僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
205 / 245
青い光のスヴェトリナー

僕と寝ずの騎士

しおりを挟む





 魔女の家を出て向かった城下町は気味が悪いほど静かだった。
 というのもまるで人々の活気がないのだ。目の下には隈が出来ているのに話に聞いているとおりに眠っているものが居ない様だ。
 女性や子供が街に多いのは男たちが鉱脈に石を発掘しに行っているからだろう。
 辺りは昼間だというのに暗く、パンや雑貨などを売っている店も最低限の数しか並べて居ない。材料とかどうしているのか聞くと地方の老人達が税の免除の為に納めて居るのを使っているとのこと。本当に圧政されているのだと現実味がましてくる。

 城下町にはギルドも建物だけは確認できた。とりあえずこちらはこの状況が改善したら尋ねることにしておこう。

 そんな感じで目的地に着くまでに色々と見せてもらっていたら、いきなりルカさんに手を引っ張られて路地裏に引きずり込まれた。
 何事かと思っていたら先程までいた大通りの所に馬に跨り得物を携えた騎士が練り歩いていたのだ。
 人間とは違い禍々しいオーラを放つその騎士は静かに移動している。


「あれが寝ずの騎士だべ。寝ずの兵士に指示したりと多少の意思はあるようだよ。」
「人とは異なる存在のせいなのか気配は感じないね。」
「気を付けた方が良いだろうな。」


 見れば禍々しいオーラでそれが何なのか分かるが魔法の道具が生み出しているせいか人の気配は感じられない存在に気を引き締める。いきなり後ろにとかなったら大変だ。


「一時凌ぎだがよ。もしも、見つかったら働いているフリをすると良い。」
「分かった。為になるよありがとう。」
「いやあ。大した事ねぇべ。」


 照れているルカさんが先を促すまで騎士をやり過ごし先に進む。基本はルカさんに導いてもらう形のほうがスムーズそうだしね。
 目的地に着いたところで騎士と、兵士の数が増えて城の周りをウロウロとしている。王は自らの守りを重点にしているのか明らかに数が違っている。


「王は即位する前からどんな戦でも部屋に閉じ篭もっていた臆病者だったからな。」
「あんなに居ると侵入は難しいね。」
「おい。あれ。」


 死角がない場所でどうしようか思っていると、兄上が反対側の道を指差した。そこには鉱脈を掘るために準備されていた様子の爆薬が見えた。それで反応するかはわからないが試して見る価値は有りそうだ。

 爆薬と僕の魔力をつなぎ導火線の様にしたら、コウにぃはルカさんを抱き抱えた。一応はおじさんでしばらくのこの国での生活でヒョロいとはいえコウにぃより体格はある。それを軽々と抱き上げたあとに僕に目配せをしてきた。僕は頷いて魔力を発火の力を持たせて発動する。僕のところから思惑通り導火線となって爆薬にたどり着いた魔力は盛大な音を立てて爆薬を破壊した。


 寝ずの騎士と兵士はその爆薬の破裂音に異常を感じてそちらに向かってゆく一部の者もいるし、向かわなくてもそちらに意識はいっているようなのでそのすきに僕達は走って目的の所に滑り込んだ。

 寝ずの騎士の一人が異変を感じてこちらに来ようとしているがもうすでに僕達は用水路側に隠された扉の中に入ってしまっている。


「ここが見つかるリスクを無くすために殺る?」
「倒せるかの試したいが、まだ危険だな。入口を隠形の技で隠して先に進もう。」
「了解。」


 僕達は念のために隠された通路の入口を魔法で隠して水がにじみ出る暗い道を進む。光の魔法を使い明るくして周辺を見るも特に罠などは見受けられないので、恐らくは王族が襲われた時に使用する通路なのだろう。ルカさんは城の清掃をやらされた時に発見したと言っていた。

 城の方からは巧妙に蔦と苔で隠されているのだとか。
 行き止まりになってルカさんが先頭になり壁をコンコン鳴らすと軋む音の後にゴゴゴッと石と石が擦れる音がして光が見えた。

 そこには一人の寝ずの騎士が鎮座しているのが見えた。

 やはり、王族は知っていたのかと思っていたがどうやら様子がおかしい。観察しているとこちらには気づかずに騎士は近くの宝物庫らしき倉庫を守っているようだ。


 周囲には他に騎士などは見受けられないし試すならこいつが良さそうだ。兄上に視線を送ると頷くのが見えたのですぐさま行動する。結界を展開して音や異変に気が付き難くして、素早く騎士の背後回るとナイフで後ろ首を刺した。長さ角度的に延髄までいったので普通の人ならお陀仏なのだけど彼は倒れない。


「ぐおぉぉぉ!」


 ケモノの様な雄叫びを上げる。ビリビリとした振動が発生する。
 やはり普通の騎士などではないようだ。それどころか急所に一撃を食らって平気なのは魔獣やモンスターより厄介かもしれない。

 騎士は雄叫びの後に何も変化が無いことに気が付き不思議そうにしている。
 どうやらそれぞれの意識が繋がっていると言うことはなく。警戒音の変わりに雄叫びを上げたようだ。その雄叫びは結界が吸収してしまったので意味がないものになってしまっているけど。


「シンリ、鑑定を。」
「今してる。」



***

ノンネーム(寝ずの騎士)


性別 不明
種族 人造人間

称号 寝ずの人造人間 

 

***


 弱点という記載は無い。
 だけど僕の目には目の前の騎士の胸元中心が淡く魔力の流れの中心になっているのがみえる。

 誰も救援に来ないことに戸惑っている所に胸元に飛び込み見えている異変の所にナイフを突き刺す。




 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

処理中です...