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青い光のスヴェトリナー
僕と囚われのお姫様
しおりを挟む「もしかして姫様?」
「‥…本当にあんた誰?」
「ルカさんの知り合いと言えばわかるかな。」
掃除の手を止めこちらに不審者を見るような目で見てきた。彼女にとっては僕は侵入者でしかないだろうから不審者で間違いないけど。
そんな彼女にルカさんの名前を出せばその表情が少し緩んだように見える。やはり彼女が姫様なのが分かったところで自己紹介でもしておく。
姫様にしては着ているのもおかしな侍女の姿。ルカさんの話だと城の後方の建物に軟禁されていると聞いていたのだけどね。
「僕はシンリ。王様の持つ魔道具に御用があるものだよ。」
「!」
「ルカさんに話は聞いているよ。」
「ルカが来ているの?」
「城まで道案内してもらったんだ。それで君は姫様でいいのかな?」
「失礼しました。わたしはシロガネ。今の王はご存知の通り私の兄妹です。」
姫様、シロガネ様は片手で胸に手を当てもう片手でスカートを持ち上げ礼をする。その所作は身についた美しいものであり確かに貴賓が感じられる。
ルカさんの名前を出すぐらいで見知らぬ僕を受入れるのは王族としてどうかと思うが、どうやら僕かルカ『さん』と呼んでいるからだと言っていた。
訛が凄くて自分に自身のないルカさんは城の中でも異質な存在でそんな人を集団社会では排除しようとするのがあるのだという。見下す人もほとんどでそんな相手をさん付けという敬称をつけるならちゃんと本質が見える人なのだなと思ったそうだ。
「ルカは不器用だけどとても優しくて、私なんか諦めてもいいのにまだ諦めてなかったのね。」
「シロガネはこんなところで何をしているの?」
「私は願いを叶えるランプによって死ぬまでこの城を掃除しないといけないの。」
多少の休憩は許容されているけどね。
そう笑う姫様の手は水掃除もしているからかアカギレで所々切れてしまって血を滲ませていた。大切に育てられた筈のシロガネ様がこんな目にあっているなんて辛いと思うのだけど彼女は笑っている。
さてとと彼女がまた掃除を始める。
「このままで悪いけど貴方、王からあれを盗んでくれるのね。」
「まあ、元々あれは僕のもののようなものですから。」
「そう。」
姫であったシロガネをこんな立場に追いやった原因なのにさほど取り乱しもせずにそれどころか少し残念そうな姿に首をかしげる。てっきり『あんなもの早く回収してよ。』ぐらい言われるのだと思っていたのだが。
「なによ。残念そうにみえる?」
「え、その。」
「道具は所詮使う人によって変わるのよ。しかも、あのランプには助けられたし。」
確かにそうか。
ランプに助けられたと言う意味はわからないけどルカさんが使っていたときはこんな問題が発生していなかったのに持ち主が王に変わってからこうなってしまったのだから道具は持ち主次第だったと言うことだろう。
「王の、いや魔道具の場所は何処?」
「魔道具と王は常に側にあるわ。下に向かいなさい。上の王の部屋にはだれもいないから。」
「姫様も来てくれない?」
外階段から上に行ったら誰もいない王の部屋に繋がっていたと言うことか。
今は城の下の方にいると教えてくれたがせっかくなので詳しい道案内をしてもらいたい。だからそう言ったのにシロガネ様は首を横に振る。
「魔道具の能力で掃除から逃れられないの。」
「それって場所や順番とかあるの?」
「いえ。でも休憩した後は直ぐに掃除行動をしないと死にかけるの。」
「ならこれならどうよ。」
僕は彼女に部屋の壁に掛かっていた数十センチ程の鏡と磨き布を持たせる。
それに少し本来なら金属のサビに塗るようなオイルを掃除用具から見つけて付けてしまえば鏡に油が広がりなかなか落ちなくなった。
そして姫様にそれを掃除するように言って身体をお姫様抱っこして部屋を出る。特に苦しそうな感じでも無いので問題なさそうだ。
こうすれば彼女は掃除しているし僕は道案内してもらえる。
「こ、これは考えていなかったわ。じゃなくて降ろして。歩けるから。」
「そう?だったら窓掃除でも良かったかな。」
でもそうするといちいち止まらないといけなくなるか。
そっと彼女を降ろすと彼女は鏡を拭きながら歩きだした。その隣に僕は歩き出す。鏡は油のせいでなかなか綺麗には出来ないので掃除は暫くはかかるだろう。しかも持ち歩けるので便利だろう。さすがは僕。ナイスアイデアでしょう。
「これなら長距離移動できるわね。」
「夜はどうしてたの?寝ずに掃除なんてできないでしょ?」
「ベッドの上はなら半日だけセーフティーになるの。そう言うふうに、ランプの魔人が抜け道を作ってくれたわ。すべて、何かしら抜け道を作ってくれているの。」
なるほど、ランプに助けられたということはそういう意味か。そう思えば寝ずの騎士にはゴーレムの札の弱点もあるし、城の幻影も幻影の対処を知るものが居れば対処できる。もしかしたら城下町の人達をぎりぎり生かしているのはランプの魔神なのかもしれない。
「魔道具のランプに住んでいる魔人はいつも泣いているのよ。」
「泣いている?」
「帰してって言っているのを聞いたわ。きっと貴方の元に帰りたいのね。」
直接合ってもいない僕の元に帰りたいねぇ。
魂の欠片だからと思えば変ではないか。
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