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勇者という存在がもたらすもの
終章
しおりを挟む「本当に行くの?」
「だいぶ楽しんだからね。」
サラート夫妻とグレイシアが再会してからさらに数日後。
僕達はとうとう神の国に帰る事にした。 事後処理も終わり国には国民が選んだ王が立った。
今後音の国は王がかわるとき国民が3権力代表から選ぶ事になったのだ。国民はその3権力の代表の人となりを見て自由に選べる。何者にもそれは邪魔はで許さない。
僕達の目の前で今回の王であるラウルス侯爵が宣言されたそれは僕達から女神に伝わり神との契約にすることにした。それによって武力や金で国民を脅して国王になろうとする人を除外するのだ。実際やったら女神の怒りが落ちることになっている。
そして王が世襲ではなくなるので公爵という爵位が消えることとなる。今回の主犯の一人であったダウニー公爵の家族も今後は侯爵になる予定だ。そしてダウニー家の王の子供を産まされた娘だが無事に生きていた。
屋根裏で軟禁の生活をおくらされていたが常識ある弟君のおかげで健康の様だ。ダウニー侯爵家はこれからはその弟君が主として家を継ぎ、父親のせいでついた汚名返上の為に頑張っている。
コウにぃお気に入りの黒檀の家具は職人が張り切って作ってくれるようで、兄上自ら完成したら転移で取りに来ると宣言していた。その際は一緒に来てサラート夫妻のメンテナンスでもしよう。
こうして卒業旅行にしてはなかなかハードな日々が終わった。
見送りはグレイシアと狼の獣人の親方、それにクラウスさんだ。
クラウスさんとシス兄は友人なのに今回あまり遊べなくて申し訳無いなと思っていたのだけど、シス兄が『こんなヤツよりシンリと遊べたのが嬉しい』とブラコン宣言してクラウスさんに苦笑いされてしまった。
「人生はまだ長い。今度は私が神の国に遊びに行こう。」
「そしたら色々と案内してやるよ。」
「うむ。楽しみだ。」
なんだかんだ仲が良いよね。
じっとこちらをみている勇者と目線があった。なんだろうと声を掛けようとしたらそっと顔を背けられてしまった。
「ボクも両親みたいに冒険者になって遊びにいくから。」
「ん?うん。待っているよ。」
「色々とありがとう。」
顔を背けては居るが耳が真っ赤に染まっている。
僕とグレイシアの様子にニヨニヨしているシス兄はしばらく無視をすることにして、照れまくっているグレイシアの御礼の言葉は受け取っておく。
両親、サラート夫妻から色々と教わるのは良い勉強になるだろう。次に会うときがたのしみである。
名残惜しいが僕達は来たときと同様に馬車に乗り国をあとにした。
「それじゃあまたね。」
とある月が見えない日にその闇に溶け込むような真っ黒な衣装をきた男たちが城の牢屋に侵入した。牢屋には国で騒ぎを起こしたもう誰も従わない愚かな元王の男とそれに付き従って道を外した男がいた。
彼等は誰に何もされていないはずなのに痩せこけ目をくぼませてボサボサの髪の酷い有様だった。今や誰も名前を呼ぶことのない彼らに真っ黒な男たちは目をつけた。
「ムラキ様がせっかく教えた研究を無駄にしたのだな。」
「あ、おま‥…いや、貴方がたは。助けに来てくれたのですか。」
闇に紛れし者たちの姿に元王の男は助けが来たとばかりに目を輝かせた。彼らは元王に聖剣が持てる技術として無垢なる存在の研究を教えてくれた人達だ。研究の成果として見せられたあの日を思い出す。
腕が完全に欠如していた男に溶液で培養したドラゴンの手を移植したのだ。拒絶反応は出ずなおかつドラゴンの能力が発揮されていたのを見て、赤子の手を大人並みに成長させて移植しようとしたが失敗したのだ。それがあの赤子だったというわけだ。
男たちは冷めた目で牢屋の者たちを見ていたが、そのうちの一人が一つの宝石を取り出して差し出した。翡翠の様に輝くそれと男たちとを見比べて何をしたいのか分からず固まっていたら男の口に押し付けられた。
「飲み込め。」
「へ?」
「飲み込むんだ。」
しびれを切らしてグリグリと押し付けられるそれを口に含むと周りの男たちから変な呪文が紡がれた。このまま飲み込んでも良いものかと躊躇していると押し付けて来た男が鉄格子越しに口と鼻を押えて来た。息が出来ずに抵抗するもその男の力が強いのかびくともしない。仕方がなく宝石を飲み込むと、直ぐに開放されたがお腹あたりがかっとするように熱くなった。その熱さにのたうち回る元王の姿に元公爵は怯えたように牢屋の端に身体を丸め震える。暫くして元王は起き上がったがケヒケヒと正常ではない笑いを出していた。
「よし、国の怨念は薄いがこれで良いだろう。戻るぞ。」
「「御意。」」
男たちが消えて元王の笑い声が木霊する中、見回りの兵士がやってきて精神崩壊した二人の人物を見て慌ててラウルス王に知らせに行った。
あと一手で準備が整うと知らずに。
__________
皆さん読んでくださいましてありがとうございます。
明日から26日までお休みします。
お休みが終えましたらまた読んでくださると光栄です。
SHIN
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