僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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青い光のスヴェトリナー

僕の青い光のスヴェトリナー

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「どんどんと増えては喚き散らす羽蟲どもが。」
「どんどん増えるという所は同意するよ。」



  オーガの攻撃を片手でいなすのが疲れてきていたが、そこに兄上が合流する。
 
 ルカさんはさめざめと泣くシロガネ様の肩を優しい手付きで抱き慰めた。ゴツゴツとした働き者の手は姫様の悲惨な現実に慰めとなっているようでその手に自らの手を添えて何度もルカさんの名前を呼んでいる。彼は瓶の中身を見ても目を背けることはしなかった。
 だからこそ気がついたのかもしれない。
 僕が見た魔女とは違いまだ息がある人がいることに。
 ルカさんは片手を姫様に添えつつも一つの瓶を手に取り考える。ランプによって封じられた者達を助けるにはどうするのか。


「大丈夫だべ。まだ間に合う人もいるさ。」
「ルカ?」
「ここから出せれば処置が出来る。任せろ。おいらは田舎のもんで大抵の処置はできるからよ。」


 ルカさんの声が聞こえる。どうやら瓶の中にはまだ生きている人も居るようだ。確か姫様はランプの魔人は抜け道を作ってくれていると言っていた。どうにか抜け出せる何か。中からでもやりようによっては抜け出せるのはあのコルク状の蓋をどうにかして外に出ることか、瓶を割って外に出ること。要は瓶の外に出せば良い。


「ルカさん、蓋を開けて彼らを外に出して。ここだと王に邪魔されるかもしれないからシロガネ様と一緒に別の所で。姫様は忘れないでね。」
「わ、分かっただ。」


 僕の言葉にいち早く反応してありたけの瓶を手に抱えて、姫様にも促してその場から離れていってくれる二人。部屋の片隅に放置された瓶の殆どが二人の手によって運ばれていったのを確認した。王はそちらに視線を向けて苦虫を噛み潰したような顔をしていてこちらを見ていない。兄上がオーガを相手取っているのでこのすきにと糸を引っ張りランプを僕の元に引き寄せようとしたが、王がどうやらランプを自分の身体に固定しているようで引っ張れない。

 かえって僕がランプに小細工していることがバレてしまった。
 これなら王の方に糸を差し向けておけば良かった。


「今、ランプを奪おうとしたな。」
「さあね。」
「ならぬ。吾の大事なランプを奪うなど反逆罪だ。ランプよ彼らも瓶に閉じ込めてしまえ。」


 じゃらじゃらと宝石を次々に何かの窪みに投下していく王様。
 青い炎が一段と輝き人のような形になる。僕と顔付きの似たその魔人は目尻から涙を滴らせていて辺りを魔力で充満させてそれが段々と取り囲むように圧縮されてゆく。

 だけど、それだけだった。

 魔力が瓶に具現化される前に弾けるように霧散する。

 その弾けた余波でオーガが砂塵へとかえってしまい復活する前に源の紙切れを切断しておく。ちなみに余波も僕達には影響せずむしろ王のほうが『くっ』といって防御態勢を取っているようだった。

 障害がなくなったので王様の元に近付いてゆく。

 王がランプの魔人に命じて動きを止めようとするも僕達のちかくになるとそれは飛散する。理由は明白。あのランプは僕だから。
 僕だから僕に魔力の攻撃は効かないし、僕が魂から尊敬する兄上にも効かない。
 

 そのことに思いたつこともなく疑問と焦りを滲ませた王が椅子から転げ落ちてランプがその手から離れた。慌てて取りに行こうとしているのを先に糸で引き寄せると僕の手の中でランプが共鳴する。僕に似た魔人を指で撫でて声をかける。


「お疲れ様。もう。休んで良いよ。」
「『かえして‥…。』」
「僕の中に帰って来ておいで。」
「『かえる?帰っていいの。』」


 青い炎が僕の中に溶け込む。
 その手に残ったのはただの珍しい紋様が刻まれた空のランプだけだった。
 そして僕の脳には知らない記憶が巡ったのだが、思わず僕は首を傾げた。ちよっと可笑しいのだ。そんな僕の様子に兄上が近寄ってくる。何か声をかけようとしたところでまだ地面に居る王がワナワナと身体を震わせて大声を上げた。


「何ということをしてくれた!吾のランプを返せ!」
「別にもう用済みだから良いけど。」
「ランプの魔人よこ奴らを殺せ!聞いているのか!殺せぇ!」


 ただのランプになってしまった物に命令をして、もう吸収しない宝石をじゃらじゃらと押し当てるが何も反応しない。
 それが分かるとせっかく返したのにこちらに投げつけてきた。


「どうしてくれる!吾の吾だけの理想の王国がぁ!」
「君の理想はこんな殺伐とした王国なんだね。」
「なんだと?」
「王国って国民で成り立っているんだよ?王がいての国なんじゃない。あくまで王はその国の顔なだけ。」
「何が分かると言うのだ平民がぁ!王がいるからこそ国民は生きられるのだ。」
「‥…その平民が分かることでも君には分からなかったんだね。」
 

 くすくすと笑うと。
 王はつかみかかってきた。それをヒョイと避けると王がまた地面に倒れ込む。彼の頭から王冠が落ちた。

小麦色の髪に濁ったオリーブ色の瞳。あのシロガネに似ていないやけに肥えた姿は国民からの甘い蜜のおかげか。

 今頃街も睡眠を取り戻して働くのを止めて眠りについただろうか。寝ずの騎士が排除されていれば事後処理もらくだろう。優しい魔人はきっとそこを考えてくれているかもしれない。そっと胸に手を当てる。


「さあ、罪を償う時だよ。」
「おのれぇ!」





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