僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
8 / 245
はじまりと記憶

僕の魔法は省エネモード

しおりを挟む
 



 どうやら僕の魔法コストは激しく少ないらしい。
 魔力がたったの50しかないのに、理を理解しているためあまり使わないのだとか、念のためコウランとは契約しておけという事で契約の儀式をすることになった。

 契約の儀式は血の儀式とも言われており、お互いの血によって契約される。


「お互いの傷を合わせて呪を唱える。」
「呪なら僕が言った方が良いかな。」
「そうだな。呪は“血の契約”」
『血の契約』


 合わさった指先に作った傷口から暖かなものが流れ込む。暖かいそれは全身をゆっくりと巡り
 しばらくしてその暖かいものが完全に馴染みきってなくなったら完了だ。


「ある国では奴隷と契約して搾り取ってる貴族もいるらしいぞ。」
「奴隷も居るんだ?」
「この国では既に廃止済みだ。」


 廃止済みと言うことは、昔はあったのか。
 
 それはさておき、コウランとの契約により僕の方は何かが変わったという事はないが、コウランの方は何か嬉しそうにしている。長年の付き合いだからわかるわずかな変化だ。


「嬉しそう。」
「分かるか?」
「もちろん。弟だからね。」
「シンと魔力を共有したらコントロールがうまくできるがしてな。」
「コウにぃの予感は当たるからね。」


 コウランがコントロール上手になったらますますのチートだろうな。

 二人で笑いあっていると、それに気分を害したらしい僕の家族達が間に入ってきた。
 皇帝陛下も彼らの行動には諦めているらしく、深いため息をついて遠くを眺めるような目付きで見つめている。

 こんど、なんかお詫びでも持ってきたほうがいいよね。

 
「そういえば、シンリは魔法詠唱が短いのね。」
「えっ!」
「確かに、契約の儀式だって長ったらしい呪文が必要のはずだし。」


 母様の言葉になにそれ、聞いてないんだけど?状態になりつつもでも、まぁ、転生者のセオリーでもあるけどね。と頭のどこかで冷静に受け止める。
 
 これについてはいろいろと理由が思い付く。その理由とは

 “言霊”

 僕の前世の副職業に関係するんだけど、特に僕が得意とした技術である。
 この技術は切り札としてとっておきたいので、たとえ家族とて秘密にさせてもらう。
 切り札はもうひとつあるのだけどね。


「きっと、転生者特権ですかね?」
「それなら、普段の会話で発動しないようにしないとね。さっきみたいな復元リターンとか。」 
「確かに。」


 気を付けなければ、あのときの復元は意識的に魔法使いのお兄さんの魔法の発音、感じそのままを真似したのだが、その際に言霊を無意識に使っていたのだろう。

 言霊はそのまま言葉に霊力を乗せる技、魔法の原理は言葉に魔力を乗せ魔力を糧に実現させる。似たような感覚の使い方である。そもそも、この世界に霊力ってあるのかな。 

 そういや、死ぬ間際頃になると動くのも億劫で使いまくってたからな。使い方が体に染み付いちゃってるのかも。


「こいつの事だから大丈夫だと思うけどな。」


 家族達が間に来たため少し離れたコウランの呆れたような物言いに、すべてを理解しているぞと言われたようで、乾いた笑いを浮かべてしまった。
 それにやっぱりなという視線が送られる。
 ちなみに僕以外の人はコウにぃの微妙なこの変化は分かっていないみたいだ。皇帝陛下はどうだかしらないけどね。

 
「じゃあ、日常会話で発動するわけではないのね。」
「恐らくは。もっと確実なのはあいつらの記憶を取り戻すことだな。」
「あいつらって六花さんに紫暗さんの事?」
「ああ。」


