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青い光のスヴェトリナー
とある男の奮闘
しおりを挟むシンリ様とコウラン様と分かれて一時間はたった。もしかしたらもっと短い時間かもしれない。だけども騎士や兵士がウロウロしている状況で気がきではなかった。それにこんな場所に来ているのに姫様のを助けるのが後回しだと言うことも落ち着けない理由でもある。
姫様はおいらが同僚に頼まれた仕事で薔薇園の中で出逢った。こんな訛っていて臆病なおいらは皆からは苛つく原因だったのだと思う。良くそんなふうに仕事を押し付けられる事が多かった。
今日は薔薇の清掃だ。王様のお母様、姫様にとっての大婆様が手入れをしていたと言う薔薇はその美しさを保ったまま存在している。
子供の頃に母の手伝いでよく庭の手入れをしていたから問題ないが、一応は兵士であるおいらが手入れを出来なかったらどうなっていただろうか。きっとミスは自分のせいにされて追い出されていた事だろう。
パチリパチリて古い枝を切り、変に空洞にならないように花の位置を調整する。
足元に段々と古い枝がたまり、調整のため多く咲いた花も落ちている。この花は後で綺麗に取って部屋にでも飾ろう。
「あー!お祖母様の薔薇が!」
少し甲高い声が聞こえてそちらを振り向くと、光に輝く金糸と宝石の様に輝く瞳の少女がいた。
少女は顔を真っ赤にしておいらの足元にある薔薇を指さしていた。きっと幼いながらにお祖母様の薔薇が大切なのだろう。そんな薔薇を落としている者が居れば怒るのは分かる。
「なんてことをしているのよ。」
「‥…。」
「何か言いなさいよ。一生懸命に咲いているのに酷いじゃない。」
「こ、これは薔薇の剪定だべ。」
「だべ?」
とても訛っている自覚はある。
頭の中では普通なのに喋るとどうしてもイントネーションや方言が出てしまうのだ。
お祖母様の薔薇と言っていたからこの小さいながらに美しい少女は姫様なのだろう。不敬罪で処刑だろうか。
「そんなのは後で良いわ。何故薔薇の剪定をしているの?」
「古い薔薇や枝を正しく切れば次もめんこい花が咲くんだ。」
「めんこい?」
「すまねぇ。可愛いって意味だぁ。」
「そうだったのね。いつもの人ではなかったから慌てちゃったわ。ごめんなさい。」
「ひ、姫様が謝らないでくんろ。」
「あら私の正体わかってたのね。普通に話しているからてっきり‥…。」
「申し訳ねぇ。」
謝ろうと頭を下げようとしたら姫様に止められた。
姫様はにっこりと微笑んだ。
「謝らないで。ちょっと意地悪だったわね。少し無茶苦茶してて。」
「‥…だ、ダイジョブだぁ。」
「そう?それよりその格好は兵士よね。なんで薔薇の剪定をしているのよ。」
姫様が事情を聞いてきたので素直に話せば自分の事の様に怒ってくれた。姫様はその人の人となりを見てくれている。この時から姫様は時たまおいらに会いに来ては談笑して帰って行くようになった。
それを目撃するようになって同僚たちからのお願いの数が減った。
利用するつもりは無かったのだけど周りはそうは見ない。
あくる日、一人の貴族の出の騎士がおいらを呼び出した。
どうやって取り入ったのか紹介しろ等を聞いてきたがおいら自身何で気に入られたか分からなかったし紹介も支度なくて黙っていた。そしたら思い切り殴られた。『田舎者』『気持ち悪い』『ちゃんと喋ろ!』それらは今まで何度も言われた言葉だ。
相手が飽きるまでじっとしていれば大丈夫。
「何をしているのよ!」
「ひ、姫様。ちょっとした指導ですよ。」
「あらそう?ならルカを連れて行ってもいいわね。」
「え、あ、はい。」
姫様に手を引かれてその場を後にする。
姫様はおいらを強いと言ってくれる。どんなに辛いことがあってもじっと相手を想い堪えるのは凄いのだと。
そんなことは無いと何度も言うが更に否定されてしまう。おいらが凄いと言う笑顔が眩しい姫様は今は暗くてジメジメした所にいる。
懐かしい過去を思い出していたら居ても立っても居られなくなってしまった。
おいらにはあの騎士や兵士を倒すなんて出来やしないが、それでもここでずっと待つなんてことも出来ない。
シンリ様とコウラン様が無事に戻る確証もないのだから、このまま死ぬのなら行動をしてしまおう。
そう決心して、身を出すと城に向って走ってゆく。
大丈夫。おいらはこの城の内情に誰よりも詳しいじゃないか。
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