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勇者という存在がもたらすもの
僕は聖剣に悪戯を仕込む
しおりを挟む聖剣は元々この世界の物では無かった。初代勇者と呼ばれる者が持ってきたただの剣だったのだ。剣は何度も壊れそうになりそのたびにこの街の職人の手で強化されていく。生活に平和をもたらすため人と獣人が手を取りそれに感動したとある者の手助けにより聖剣が出来たのだ。
しかしその力は悪い人にも目をつけられる。そこでその初代勇者の血筋を鍵とした。だがそれだけでは心許ない。そこで、とある人は無垢な魂も選択権にいれ聖剣を持てる人を限らせたのだ。
その策略は成功した。
平和になり今度は国同士の争いになりかけた時、野心を抱いたその時聖剣は地に刺さったのだ。
それから勇者の血筋は幾多にもあれど剣に興味ない者が抜け野心があるものには抜けぬからいつまでもそこに鎮座することになった。
そのうちに勇者の血筋は薄まり誰がその血縁かもわからなくなってきた。きぞの中には残そうと思った人もいるようだが血縁同士の結婚は奇形ができそのうちに途絶えてしまった。今はこの国の王族が血筋を持っていると自覚している唯一の存在だろう。
だが聖剣を政治的に利用しようとするものほど抜けないため今世代の勇者が現れるまで悪く利用されることはなかったのだ。
恐らくはグレイは勇者の血筋を組んでいる存在で間違いない。
「ちょととぐらい手を加えてもいいよね。」
勇者のお披露目会で何が起こるかもわからない。なら対策とまではいかないがちょととぐらいの悪戯をしておく。
聖剣に触れたお陰か勇者の気配が感じやすくなったのはいい出来事だ。
勇者の気配が感じるのはあのワインセラーと天井のさらに奥のほうである。ワインセラーは実際あったからわかるけど天井のさらに上って事は時刻を知らせる鐘があるところの様だ。ついでだしそちらも見てくるか。
思い立ったら吉事とはいうけどそのとおり。後に回して忘れてしまうことなんていっぱいあるからね。
城の窓から外に出るとするすると上に登ってゆく。前もこういうことがあったけど意外と城壁なんて誰も警備していない。まさか下もチリのように見える場所を補助もなしに登る人がいるとは思わないのだろう。
登りきったさきにあったのは思っていたとおりに鐘があった。
城内専用の部屋で鳴らせるように紐が続いているような作りに見える。そしてここには勇者の気配が結構強く感じるのはその鐘の鳴らす棒にあるようだ。
「これは骨か?」
白いツルツルと削られている鐘を鳴らすために作られた棒。
そこからはグレイの気配に似ているがとても強い力を感じた。そこにはさらに小さな棒が連なり、風鈴のようにキーンと音を立てている。この音からは憎しみや恨みを感じさせる。もしかしたら結界をすり抜けたという不協和音はこれかもしれない。
その連なる白い小さな棒を外すとそれが子供、しかも赤子の骨だと分かった。勇者の気配をもつ子供の骨など何処から手に入れたのだろうか。
流石に時刻を知らせる骨は外すことができなかったが不協和音の原因かもしれないその小さな骨をしまい僕の役目を終えたとばかりに城を後にすることに決めた。だけど直ぐには帰らない。気になったことがあったので人街の町並みを観察しながら帰る事にしたのだ。
そこで見かけたのは白い楽器が偶に見られること。それらの全てから共通点が感じられる。それを演奏する人に楽器を褒め称えてどこで手に入れたのかと聞いた所、現在の王の後見人である公爵家の名前が出てきた。
一旦ラウルス侯爵家に戻り皆に集まってもらった所で白いカリンバという楽器を取り出した。木で出来た土台に白い鉄筋見たいのが乗っている。事情を説明すると皆が驚いた顔をしている。
「これは?」
「人骨で出来た楽器です。」
「じ、人骨?」
動物の骨で出来た楽器はよく知っているし、何なら人骨の楽器も何度かは見たことがある。だけどこの国の人骨の楽器はワザワザ怨念が音にアクセントを奏でているのだ。
この楽器を今から弾くのだが御守で体調が改善した人に御守を外してもらった状態で聞いてもらう。勿論外部の影響を受けないように結界を展開している。
目線で合図をしてから事情を受け入れた皆で音に耳に傾ける。
音としては綺麗でうっとりとする人も居るが、そこに混ざるキーンとした不協和音。段々と頭を抱える人が出てきた。やはりこの楽器が原因の様だ。
しばらくして音を止めると息を荒くしているものもでていた。
「これが国中に出回っています。」
「骨の楽器が。」
「調べると分かると思いますがこの品が出回り始めたのが3年前からだと思われます。骨の楽器自体は珍しくはありませんがこれは‥…勇者の骨です。」
当時の勇者ではないだろうがその血筋の例えば王家の覇権に破れた者たちの恨みつらみの骨が使われているからその負の感情が人や獣人に影響が出てしまったのだろう。国中に出回っているからすべて回収するのはまず無理だが御守の改善や提供体制でどうにかできるだろう。
あの鐘の所で見つけた骨が最近の症状の悪化に使われたのならその外道ぶりは許せないな。
「公爵家も絡んでいるようです。」
「そうか。あの公爵家が‥…。」
そういって何処か落ち込んでいるようなラウルス侯爵当主にセシリアさんが寄り添っている。この国の闇がいま剥がされそうになっている。
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