僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

僕と無口な少女

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 少女は自分が助けられたとやっと実感したのか大粒の涙を溢してペコペコと頭を何度も下げた。ただ余りにもの恐怖だったのか地面にへたり込んでいるものだからまるで土下座の様になってしまっている。
 そんな彼女のフードが外れるとその下からは白波の様に輝く銀青色の髪が出てきた。陽の光に当たりキラキラとした髪が見えていると分かった少女は慌てて髪を隠そうとする。その姿が以前のアキさんと重なって見えたので、目線が合うように座り込むと髪を隠す手を優しく包む。

 
「とても奇麗だよ。お姫さん。」
「             」


 パクパクと顔を紅くして口を動かす彼女。
 兄上ほど読唇術は得意では無いけど、彼女が自分を卑しめる内容を行っているのが分かった。
 そして彼女は普段は喋れているけど今は喋れないのだと言うことも。

 案の定喉を押えて困った顔をする彼女に、更に安心させるように会話が出来ることを伝えるとパァと花が綻ぶように表情が明るくなって更に言葉を続けてゆく。内容としては彼女は病気の妹の為に薬を買いに来たらしいのだが、いつも買っていた所がこの間の嵐で倒壊してしまい暫くは買えないだろう。ならばとちょっとだけをしたら先程の男たちに絡まれたのだという。


「でしたら私の恩師の所に行きましょう。あの方ならどんな薬でも作れますから。」
「そうなの?」
「はい。興味あることは何でもやる節操なしですから。」
「じゃあ、君もそれでいいかな?」


 こちらの提案に彼女は頷き返してくれた。
 ウォルターが合流した所で恩師の所に行く道すがらに彼女の事をもっと知りたくて話しかけてみた。

 彼女の名前はアクア・ラメール。
 普段はこの港町には来ることはないそうだ。なので目立つ髪を隠して買い物をしていたという。先程も聞いたが産まれ付き身体が弱い妹がいて直ぐに熱を出して寝込んでしまうのだとか。ちょうど薬が切れて薬を売る魔女の所に行ったら、店がなくなってしまったのだ。魔女の薬が必要な人は大勢いるので帰ってきてはくれるだろうがもしかしたら暫くはここで買うしか無いかもしれない。

 バルスさんの案内のもと路地を何度か抜けた先で、吸盤のついた触手が8本円形の中に描かれたまるで家紋の様な模様の看板の家についた。


「家紋みたいじゃなくて家紋です。恩師の家は何故か蛸なんですよ。」


 バルスさんはそう言ってノックをすれば中から艶のある女性の声が聞こえた。中に入っても良さそうなので中に入ればそこには雑貨や薬など色々な品に囲まれていた。その品物の中心には少しふくよかでナイスバディなお姉さまと、明るめの髪の素朴なイケメンがいた。

 白い肌に目元の泣きぼくろが色っぽいナイスバディなお姉さまを見たアリアがそちらに駆け寄り抱きついたと思いきや口をパクパク。


「おや、アクア嬢ちゃんじゃないか。」
「知り合いですか。」
「ふふ。バルス坊やもよく来たね。」


 ナイスバディなお姉さまはパクパクしている彼女を見つめると棚をガサゴソし赤色の飴玉が入った瓶を探し出して、一粒取り出したと思ったらアクアの口元に持っていった。アクアは戸惑うことなくそれを口に含みこむ。


「魔女様。」


 透明感のある可愛らしい声が店の中に響いた。
 美しい声を金糸雀と表現するが彼女はまさにそんな代名詞をつけても良さそうな声だ。先程まで声が出なかった少女が喋れていることにも驚いたが魔女と呼ばれたナイスバディなお姉さまが可愛がっている姿に目を丸くする。

 もうひとりのお客らしき男もそんな光景に目を奪われているようだ。


「アクア嬢ちゃんはまた妹の薬かい?」
「はい。魔女様がこちらにいて良かったです。」
「あのはもう大丈夫の筈なのだけどね。」
「でも、苦しそうなんです。」


 アクアの訴えにナイスバディなお姉さまは頭に手を当ててため息をつくと、棚から紙袋をアクアに渡す。アクアは嬉しそうにそれを受け取ると一粒の大きめで見たことの無い青色の真珠を手渡した。それを見た男がガタンと勢いよく動いて棚に当たり大きな音を立てた。一斉に視線がそちらに向くが男はじっとアクアを見つめているようだ。

 ナイスバディなお姉さまは視線をアクアに戻すとその真珠を彼女の手にもどす。


「これはアクア嬢ちゃんの大切な真珠だろ?」
「でも、今日は対価が無いの。」
「それでもこれは頂けないよ。世界で2しか無いのだからね。次回のときに海老でもご馳走してくれたらいいさ。」
「魔女様‥…。」
「えっと、話が終わったようだから確認するけど、アクアの国の薬屋とバルスさんの恩師の方が同一人物だったのかな。」
「そのようです。」


  アクアには僕達の存在を忘れていたわけでは無いと思うが、甘えるような姿が恥ずかしかったようで声をかけるとああっと言う声と耳まで赤くした状態でナイスバディなお姉さまから離れ、店の済でもじもじとしていた。

 魔女は少し残念そうな顔したあと、バルスさんに視線を向けた。
 バルスさんはお久しぶりですと深々とお辞儀をしたあとに僕の紹介をしてくれる。僕も彼に倣ってお辞儀をしておく。


「お初にお目にかかります。シンリ・ディーレクトゥスです。今回、海の国へ行くのに同じ方向だったバルスさんに同行させて頂きました。」
「その丁寧さは貴族かい?」
「父が辺境伯ではありますが僕はその子供というだけです。」
「‥…バルス坊やが一緒に居るわけだよ。」
「このお二人に襲われて居た所を助けて貰ったの。」
「なんだって!」


 アクアが襲われていたと言う事に大声をあげて驚いたのはお客の男だった。



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