163 / 245
勇者という存在がもたらすもの
僕と職人との約束
しおりを挟む突然槍から出てきた霊に驚き慄く人がいる中で狼の獣人の男が身を乗り出してきた。先程の対応を見る限り彼がリーダー格の様で間違いないだろう。彼に事情を説明していると周りもさすがは獣人か聞こえていたようで最終的には涙を流して聞き入ってくれた。ここまで話が聞けるというのは回復してきたといういい意味で捉えておこう。
シス兄の武器でもあるのでこのまま要として使うのも何なので少し工房を借りる事にした。サラート夫妻の取り憑く物が僕と縁のあるものが良いと言うことで簡単ながら傍から見たら要の様に見えないものを作成する。もしも城から派遣された兵士が壊すかもしれないしね。
黒檀の端材があるのでこれを使わせて貰い、パッとみに木細工に見えないほうが良い。四角い土台に板をはめ込み手のひらサイズでもしもの時に隠せたり出来る感じのもの。土台にはめ込む板には壊れないように紋も書き込みこの結界の維持のための魔力を膨大なコウにぃと繋げつつも空気中からも補給できるようにして。
ちゃんとヤスリもかけたりとかもしてみたり。
そして出来たのが‥…
「位牌か?」
「位牌みたいだね。」
まあ、幽霊(仏様)を入れておくって用途では間違いはないけど。
しかもこんな異世界じゃいくら転生者が多いとはいえ用途を知っている人も少ないだろうしいいごまかしになっているのではないだろうか。
「ということにしとくのか。」
「うん。」
まじまじと完成形を眺める皆を他所にサラート夫妻に取り憑き先を変えてもらう事をしてもらってその置物を雑貨の端に置かせてもらう。ここにおいて置けば森に気を隠すようなもので紛れるだろう。
結界を展開して時間が経ってきたのでどうにか目覚める方達が多くなってきた。その状況下でも未だに音が聞こえている獣人がいるので彼らには御守で強化をかけておくと大丈夫の様なので渡してもらう。
こちらに住む家族達には悪いが今は職人達の運命がかかっているので我慢してもらう事にした。
「もしも来週までに納品できたときのメリットは?」
「今まで納税できなかったやつの免除と音の軽減だ。」
「うん。材料は大丈夫?」
「実はそっちが少し心持たない。」
「これって使えるかな。」
黒檀ではないが空間魔法を手に入れてから試しに取り込んだ木々がある。時間経過の練習もしていたので乾燥しているのもある。種類はミズキやエンジュなど何種類か用意してある。その様々な木に目を輝かせて職人が手に取る。
「くれるのか。」
「勿論。だけどその代わりにすべてが終わったら黒檀の家具を注文しても良い?」
「それはこちらも願ってないことだ。」
どうせ使い道はほぼない木だったし捌けるのなら使ってくれて構わない。
あとはこの国の本元にある思惑をどうするかな。勇者を使って脅しをかけているようだし勇者の思惑も気になる。
女将さんも心配しているのがわかるのでこれは。
「しばらく僕は屋敷で篭っているね。だから彼等のフォローはお願い。」
「フォロー?俺等は観光しているだけだ。」
「くふ。そうだね。観光だね。」
篭るで分かると思うけど僕はしばらく城で情報集めをする予定だ。ラウルス侯爵家が侵入できない所を観光させてもらおうかな。
サラート夫妻にあとを頼み多少元気になった職人と僕達は工房の整理整頓を行う。明日から本格的に活動をしてもらうので作業がしやすいようにしとこうと思ったのだ。あくまでも作業をしやすくするための片付けだ。
何事もそうだが作業をするときにはある程度整頓していたほうが効率が良くなるからな。
そうこちらの工房の整理整頓としている途中で門の方の団体にも再開した。この職人街で起こっている事を説明するとさらに城に怒りをつのらせているようだ。今は行動を控えるようにお願いをして先程御守を返してくれた冒険者に改めて御守を渡す。
ふと時間を見るとお昼がすぎていた。兄上は食事は出来ないかもしれないがほかのアキさんやクラウスさんもお腹が減ったことだろう。
職人達はお昼も用意してあるだろうけど僕たちはどうしようかと思い、ちょうど良かったので彼等にきいてみることにした。
「それにしてもお腹が空いたのだけど良いご飯屋はない?お持ち帰り可能な所の。」
「それならわたしの所だね。直ぐに準備するから持っていきな。」
「本当?ありがとう。」
「この女将さんのご飯は国一旨いぞ。」
「なんだい世界一だろ。」
「あ、そうだっけ。」
「たく。まあ、まっていな。」
「女将さん!」
あるき出した女将さんを呼び止めた。
女将さんが食事の用意をしてくれる様なので任せようとしたとき、調度城に侵入するのでもしも勇者に出会ったら手紙を渡す事を思いついたのだ。無論女将さんには侵入ではなくたまたま城に行くことになったと伝えてある。
女将さんの顔がクシャリと歪み目尻に涙が浮かぶ。本当に勇者が心配なのだろう。
女将さんは涙を拭って笑顔を浮かべると『急いで行ってくるね。』と声をかけて獣人の街に消えていった。
「あれ、こっちに住んでいるんだ。」
「女将さんか?そうだよ。やもめの職人に旨いメシを食わせたいってな。」
「へえ。良い人だね。」
「そうさ。困った人に手を指し伸ばせる良い女さ。勇者だって‥…。」
ん?と思ったのだけど座り込み団体の男は別の人に呼ばれて行ってしまった。
勇者も出生に何かあるようだな。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる