僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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勇者という存在がもたらすもの

僕と獣人の葛藤

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「それで状況は?」 
「こちらの住人の多くが倒れて意識不明でした。」
「そこまでひどいとこな御守でよくなるかな。」


  門の前のストライキ組が返してくれたもののそんな状況は僕や兄上のときとは比べ物にならない位酷い。
 そしてどうにか話せる人から聞いたのは国の愚かな行動だった。
 2、3年前から謎の頭痛の症状が現れそれが徐々に拡大してゆく中、何人かは城に陳列書を提出したらしい。だけど返答は『変なことをいうと罰を与えるぞ。』だった。この症状から職人は集中できずに作品ができずに獣人特有の繊細な感性の作品が少なくなってきた。国はこの細工の輸出の値段を吊上げ、なおかつ獣人達の税金も少しずつ上げ始めた。仕事もできず金だけがむしり取られていくなかで不満はたまりいよいよ爆発しそうになったときに現れたのは勇者の存在だった。

 しかも勇者は職人や冒険者に良くしてくれていた女将の子供。この子が国に害する者を退治として対することになってしまったら。
 あの門の人達も関係することだけど言えないよな。

 今回兄上達がとある工房の元に行くと中は加工に使う木と火がある中職人達が頭を抱えて倒れていたのだという。火が轟轟にたかれていたため室内は熱く中の人の避難をしていたら、クラウスさんがこの騒ぎでも誰も見に来ない静けさに不安かんを持ち他の所も見てみると、人々が倒れていたのだという。とりあえず結界を発動したが何やら兄上の様子もおかしい。とりあえず僕の持つ試作品を貰いにきたと言うことらしい。


 しばらく移動していると中心に兄上が居てクラウスさんが倒れている人を介助している現場にたどり着いた。兄上の耳についていたイヤーカフが壊れている。そのせいか術に集中出来ないで不安定の様だ。結界を僕が受け継ぎ範囲を拡大してゆく事にして兄上から魔力を借り今ある結界をそのまま利用させてもらう。結界範囲外の人のために奔走している住人達もその事に気がついた様で行動が緩やかになり、足を止めて見学する人も出てきた。


「今、獣人達こちらと城はあまり関係が良くない。結界はあまり知られたくない。」
「もう遅いとは思うけど城の手前までにして隠形を追加してみる。」


 クラウスさんの言葉にアキさんの話を聞いてきたからなんとなく理解してしまった。もうすでに兄上の魔力を感知している可能性はあるがそれはどうとにでも対処をしてもらって今は僕がすることはバレないようにしないと。
 薄く空気に馴染ませるように結界を広げてその中に居るものに御守と似た効果が発動するようにしてみた。勿論結界外の人に違和感を感じさせないように隠形の技も乗せて。
 学園でも似たような事はやったけど今回は規模が違う。
 ふうと息を吐き作業が終えたら兄上の元に向かう。
 兄上は冷や汗をかいていて顔も青白い。手を握ると思っていたよりも冷たくてまさにあの症状だ。壊れたイヤーカフはどうやら兄上の魔力に耐えきれなかったように見えるので結界を張ったときにその魔力で壊れたのだろう。

 空間魔法から道具を取り出すと今度はそんなことが無いように調整しながら修復して再度耳に取り付けてみる。
 ほっとしたような表情に変わっているので多少は回復をしているようだがここまで来ていると完全に回復までは時間がかかるだろう。
 倒れている人達も結界のお陰様で起き上がる人もいたがまだ調子が戻らない人もいる。


「コウにぃ大丈夫?」
「この術でも届くなにかがあるようだ。御守なら発動者に#害する_・__#不調和音が聞こえないのだろう。」
「ああ。結界をすり抜ける不調和音があるとそういうことか。」
「今は御守の術式を練り込んだからそのうち回復すると思うけど。」


 御守をつくるよりこっちのほうがお手軽だ。
 だけどずっとこうしてもいられないのが現実なんだよね。原因はまだわからないけど同じ国に住む人々の落差が激しすぎる。


「オレたちは来週までに作品を納めないと莫大な税がかけられる。」


 片手で眉間を抑えた狼の獣人の男がよろよろと立ちあがった。
 ボサボサの毛並みの男はそのまま工房入ろうとするのを一旦やめさせて頭をさっぱりさせるべく冷たい飲み物を与えてみた。頭痛に響くようなキンキンに冷えているものではないが。飲み物を男が一口飲むと目をかき開き一気に煽った。


「頭の靄がすーと抜けるようだ。それに今は変な煩い音がしなくて気分が良い。」
「その納税の話を聞きたいのだけど。」
「城の宰相が通達を出したんだよ。来週の勇者をお披露目する式典までに彫刻を50に細工を20、王族に渡す特別製を5個用意しろとさ。出来なかったら税金は今の数倍だ。そうなりゃ奴隷になるやつも出てくる。」


 3年前の体調なら余裕だけどよ今はきついぜ。
 そう言っている男は悔しそうな表情だ。倒れても作業をしていたのはそういうことだったのだ。僕やシス兄の視線がクラウスさんに向けられた。
 しかしクラウスさんは何も聞いていないのかただ首を横に降るだけだ。


「逃げないの?」
「逃げる?逃げるにもとてつもない金を関所に払わないとならない。そもそも職人がこの自分の城を手放したら終わりだ。」
「そう。体調が良くなれば大丈夫なの?」
「もちろんだ。」
「じゃあ、協力するよ。だけど今日だけは身体を休ませてやって。」


 そういえば男はきょとんとしていた。長年の間晒された体調を戻すのは難しいかもしれないが今からこの結界内にバフをかけまくって一日で元の状態とまではいかなくても近づけさせる。そしてこの結界を来週まで持続させて邪魔をさせない。終わってからゆっくりと養生してもらおう。

 結界のお陰か少しずつ起き上がる人が出てきたなかで狼の獣人の男がよくわからないがと言いつつも説明をしてくれているようだ。その間にバフ、持続回復、身体強化、精神強化etc等など…もりまくっておく。

 あとは‥…


『ずっと継続させるのは辛いだろ。わたし達を要代わりに使いなさい。』
「サラート夫妻‥…。」
『大丈夫。わたしたち二人ならどうにか持たせられるし子供の情報も得られるかもしれないだろ?』
 

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