僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
204 / 245
青い光のスヴェトリナー

僕といざいかん妖しきお城

しおりを挟む





 ルカさんは自らを愚かな男だと言っているが話しを聞いていてそうとは思わない。であった当初は庭の惨状などをみて怠けた男だと思っていたが、彼は優しく働き者なのだとわかってしまった。
 どんなに理不尽な魔女の頼み事も断らず、一人軟禁されている姫様を思い外に連れ出してあげた。

 城で働いていて戦場にもでたのだから無理やり奪えば魔道具のランプなど、魔女から取り返せただろうに。


「この庭は薬草だらけだ。育てるのも難しいものばかりで庭を見ればお前が愚かな男だとは思わなかった。」
「そうだったの?」


 兄上のこの家に来てすぐの感嘆の声の理由が分かった。人目でそれが薬草だらけの庭だと判断して彼の素質の片鱗を見抜くとは流石は我がチート兄上だ。


「ルカさん、僕達はその魔道具を求めに来たのだけど協力してくれないかい?」
「おいらはごじゃらっぺ間抜けで何もできねぇ。」
「だけど、この地からは逃げてないじゃないか。心残りがあるのでしょ?」


 きっとそれはランプを手に入れたときから変わらず話しに出てきたお姫様だろう。自分では臆病だ愚か者だと言っているが城から遠くないこの場に居るのは余程の勇気が必要だ。


「君は城の造りに詳しそうだ。侵入に協力してほしい。ランプさえこちらの手に入れば悪夢が終るはずだ。姫様もきっと‥…。」
「姫様がまた笑って過ごせるようになるか?」
「約束する。この国に安寧をもたらそう。」
「‥…少し考えさせて欲しい。もう夜も耽る。好きなところでよこうばい休め。」


 日取り窓を見れば確かに日が沈み黄昏の暗さが迫ってきていた。
 無理やり城に忍び込むのにはこの暗さを利用するのはやぶさかではないが相手にはあの学園にダンジョンを作り上げた記憶の欠片が絡んでいる。今回は願いを叶えるという不思議な魔道具が絡んでいるから無謀に侵入するのは今回は得策ではない。

 万が一、僕が側にいることを魂が魔道具を通してあちらに知られている可能性もある。話しを聞くに会話が可能のようだしね。

 ルカさんのお言葉に甘えることにして、暫くまともな食事を取ってないルカさんを交ぜて食事をし、許可を得て辺りの枯れ草や元々シーツだっただろう布片を材料に魔法を使って寝床をつくる。
 材料的に一つしか出来なかったのでコウにぃに使って貰おうかと思っていたら僕を抱きしめる形で二人で寝ることになった。

 部屋に元々あったベッドにルカさんが腰掛けて考えながら夜は深けていった。





「姫様の為においらも行くだ。」


 朝起きて井戸水で顔を洗っていたらおどおどとルカさんがそう言ってくれた。最悪の場合は侵入経路だけ聞く予定だったけど一緒に来てくれると迷うことも無いだろうし助かる。


「どうせ寝ずの騎士が居るのなら出発は何時でも良いかな。」
「でもどうするんだ?」
「寝ずというだけで不死とは言われないから倒していけばいい。」
「ひぃ!殺すのか?」
「元々ランプから作られているなら生きた人間では無いだろうよ。魂を囚われているなら開放される方が彼らも良いだろう。」


 そんな話したらルカさんも納得したように頷いた。
 最初にあったときよりより晴れやかな顔になっているのはいい傾向だ。ルカさんは魔女の家にあったのか少し紙が黄ばんだ紙を持ってきた。その紙にはこの辺りの地図と愚者の国フールルートの城下町の地図が描かれていた。

 この魔女の家はちょうど城の裏側の方向に立てたれた家の様だ。

 魔法の道具を見せびらかすという行動から長年魔女と城の者は交流があったのかもしれない。特に今城にいる王様とは懇意の関係だったと推察できる。
 城から隠された通路でルカさんが逃げ出してこの家についたのを見る限りはその推察は間違いない。



 城下町は今はどうなっているのか尋ねると、やはり死んだ目のような状態でその日暮らししているようだ。流石に死んでしまうと宝石や石の回収が出来なくなると言うことで遠くの村に比べれば最低限の保証はされている。
 城下町の近くで鉱脈の洞窟もあり眠りを奪われた民が掘り起こしているのも見られて居るようだ。


「冒険者ギルドは?」
「おいらは行ったことは無いけども、毎日のように他のギルドに連絡しようとしていると聞いただ。おいらは不思議なのだけどなんでおめぇらは平気なんか?」
「‥…魔道具より強いからかな。」


 恐らくは記憶が起こしているからだろう。僕がコウにぃに危害を加える事はないから僕とコウにぃ、そして僕達が乗ることで仲間扱いの魔獣たちは無事だったと考えた。そのままルカさんに教えるなんてことは出来ないけど。


「まあまあ、とにかく何処から侵入するんだい?」
「前に逃げだした通路は使えないとおもう。んだから、城下町の方から入って表門近くの道を使おうとおもってる。」
「ほう。まあ、城下町の状態も見れるし良いだろう。」


 彼のゴツゴツとした働いている者の指が示すのは城下町の広がる表門の端っこを示していた。用水路の脇のところでそこに隠し通路があるらしかった。


「じゃあ、早速行こうか。」








しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

処理中です...