僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

僕の女神様からのお使い。

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 陽の光が透き通るようにその光の青さを伝える海に珊瑚の死がいが細かく砂になった白い海岸。時折跳ねる魚影は輝いて居て、爽やかな風は海沿いの木々を揺らしている。
 こんな絵画のような風景にそぐわぬ旅姿の僕達です。

 皆さん、今日はバカンス。と言いたいところですが、実はお使い真っ最中です。

 始まりは一週間前の事。
 いつも通りにコウにぃの所に行って龍脈の調子を見たりと色々と作業をしたあとは、久々に丁度用事があるというバルスさんと一緒に教会にお祈りにいった。バルスさんは神父と何かしら話す事があるようで別れて一人でお祈りのしていた。そしたら女神様カトレア様に話しかけられてしまったのだ。


『恐縮ですが頼みたいことがあるんです。』


 人外な美しさのカトレア様のお願いは聞かざる得ないとばかりに二つ返事をしてしまったのだけど後悔はしていない。だってあのカトレア様が本当に困ったようなのに申し訳無さそうな顔でお願いされたらどうにかしないとと思うでしょ。

 そんなカトレア様のお願いは南の海の国へのお届けものだった。
 海の安全を守る加護を掛けた宝玉を渡して欲しいとの事だ。毎年、決まった日に神事を行って授けているらしいが今年は丁度、嵐と被り渡せなかったのだという。神に逢えるのは条件が整わないと普通は難しいし、過度な接触は魔神様が許さないの言っていた。どうしようか悩んでいた所に規格外が来たということ。

 二つ返事をしたあとは安堵した様子の女神様から両手ぐらいの宝箱を渡された。中にその加護がかかった宝玉が入っていた。深い海の色にキラキラと中で踊る星のかけらはいつまでも見てられそうなほど綺麗だ。


「確かに受け取ったよ。」
『お願いします。』


 中身を確認して空間魔法にしまうと別れの挨拶をする。
 お祈りの場から出たところでバルスさんも用事が終えたところの様でこちらに向かってきていた。バルスさんと合流したところで彼はとてつもない大きなため息を漏らしていた。どうしたのか尋ねるとバルスさんが魔法を教わったから恩師から頼み事があるのだと呼び出されたらしい。
 恩師は今、とある港町に居るようで昔所属をしていた教会の伝でバルスさんに伝言が来たそうだ。


「暑いところ苦手なのに南の方に行かないと行けないのですよ。」
「それは落ち込むね。」
「アシュレイ公爵にも何て言えば。」
「南でしょ?なら僕の付き添いって言えば良いよ。」
「え。」


 バルスさんが行くのも南だし僕も南の海に向かうからちょうど方向的には同じ。アシュレイ公爵家で秘書の様に何でもこなすバルスさんが暫く居なくなるのは痛手だけど、それは兄上も居ないと言う状況だったらだ。
 今回、僕は出かけないと行けないが兄上には皇帝陛下の希望で公爵家の仕事をしてもらいたかったので元々置いてゆく気満々だった。
 なのでチートな兄上が残る予定なのでバルスさんが暫く居なくても大丈夫だろう。なおかつ僕が一人で旅行するのを嫌がる兄上達にバルスさんが一緒と言うことで安堵させる目的もある。


「女神様からのお使い頼まれちゃって。」
「何処までです?」
「南の海の国。」
「あ、そこなら私の目的地に入り口がありますね。」
「ちょうど良いじゃん。バルスさんの頼みなら僕も手伝うし。」


 

 こんなことで兄上を説得して僕とバルスさんが南下したのだが、そこにはなぜかウォルターも加わっていた。どうもアキさんがちょっと目を離すとトラブルに巻き込まれるだろう僕がバルスさんだけでは不安だとコウにぃの護衛でもあり一緒に行けない自分に変わり、身代わりにでもできるだろとウォルターを派遣してくれたのだという。

 ウォルターはウォルターで暑い時期に南の海≒美女の水着が見れるとなったようで上機嫌で参加してきた。まあ、妙齢なお年頃だし嫁さん探しも良いと思うよ。


「好みドンピシャはシシリー様ですけどね。どうです?フリルっぷりの水着でまな板隠して遊ぶって。」
「それはセクハラだよ。」
「似合うと思いますけど。」


 BOOBOO言っているウォルターを無視して港町に向かう。
 この港町は海の国への入り口を守るために自然と人が集まって出来た町だ。悪い海賊や他国から海の国、人魚の国を守り、その変わりに豊かな海の恵みを貰うという共存関係を結んでいる。この町は珍しく何処かの国に属すと言うことはなく人魚の国だろうと良い友人関係といった感じだ。

 そんな町にバルスさんの恩師がいる。
 バルスさんの恩師は今よりも貴族平民の意識格差が酷かった時代に、何者も平等に学ぶべきの考えの元、様々な有名な生徒を輩出した伝説の教師らしい。
 実はバルスさんを教会であった人物も彼の教え子で、ずっとニコニコした胡散臭い神父だそうだ。

 まずはその恩師に話しを聞こうと呼び出された港町の宿屋を探して歩いて居ると、人気のない路地でフード姿の女性が引きずり込まれているのが見えた。女性は抵抗を見せているものの相手は鍛えられた男。声も抑え込まれ連れて行かれてしまう。その際に一瞬だが目線があった。綺麗な海の色の紺碧の瞳に涙を溢れさせて最後に諦めたように伏せる目が印象的だった。
 何処も治安の悪いところはあるのだね。

 目撃してしまった以上、しかも目線まで合って見捨てると言う考えはなかった。そもそもこんな下劣な奴は嫌いなんだよ。

 路地に入ると案の定、女性は押し倒されていて男は女性の口を塞いだまま覆いかぶさっていた。男の仲間らしき奴も鼻の下を伸ばしていやらしい笑いを浮かべていた。
 バルスさんが冷たい視線を送りながら辺りの音を消す『サイレント』の魔法をかけたのを見計らって、覆いかぶさっている男の足の間を蹴り上げる。

 魔法のおかげか声にならないのか凄まじい顔つきでころがり回る男を無視して、女性に手を差し伸ばす。魔法の効果があるので安心させるようににっこりと微笑みながら。女の人がそろそろと手を取ってくれたので立ち上がらせて、押し倒されて砂だらけの服を魔法で浄化してあげた。

 もうひとりの男はウォルターに捕まっているし、もう一人は地面に伸びている。後の処理をウォルターに任せて、バルスさんと震える少女を連れて路地から退散した。



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