僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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海の国と泡と消えゆく想い

僕とお祝いムードの海の国

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『この度は加護が遅れて悪かった。』
「いえ、」
『この者に宝玉を託す際にこの幻影も仕込ませて貰った。』
「そうなのですね。」


 幻影とはいえ女神像と同じ姿の煌めくブロンドをラフにまとめ、優しそうな相貌を持つ人外の美しさを持つカトレア様が目の前に現れる。返事はいらない存在幻影とはいえ王様は冷や汗を浮かべてそんなカトレア様にでもとても低姿勢。この世界の管理を任されている方だからそうなるのは分かる。そんな彼女の脇に立たされている僕に何者だという視線が集中するのは当然で妬みの視線も感じるところだ。

 
『この者は快く使者になってくれた少年だ。手厚く歓迎してやってほしい。』
「もちろんです。」
『この海に良き息吹が巡ることを願っている。』


 一方的になってしまうのは幻影だからなのだが最後に僕の方に微笑みかけてくれるのを見ると本当に幻影なのか疑わしいところだ。
 女神様が居なくなり、静かだった周囲にざわめきが起こる。目の前にこの世界の秩序を保つ方が現れたとなれば血気立つのも当然であり、先程までと僕達に向ける視線の意味合いも変わると言うものだ。

 届け物も終えたし帰りたいところだが幻影といえど女神様降臨しなおかつ今年は無理だと思っていた女神様の加護が与えられた。
 王様は女神様の前とは打って変わって盛大に喜んでいる。


「加護を得たことを知らせるパーティーを行う。是非とも使者殿には参加して頂きたい。」
「僕達は人なので今からパーティーの日まで待つと言うのは。」
「無論、一度地上に上がってもらい準備が出来たら魔女経由でしらせよう。大体準備や招待状で一週間ほどで開催できよう。」
「僕達の事は気にせず‥…。」
「ならん。女神様が手厚く歓迎して欲しいとおっしゃっていたからな。」
「ここまで来ると王様やつは頑固だよ。」


 ポリプスさんにヒソとそう言われてしまえば諦めるしかない。
 パーティーの参加を承諾すると王様は直様に準備に取り掛かり始めた。その姿を後目に僕達は来たときと同様に騎士に案内されて城を出た。
 しかし先程とは異なり、騎士がまるで名誉だと言うように晴れやかでありながら名残惜しそうな目線に見送られて城を後にしたのだ。


「まさか、加護を持ってきていたとはね。」
「こんなに騒ぎになるならいつも通り夜に侵入したほうが楽だったな。」
「ははは。聞かなかった事にしておくよ。」
「それにしても一週間か。」


 パーティーを開く期間としてはとても短いが待つ身としては長いことこの上ない。公爵家はコウにぃが居るからこれくらいどうと言うことはないが、こうなれば近場の冒険者ギルドに現在地報告をして依頼をこなしつつ待つことにするか。
 その前に泊まる宿も探さなくてはならない。

 港町は貿易も行っているから宿屋はあるとは思う。どうせなら料理が美味しい所だと文句はない。


「ポリプスさん美味しいご飯の食べられる宿屋ってある?」
「そうさね。私はこっちの住人だからよくわからないけど、フェンなら詳しいから住所あげるわ。」


 とりあえずギリギリまで海の国を回った後にフェンの所に行ってみよう。
 
 海の国は東西南北にそれぞれ存在しているがそれぞれに特徴がある。北は氷が浮き寒い水の中にあるし、西は少し寒いが氷とまではいかない、東は温かいが南ほどではない。南が一番暖かく年中入っていても大丈夫と言われている。

 そんな海の国はそろそろ分かると思うが人魚達の国である。
 昔は人間たちと交流を断っていた所もあるがここの港町の様に海を守るために人が集まって人魚と共存する者たちも多い。
 
 交流を断っていた時代人魚達は人達が海に落としたもので色々と遊んでいたという歴史があり博物館にはその歴史が飾られて、人魚も人も楽しんでいる。

 人魚の生活はわざわざ海の国へ来ないと見れないのでせっかくなので楽しませてもらう事にしたのだ。


「それじゃあ、遅いけどご飯にするかい?」
「何を食べているかは気になる。」
「もっぱら火は使えないから生のものばかりだよ。」


 美味しいステーキとかは無いよと言ってカフェらしき所の脇を通るとわかめのサラダになにかの切り身のカルパッチョらしきもの。
 確かに体温も低い人魚が揚げ物なんてやっては熱などで火傷をしてしまうから大変な事になるだろう。


「人が観光にくる様になってからは専用の店もあるから大丈夫だよ。」


 ポリプスさんが食事の為に案内してくれたのは魔法で加工されたお店だった。中に入ると水は消えていて中には人の姿。人魚もいるがその前に出されているのは火傷しないように工夫された料理ばかり。
 店員は僕達に気がつくと側に寄ってくる。それに対しても仲介の様に間に入ってくれるから助かった。魔女は人魚でもあるが今は人になっているため人と同じものでも大丈夫だそうだ。
 その変身薬も安くは無いので先程も言ったが人魚姿のままの人とがいるが、ちゃんと店側が対応してくれるのだという。

 ちなみに人魚の姿の時はエラの部分を水の膜で覆うことで数時間なら地上でもそのままの姿で行動が可能らしいが、幾分足はヒレなので歩くことが出来ないし、陽の光で焼けてしまうらしい。

 僕が人魚を見ているのをみて、興味があると判断したポリプスさんは人魚に付いてとあの変身薬について話してくれた。

  
「改良品が出るのは良いのだけど数年前に質の悪い変身薬が安価で売られてたのだけど、それが副作用が酷くてね。声が出ないのはまだいい方で、切れる前に海に入ると泡になって消える事もあったから大変だったよ。」
「もしかして、アクアの声が出なかったのって。」
「多分その副作用だね。私の作った変身薬で上書きしたから大丈夫だよ。」


 その事件は国が重くみた様で薬を回収したらしいが安価の薬はいつの時代でも何処も欲しい物。危険性を知っていても使うものが居るようで排除するのに時間がかかったのだとか。アクアも密かに隠し持っていたのを妹の為に使用したのだろう。
 これでポリプスさんと再会できなかったら危なかった。




 
 
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