僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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青い光のスヴェトリナー

僕と寝ずの騎士

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 魔女の家を出て向かった城下町は気味が悪いほど静かだった。
 というのもまるで人々の活気がないのだ。目の下には隈が出来ているのに話に聞いているとおりに眠っているものが居ない様だ。
 女性や子供が街に多いのは男たちが鉱脈に石を発掘しに行っているからだろう。
 辺りは昼間だというのに暗く、パンや雑貨などを売っている店も最低限の数しか並べて居ない。材料とかどうしているのか聞くと地方の老人達が税の免除の為に納めて居るのを使っているとのこと。本当に圧政されているのだと現実味がましてくる。

 城下町にはギルドも建物だけは確認できた。とりあえずこちらはこの状況が改善したら尋ねることにしておこう。

 そんな感じで目的地に着くまでに色々と見せてもらっていたら、いきなりルカさんに手を引っ張られて路地裏に引きずり込まれた。
 何事かと思っていたら先程までいた大通りの所に馬に跨り得物を携えた騎士が練り歩いていたのだ。
 人間とは違い禍々しいオーラを放つその騎士は静かに移動している。


「あれが寝ずの騎士だべ。寝ずの兵士に指示したりと多少の意思はあるようだよ。」
「人とは異なる存在のせいなのか気配は感じないね。」
「気を付けた方が良いだろうな。」


 見れば禍々しいオーラでそれが何なのか分かるが魔法の道具が生み出しているせいか人の気配は感じられない存在に気を引き締める。いきなり後ろにとかなったら大変だ。


「一時凌ぎだがよ。もしも、見つかったら働いているフリをすると良い。」
「分かった。為になるよありがとう。」
「いやあ。大した事ねぇべ。」


 照れているルカさんが先を促すまで騎士をやり過ごし先に進む。基本はルカさんに導いてもらう形のほうがスムーズそうだしね。
 目的地に着いたところで騎士と、兵士の数が増えて城の周りをウロウロとしている。王は自らの守りを重点にしているのか明らかに数が違っている。


「王は即位する前からどんな戦でも部屋に閉じ篭もっていた臆病者だったからな。」
「あんなに居ると侵入は難しいね。」
「おい。あれ。」


 死角がない場所でどうしようか思っていると、兄上が反対側の道を指差した。そこには鉱脈を掘るために準備されていた様子の爆薬が見えた。それで反応するかはわからないが試して見る価値は有りそうだ。

 爆薬と僕の魔力をつなぎ導火線の様にしたら、コウにぃはルカさんを抱き抱えた。一応はおじさんでしばらくのこの国での生活でヒョロいとはいえコウにぃより体格はある。それを軽々と抱き上げたあとに僕に目配せをしてきた。僕は頷いて魔力を発火の力を持たせて発動する。僕のところから思惑通り導火線となって爆薬にたどり着いた魔力は盛大な音を立てて爆薬を破壊した。


 寝ずの騎士と兵士はその爆薬の破裂音に異常を感じてそちらに向かってゆく一部の者もいるし、向かわなくてもそちらに意識はいっているようなのでそのすきに僕達は走って目的の所に滑り込んだ。

 寝ずの騎士の一人が異変を感じてこちらに来ようとしているがもうすでに僕達は用水路側に隠された扉の中に入ってしまっている。


「ここが見つかるリスクを無くすために殺る?」
「倒せるかの試したいが、まだ危険だな。入口を隠形の技で隠して先に進もう。」
「了解。」


 僕達は念のために隠された通路の入口を魔法で隠して水がにじみ出る暗い道を進む。光の魔法を使い明るくして周辺を見るも特に罠などは見受けられないので、恐らくは王族が襲われた時に使用する通路なのだろう。ルカさんは城の清掃をやらされた時に発見したと言っていた。

 城の方からは巧妙に蔦と苔で隠されているのだとか。
 行き止まりになってルカさんが先頭になり壁をコンコン鳴らすと軋む音の後にゴゴゴッと石と石が擦れる音がして光が見えた。

 そこには一人の寝ずの騎士が鎮座しているのが見えた。

 やはり、王族は知っていたのかと思っていたがどうやら様子がおかしい。観察しているとこちらには気づかずに騎士は近くの宝物庫らしき倉庫を守っているようだ。


 周囲には他に騎士などは見受けられないし試すならこいつが良さそうだ。兄上に視線を送ると頷くのが見えたのですぐさま行動する。結界を展開して音や異変に気が付き難くして、素早く騎士の背後回るとナイフで後ろ首を刺した。長さ角度的に延髄までいったので普通の人ならお陀仏なのだけど彼は倒れない。


「ぐおぉぉぉ!」


 ケモノの様な雄叫びを上げる。ビリビリとした振動が発生する。
 やはり普通の騎士などではないようだ。それどころか急所に一撃を食らって平気なのは魔獣やモンスターより厄介かもしれない。

 騎士は雄叫びの後に何も変化が無いことに気が付き不思議そうにしている。
 どうやらそれぞれの意識が繋がっていると言うことはなく。警戒音の変わりに雄叫びを上げたようだ。その雄叫びは結界が吸収してしまったので意味がないものになってしまっているけど。


「シンリ、鑑定を。」
「今してる。」



***

ノンネーム(寝ずの騎士)


性別 不明
種族 人造人間

称号 寝ずの人造人間 

 

***


 弱点という記載は無い。
 だけど僕の目には目の前の騎士の胸元中心が淡く魔力の流れの中心になっているのがみえる。

 誰も救援に来ないことに戸惑っている所に胸元に飛び込み見えている異変の所にナイフを突き刺す。




 
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