162 / 245
勇者という存在がもたらすもの
僕と獣人の葛藤
しおりを挟む「それで状況は?」
「こちらの住人の多くが倒れて意識不明でした。」
「そこまでひどいとこな御守でよくなるかな。」
門の前のストライキ組が返してくれたもののそんな状況は僕や兄上のときとは比べ物にならない位酷い。
そしてどうにか話せる人から聞いたのは国の愚かな行動だった。
2、3年前から謎の頭痛の症状が現れそれが徐々に拡大してゆく中、何人かは城に陳列書を提出したらしい。だけど返答は『変なことをいうと罰を与えるぞ。』だった。この症状から職人は集中できずに作品ができずに獣人特有の繊細な感性の作品が少なくなってきた。国はこの細工の輸出の値段を吊上げ、なおかつ獣人達の税金も少しずつ上げ始めた。仕事もできず金だけがむしり取られていくなかで不満はたまりいよいよ爆発しそうになったときに現れたのは勇者の存在だった。
しかも勇者は職人や冒険者に良くしてくれていた女将の子供。この子が国に害する者を退治として対することになってしまったら。
あの門の人達も関係することだけど言えないよな。
今回兄上達がとある工房の元に行くと中は加工に使う木と火がある中職人達が頭を抱えて倒れていたのだという。火が轟轟にたかれていたため室内は熱く中の人の避難をしていたら、クラウスさんがこの騒ぎでも誰も見に来ない静けさに不安かんを持ち他の所も見てみると、人々が倒れていたのだという。とりあえず結界を発動したが何やら兄上の様子もおかしい。とりあえず僕の持つ試作品を貰いにきたと言うことらしい。
しばらく移動していると中心に兄上が居てクラウスさんが倒れている人を介助している現場にたどり着いた。兄上の耳についていたイヤーカフが壊れている。そのせいか術に集中出来ないで不安定の様だ。結界を僕が受け継ぎ範囲を拡大してゆく事にして兄上から魔力を借り今ある結界をそのまま利用させてもらう。結界範囲外の人のために奔走している住人達もその事に気がついた様で行動が緩やかになり、足を止めて見学する人も出てきた。
「今、獣人達と城はあまり関係が良くない。結界はあまり知られたくない。」
「もう遅いとは思うけど城の手前までにして隠形を追加してみる。」
クラウスさんの言葉にアキさんの話を聞いてきたからなんとなく理解してしまった。もうすでに兄上の魔力を感知している可能性はあるがそれはどうとにでも対処をしてもらって今は僕がすることはバレないようにしないと。
薄く空気に馴染ませるように結界を広げてその中に居るものに御守と似た効果が発動するようにしてみた。勿論結界外の人に違和感を感じさせないように隠形の技も乗せて。
学園でも似たような事はやったけど今回は規模が違う。
ふうと息を吐き作業が終えたら兄上の元に向かう。
兄上は冷や汗をかいていて顔も青白い。手を握ると思っていたよりも冷たくてまさにあの症状だ。壊れたイヤーカフはどうやら兄上の魔力に耐えきれなかったように見えるので結界を張ったときにその魔力で壊れたのだろう。
空間魔法から道具を取り出すと今度はそんなことが無いように調整しながら修復して再度耳に取り付けてみる。
ほっとしたような表情に変わっているので多少は回復をしているようだがここまで来ていると完全に回復までは時間がかかるだろう。
倒れている人達も結界のお陰様で起き上がる人もいたがまだ調子が戻らない人もいる。
「コウにぃ大丈夫?」
「この術でも届くなにかがあるようだ。御守なら発動者に#害する_・__#不調和音が聞こえないのだろう。」
「ああ。結界をすり抜ける不調和音があるとそういうことか。」
「今は御守の術式を練り込んだからそのうち回復すると思うけど。」
御守をつくるよりこっちのほうがお手軽だ。
だけどずっとこうしてもいられないのが現実なんだよね。原因はまだわからないけど同じ国に住む人々の落差が激しすぎる。
「オレたちは来週までに作品を納めないと莫大な税がかけられる。」
片手で眉間を抑えた狼の獣人の男がよろよろと立ちあがった。
ボサボサの毛並みの男はそのまま工房入ろうとするのを一旦やめさせて頭をさっぱりさせるべく冷たい飲み物を与えてみた。頭痛に響くようなキンキンに冷えているものではないが。飲み物を男が一口飲むと目をかき開き一気に煽った。
「頭の靄がすーと抜けるようだ。それに今は変な煩い音がしなくて気分が良い。」
「その納税の話を聞きたいのだけど。」
「城の宰相が通達を出したんだよ。来週の勇者をお披露目する式典までに彫刻を50に細工を20、王族に渡す特別製を5個用意しろとさ。出来なかったら税金は今の数倍だ。そうなりゃ奴隷になるやつも出てくる。」
3年前の体調なら余裕だけどよ今はきついぜ。
そう言っている男は悔しそうな表情だ。倒れても作業をしていたのはそういうことだったのだ。僕やシス兄の視線がクラウスさんに向けられた。
しかしクラウスさんは何も聞いていないのかただ首を横に降るだけだ。
「逃げないの?」
「逃げる?逃げるにもとてつもない金を関所に払わないとならない。そもそも職人がこの自分の城を手放したら終わりだ。」
「そう。体調が良くなれば大丈夫なの?」
「もちろんだ。」
「じゃあ、協力するよ。だけど今日だけは身体を休ませてやって。」
そういえば男はきょとんとしていた。長年の間晒された体調を戻すのは難しいかもしれないが今からこの結界内にバフをかけまくって一日で元の状態とまではいかなくても近づけさせる。そしてこの結界を来週まで持続させて邪魔をさせない。終わってからゆっくりと養生してもらおう。
結界のお陰か少しずつ起き上がる人が出てきたなかで狼の獣人の男がよくわからないがと言いつつも説明をしてくれているようだ。その間にバフ、持続回復、身体強化、精神強化etc…もりまくっておく。
あとは‥…
『ずっと継続させるのは辛いだろ。わたし達を要代わりに使いなさい。』
「サラート夫妻‥…。」
『大丈夫。わたしたち二人ならどうにか持たせられるし子供の情報も得られるかもしれないだろ?』
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる