ぐらいと言ったところか。

 まだ家族が恋しい年頃だろうに離されてかわいそうに。


「勇者は成人の儀でたまたまエクスカリバーだったと言われている剣を抜いたのだ。それが不運の始まりだな。」


 この国ではかつてモンスターの大量発生に悩まされた事があった。そのときに街の一人の青年が聖剣エクスカリバーを携えてモンスターを駆逐してくれたのだという。最後青年はエクスカリバーを地面に突き刺し勝利に喜んで消えていった。それ以降誰もエクスカリバーを抜く事が出来なかったのだが、国に不穏が広がるなかで抜くものが現れたという。
それが今勇者と呼ばれる子供であった。

 国に広がる不穏があの体調不良だったりそれ以外もあるとして確かに勇者が必要とされて現れたと勘違いしているかもしれない。そもそも、その体調不良が国で起こされて居ないのならいいのだけどね。


「王城にはその勇者の保護者と知人が勇者と会わせろと抗議をしているが会わせてもらえないようだ。」
「なぜ?保護者何でしょ?」
「修行中だと言っているが、王が何かを企んでいるのかもしれない。」
「クラウス。証拠を掴んでから暴れろ。」
「‥…御意。」


 さすがは軍人か。その威圧感はとてつもない。周りに控える侍女たちが冷や汗をかいている。
 そうそう。お食事はバッチリとお話しをしながら頂いてますよ。冷めてしまったら作った方に申し訳ないですからね。


「確か、シンリくんでしたよね。」
「はい?」
「後でお話しを二人でしたいのですが。」


 セシリアさんが口元を優雅に拭うと僕を指名して来た。その視線はサラート夫妻の方を向いているので何か気がついたけどこの場では言えないということ。しかも僕以外でははばかれる内容だと言う意味を持つだろう。僕はそれに二つ返事で返した。




 
 



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

処理中です...