219 / 245
残り幾日かの狂騒曲
僕と心のほわほわ
しおりを挟む空は曇天のままで雷鳴が時々轟く様を呈している。空の向こうにはネオンが輝く街が見えている。こちらとは違い鉄やコンクリの広いようで小さい世界は徐々にこちらに近づいてきている。あの場所は何処なのだろうか。空には物騒な兵器が積まれた飛行機が飛び回っていた。
やはり、宝石を壊したというのにあの獣が言っていたようにこの異変が変わることはないようだ。
あと2ヶ所探し出して壊さないと行けない。いや、合計5つと言っていたことを考えると僕たちが所持する石を抜いて予備を考えたらあと3つか。
漆黒の魔獣の遺体を他の動物や魔獣が食べないように浄化を施し、地面に埋める。処理を終えた後は森の主の砂クジラに感謝の意を込めて礼をしたあと、巨木の砂クジラにまた飲まれて入り口まで送ってもらう。
意外と父様に懐いた砂クジラに今度は他の家族と遊びに来ると伝えると魔の森から出る。ここで今度ピクニックか。まあ、家の家族なら大丈夫だよね。
「シンリ、連絡が入った。」
兄上が連絡を取るための器具を持ちそう言う。
どうやら、向こうの世界の術者の者とコンタクト出来たとのことだ。
本来ならこんな事は許されないのだが今は異常事態。魔神達が密かに手助けしてくれたのだろう。
そうなれば一度城に戻ったほうが良さそうだ。
「疲れると思うけど、また転移魔法お願いしても良い?」
「シンリと違って戦ってはないから問題無い。行くぞ。」
さて、誰が出てくるかな。
独り言の言葉が僕に届いたがどうやら向こうの術者はコウにぃの知り合いかもしれないようだ。
転移魔法を展開してくれたおかげで直ぐに皆が集まる謁見の間へとついた。
謁見の間には大きな鏡の様な装置があり側には女神様が控えている。そして僕たちの姿が見えると手招きをして鏡の前に連れて来られた。
鏡を覗くとそこに映るのは僕の姿ではなく知っている服装だけど知らない人の姿があった。
前世で神事をしたりしたときによく来ていた狩衣を身に纏い、僕の姿に一瞬だけ目を見開いた男がそこに居た。 少し明るめの黒髪に茶色の混じった瞳のthe日本人と言った色合い。父様やコウにぃには劣るけど顔立ちはそれなりに整っている様に思える。
向こうは不思議そうに見ている僕に気が付いた様で人好きするような笑みを浮かべた。
僕の背後から覗き込んでいたコウにぃが珍しく慣れたように軽く手を上げると、男も手を軽くあげる。これではっきりしたがコウにぃの知り合いの様だ。僕に記憶が無いのはまだ回収出来ていない石のせいだろう。
「僕はシンリ・ディーレクトゥスです。もしかして僕を知っているかもしれませんがちょっと思い出せなくて。」
『ああ。事情は聞いているから大丈夫。俺は神代 和季。陰陽の調和を守る者だ。』
「じゃあ、同業者か。」
『ああ。今回の異常事態をおさめるべく使命を受けた。』
それならば、話は早い。
先程得た情報を混ぜて今わかっていることを話してゆけば、未だに状況が飲みこめて居なかったこちらの者も顔色を悪くしながら大人しく聞いていた。
向こうの世界ではだいぶ世界が混乱しているようだがあちらでは神はほぼノータッチの姿勢でこちらでカトレア様が世界に警告したようには出来ていないそう。
『こちらの世界にも要があるはずだな。そちらの重要と言われていたグランドオール?の対になりそうなのは樹海かな。』
「僕もそうだと思う。あと属性的には水辺か火山か土辺か鉱山か。人魚の国で敵にはあって石を奪ったからこちらは水辺は無いと思う。」
『なら、こちらはそちらを探してみよう。』
別の世界とこんなにも色々と意見交換出来るとは思わなかった。
しかも相手も同じ同業者であるという事で1から説明しなくても通じるのは助かる。
『誰か、式神様を。』
『御意。』
ああ。こちらの式神達は宵月以外は世界を駆け巡って調和の乱れを正してもらっている。宵月はあいも変わらず僕の腕できゅうきゅうと護衛?してくれていた。
和季が映ったときは少し反応を見せてくれたが今は興味ないとばかりに腕輪のフリをしている。
「所で敵さんの情報は?」
『ん?あ、ああ。数日前に邑輝の目撃はあった。』
「あれ、こっちには居ないのか。」
『どういうからくりか戻ってきたようだね。きっと黒幕にそちらの世界について報告したのだろう。』
「黒幕も知っているの?」
『ああ。俺にとって憎いけど憐れむ存在だよ。』
そう語った彼はとても寂しそうな表情をしている。
その黒幕の目的が僕かもしれないのだけどこんな大掛かりな事をする意味とはなんなのか。
『それは分からないな。いつも狂っている奴らだからね。』
狂っている奴らと言った時に鏡の向こうから複数の殺気を感じた。本当に黒幕とは何者なのだろう。
「大変だ。芸術の国で異変だ!多分要があるはずだ。」
さらに黒魔について聞こうとしたとき、謁見の間にシアさんが慌てた様子で入ってきた。どうやら要がありそうな場所を見つけてくれたみたいだ。あそこは職人の街で音楽の街。あの、骨の楽器や巨大な赤子を産み出したのに手を貸していたのが彼らだったのなら間違いない。
「和くん金属性、鉱山も探索不要だよ。」
『お、あ、うん。』
「どうかした?」
『いや、何でもない。ほら、行くんだろ?』
「もちろん。」
『気をつけて。こちらの世界は任せといてよ。ね、皆。』
おお!という声が聞こえた。
なんかその声の中に懐かしい声が聞こえた気がしてほわほわとした気持ちになる。不安も感じないのは知らないはずの彼を信頼しているから。
僕はもっと話していたくて後ろ髪が引かれる思いを感じながらもその場を離れた。
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる