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青い光のスヴェトリナー
僕と記憶の欠片
しおりを挟むおのれぇと飛びかかってきた王は僕に届く前に地面に倒された。
キッンと音を立てて兄上の剣が鞘に納まる。その直後に倒れた王の両足の建から小さく血飛沫が上がる。その後にダラダラと傷口から血が流れているのが見える。あれでは歩けなくなるだろうな。
「お前にはこの事態の責任を取ってもらう。」
「ぐっう‥…。」
「処罰は国民が決めてくれるだろう。楽しみだろ?」
冷たい視線で見下され足には痛みがはしる状態。心が折れるのにはそれだけで十分だった。がっくりと項垂れた王を放置して僕の方に近寄る兄上。兄上は聞きたいのだろう記憶を取り戻した僕の状態を。
『シンリ』といつもより緊張がある声色が呼びかける。
僕がすっと彼を見つめれば伸ばそうとしていた手が震えていた。
「兄上。」
「なんだ。辛いか?吐きそうか?」
「記憶が戻りませんでした。」
「はあ?」
正確にはかすかには戻っただが。
僕と兄上は前世でも完全なる血の繋がりはないきがする。僕は何処か暗い世界で生きていた。色んな人に合っていたようにも感じる。
モヤモヤとしか思い出せないのはランプが偽物だったからなのか。
いや、そんな感じはしなかった。それに僕達に力が効かなかった事から本物だったはず。
そう、だっただ。
僕は放られたランプを急いで拾うとまじまじと見つめる。王はこのランプに石を与えていた。そしてランプは『かえして』訴えていたという。もしかしてと思ったのは変に空いた窪みだ。何かが嵌まっていそうな、あえて言うなら宝石でも嵌まっていそうな窪み。『かえして』は『帰して』じゃなくて『返して』だったのでは?
今までも僕の記憶は石だった。
最初の国宝のネックレスの石に人形の国のシシリーの心臓となった石、それからダンジョンのコアとなっていた石だ。
記憶が戻って直ぐに僕の記憶の欠片の話になって、バルスさんは何て言っていた?
そうだ。『奇跡の秘宝』だ。
「おい!愚王、このランプの装飾はどうした!」
「ひっ!」
「シンリ、どういう事だ。」
「僕の記憶の欠片は『奇跡の秘宝。』石なんだ。このランプにはそれがついていない。」
「そ、そんなもの最初からついておらん。魔女が持ってきたときにはそのままだった。」
そう言えばルカさんが見つけて助けてくれたランプに宝石を嵌めようとしたと言っていた。という事は最初からなかったのか。いや、もしかしたら井戸に落ちているのかもしれない。井戸に戻って見るしかないか。
微かに記憶が戻ったのは残滓が残っていたからか。その残滓が魔人を生み出し、願いを叶えたと言うことだ。もしも完成品のランプならどれだけ凄い願いが叶ったことだろう。そう考えると今回はこれで良かったのかもしれない。
「どうしたの。」
事態の終焉がわかっているかの様にシロガネ様とルカさんが戻ってきた。
「私、掃除から開放されたから方がついたと思ったの。」
「ああ。そこに転がっているのが失った王様だよ。」
「お兄様。」
「処罰は国民が決めた方が納得するだろう。」
「‥…そ、そうね。」
「ちょうどルカさんに確認があったんだ。」
「何だべ?」
ルカさんにランプを見せて変わった点は無いか確認してもらったがやはり石は最初からハマっていなかった様だ。
兄上に視線を向けると首を振っている。どうやら他に思い当たる魔道具や不思議な出来事はないようだった。
ふう。と息を吐いて落着く。
まあ、無くても死ぬわけではないし奴らの情報も知らなくても大丈夫。なんとかしてみせるさ。
そう言い聞かせて強張っていた身体の力を抜いた。
とりあえずはこの事態の回復のお手伝いが先決。城に動ける人が少ない今、僕達も手伝わないといけない。街に姫様の使いの者として僕がいこう。面白いことも考えたし。
瓶に囚われていた人も約八割は息があり、ルカさんの治療で命を取り留めたらしいのでそちらの治療の手助けもしてもらわないと。ギルドにも協力を仰がないといけないしやることは多いぞ。
わたわたと動き始める僕を兄上が何処かホッとした表情で見つめていたことは気づかないことにした。それほどまでに僕にこの記憶が戻るのが恐ろしいのか。
「姫様。」
「何かしら。」
「お願いがあるのだけど。」
気を取り直して姫様に内緒のご相談。
家族がとんでもないことになってしまって辛いところだけど次へと進まなくてはならない。病に伏したと国民には言われていたが前国王は瓶の中で気丈に意識を保ち生きていた。だけど長時間の断食のせいで四肢の機能は失われてもう、王にはもどれないだろう。そうすると次にこの国の引いていくのは目の前の姫様だ。
シロガネ様はとても強い人だ。
僕の言葉に力強く頷いて、城中の掃除を命じられた中でもけして肌身から外さなかった自らの王族の紋章を渡してくれた。これを見せればシロガネ姫からの使いだと信じてくれるだろう。
国民はやっと自由を取り戻すことができるのだ。
「これは私からのお願いなのだけど‥…。」
「あらぁ。」
街に行こうとしたところを姫様に止められて更にゴニョゴニョ。
俯き耳まで赤くする姫様の願いを叶えてあげないといけませんな。
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