 コウにぃってば思い出さなくても良いっていったじゃん。

 たが、確かに僕が今後気を付けるから間違えることはほぼ無いとはいえ、万が一ということがあるしな。確実というなら思い出しておきたいな。

 でもそもそも、僕の記憶はどこにあるのかわからないし形状も知らないのだけど。


「ねぇ、シンリの記憶を取り戻すってどういうことだい?」


 そう聞いてきたのはヴァン兄様だった。
 何故か考え事ポーズをしていた僕の頭をなでなでしながら聞いてきた。
 そこで、まだ転生者であることしか説明していなかった事に気付き軽く説明することにした。この場に今いるのは聞かれても大丈夫そうな人たちばかりだしね。
 ちなみに、魔法使いの人達は粗方直し終えてツッコミのお兄さんに後を任せて退出している。お兄さんドンマイ。
 このお兄さんなら良いかな。
 皇帝陛下も興味深々でこちらに熱い視線を送ってきているし早くお話した方が良いだろう。さっきまでの死んだような目じゃない皇帝陛下様はイケおじ様で素敵です。
 

「僕の記憶は転生時にこの世界に散らばったらしいのです。」
「1つは俺がシンの口に突っ込んだ宝玉だ。」


 あれって宝玉だったんだ。
 他の記憶もそんな感じなのかな。


「たぶん、あと2つの記憶が散らばっている。」
「2つ?」
「1つはあいつらの事。もう1つは大切な仲間の記憶だ。」


 コウランが2つと言ったときに微かに雰囲気に違和感を感じたが、それに気づかなかったふりをした。
 コウランがわざと言わないのであればきっと僕にとっては良いことではないのだろう。

 しかし、どうやってその記憶を見つけるかな。


「シンリの記憶か。」
「転生時だろ?5年前か。」


 そんな昔にどこかにいった記憶が宝玉状ならなんかの細工にされていそうだよね。
 僕なら剣の飾りにでもしちゃう。


「俺が見つけたのはネックレスだった。」


 やっぱり。


「コウラン!まさか愛光の雫か?」
「ああ。」
「あれは国宝だぞ!」


 衝撃の事実判明。僕の記憶は国宝だったみたいです。

 コウランは素知らぬ顔をして皇帝陛下の話をスルーしている。いや、そこはちゃんと聞こうよ。
 記憶をもらった僕がいうことじゃないけど。


「兄様、愛光の雫って?」
「ん?」
「5年前にこの国の商人が遺跡から見つけた宝玉の名前だ。」
「その宝玉を持つ人が善行の心を持つものなら幸せに成れるって噂でね、より良い皇帝の印として献上されたんだよ。」


 兄様方の服をつんつん引っ張り愛光の雫について問えば、二人は優しく教えてくれる。
 

「代わりの物を用意すれば良いんだろ?」
「出来るものならな。」
「こいつに後の記憶が戻れば、いくらでも用意してやる。」


 なんということを言い出すのか。
 そもそも、僕の記憶なんだからそんなポコポコ用意できるわけ無いだろうに。それとも、あの人たちの記憶になんかあるのかな。
 じゃあ、尚更取り戻さないと。
 
 記憶の行方に頭を悩ましていた僕にきっかけをくれたのはまさかの、いや、予感がしてたのかもしれないあの人でした。


「5年前ねぇ……まさかな。」


 魔法使いのお兄さんの仕事がようやく終わったのか、部屋を退出する際に何か思い出したようなので、お話しようとしたら父様が既に確保済みでした。
 さすが父様。カッコいい。


「こ、心当たりというか、五年前って遺跡に変化があった年でその後に他国で奇跡の秘宝が遺跡から発見されましたよね。」
「……。」
「そういえばって顔をしないでくださいよぉ。」
「で、奇跡の秘宝が渡った場所は。」
「私が知っているのは人形の国ニブヘイムしか知りません!」


 5年前以降に遺跡から出たって愛光の雫と同じだから可能性は確かに高いかも。
 人形の国ニブヘイムってどのような場所なんだろうか。
 それを聞こうとしたら、場の空気が変わっているのに気がついた。
 何かピリピリしている。

 父様に猫の様に襟首で持ち上げられているお兄さんがかわいそうなほど青ざめた顔色をしている。

 これはいったい。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

処理中です...