195 / 245
海の国と泡と消えゆく想い
僕とムラキの影
しおりを挟む会場からだいぶ離れた所で海の中なのに火花が散るような光が見えた。それが何なのかは想像はつく。会場からここまで引き付けてくれたラメール夫妻は人魚の本性を現し、長く伸びた爪を持って応戦していた。
物語に出てくる人魚は美しい存在が多く書かれているが実際は国や海のために戦う事も出来る戦闘民族である。今のラメール夫妻の様に普段は隠された爪を使い戦う。全体的に魚人のような相貌に変化しており身体には鱗が現れていた。その鱗が防具となり相手の攻撃が致命傷にならないようだ。
とあいえ、ラメール夫妻の身体には細かい傷を含めたら数え切れないほどの裂傷が目につく。
ムラキの配下と思わしき人は7人。
それに対して2人で会場から引き離しつつ応戦できたのは人魚五位の存在だからか。
「いらないかもですが、助けにきました。」
「使者様、まさか会場に助けを求めに来ましたか?」
「いえ、兵士たちはまだ眠っています。女神様のお言葉とイリヤの参入で理解しました。」
「イリヤは助けを呼んではくれなかったのか。」
その返事は答えないでおく。
親が殺されるかもしれないと言うときにイベントに参加するのに戻ってきたなんて頭の中が見たいほどだ。
それについては目の前の奴等をのしてからしめに行くことにしよう。
「さあ、こんなところで何をしているか教えてもらおうか。」
「二人増えたところで何が出来る。」
7人もいたのに二人に押さえ込まれてた奴らが言うセリフでは無いと思うけど。
「少なくとも君達よりは強いよ。」
地面を蹴り一人相手の懐に入り込み身体を捻りながら肘を鳩尾に向けて強打させる。そうすれば胃液らしき物が口から飛び出してお腹を押さえてうずくまり身動しなくなった。
これで一人片付いたので残りは6人だ。
暗殺が得意な僕としては油断している敵を倒すのが一番楽だし得意だ。だけど最近のトラブルしかり暗殺者がいつもすきのある人物を相手しているわけでは無い。場合によっては見つかったりするかもしれない。なのである程度は兄上によって身体の仕組みを使った体術も教わった。今のもその一つだ。
取り囲まれたら一人でも潰せばそこに穴が出来る。
そこから抜け出せば僕の特性上逃げるのは簡単だ。逃げるのが恥ずかしくないのかなんて熱血漫画ではありそうだけど、逃げることは大事なことだ。自分の身が何よりも大切だよ。
え、僕が、言っていても説得力ない?
「僕の行く先々でなんか君達と出会うのだけど、企みを聞いておきたいな。」
「企みなど一つだけだ。でも、教える訳が無い。」
「ですよね。」
ベラベラと説明よろしく喋ってくれたならこっちが楽できて良かったのに。まあ、一人は戦闘不能で確保すみだしあとは殲滅でいい。そういえば空間魔法て人間を入れたらどうなるのかな。
動物じゃあ可愛そうだし。
うずくまり鳩尾の強打で呼吸もままならない男に手を翳し空間魔法を展開する。そうすればそこにいた男の身体が消える。そして僕の頭の中にはクラウン・ロメスタと言う名前が浮かんだので無事に空間魔法に取り込めた様だ。あとは出して無事なら使える幅が増えるぞ。
僕の行動を見ていたバルスさんが嗜めるように頭を叩く。別に痛くは無いがお怒りだ。
「大丈夫だよ。確証があるから。」
「それでも、人間を空間魔法になんて。」
「普通なら無理だろう。けど僕のは特別製でしょ?」
「わかりました。詳しい話は後です。」
あちゃ。これは後でお説教だ。
周りはいきなり仲間が消えて驚きが隠せないようだ。先程までの戦闘態勢が崩れてしまっている。このすきをのがす我々では無いのであっという間に4人で倒してしまった。あまりにもあっけないので驚いていると、ラメール夫妻は何かを渡して来た。
「あと、3人居ます。それとこの石を使って何かをしようとしているみたいだった。」
宝石のような石を渡されたようだ。どこかで見たような石である。色は深き海のそこのように青黒い色をしていた。
こいつらはどうやら10人で来襲してきて3人は探索、そして残りは石を奪ったラメール夫妻を追って会場から離れた様だ。
あくまでもラメール夫妻は陸上からも客が来ているパーティーには参入させないように頑張っていたようだが、その頑張りのすきをついてイリヤは逃げ出し助けを求める事なくイベントに参戦したということか。
「僕達のツレに会場の兵士に伝えるように頼んであるからラメール夫妻はそいつが連れてくる兵士に保護されて下さい。」
「君達は。」
「3人の後を追います。どちらに向かいました?」
「南の方だが‥…。」
会場の方に向かっていたなら七人と戦いつつも何かしら伝えようとしていただろうがそれが無かったと言うことは残りの奴等は別の方に行ったということ。人魚の世界で第5位の家系がしかもアクアの両親が民を軽んじることはないと確信している。そうなると人気の無さそうな北か南の方だとは思っていたがやはり南か。
「南は何かあるんですか?」
「南には強大な力の魔獣が封じられている。」
「魔獣ねぇ。」
「危険だから皆が来てからの方が良いと思うが。」
「いえ、すでに出遅れているからね。僕達がさきに行くよ。無理そうなら足止めだけでもするから。」
魔獣を狙うムラキの配下か。
どこかで体験したような感じだな。あのときもアキさんが捕らえた部下が宝石を所持してようだけど何か仕組みがあるということなのだろうか。
石を手のひらで転がしつつ僕は示された先にむかう。
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる