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残り幾日かの狂騒曲
僕と余計な置土産
しおりを挟むほぼほぼミンチになった化けガエルの肉片がピクピクと動いている。
糸を振り絡みついた血肉を落とすと、べしゃっと床に落ちた。その肉片に目線を剝けているとナメクジの様にゆっくりと肉片の大元に戻ろうと動いていた。本体の肉片も元に戻ろうとしているのを眺めながらあるものを探す。
「やっぱり戻ってしまう。」
「試した?」
「うん。最初に。」
まあ、これぐらいは戦っていたら思いつくか。
ウゴウゴと蠢く血をしたたらせた肉片が少しずつ塊へとなってゆく。その中に目的の物を見つけたので器用に糸を使って取り出した。それは翡翠色の輝く宝石。それを取った瞬間、肉片の動きが止まり取り返そうとこちらに進路を変えてきた。
「やっぱり。」
「その宝石から手を離して。」
「いや、壊してしまおう。」
グレイシアが僕の方に向かってこようとする肉片を見て、石を叩き落とそうとしていたがそれを避けると流石に握力で壊すことは出来ないのでナイフを取り出し壊した。石は砂塵に変わり風によって舞い散る。石が壊れたと同時に肉片の動きが止まりただの肉片に成り下がった。
やはりこの石が原因で身体を変異させてさらには再生能力を上げられていた。
先程魔の森でやりあった漆黒の魔獣は魔法に焦がれていた人が獣に食べられて要になった。その際、魔法では無いが似たような技が札もなく使えるようになっていた。
今回は勇者という名に憧れた王が要になった。
彼はこの城で子供を使って研究をしていた。その子供たちの怨念が生きたいと願いながら石に力を与えて王が要になったと言うなら‥…。
直接にしろ間接的にしろ願いはある意味かなっている。
今は無いが聖剣が効かない化け物であった可能性もあるはずだ。
「ダウニー元公爵。一体何があった。」
「な、何もしらん。見てもいない!」
「一緒の牢獄にいたのにか?」
「知らん!」
「ムラキから見捨てられたのに義理立てするか?」
「!」
本当は見捨てられた事よりも何か喋ることでの報復のほうが恐ろしくて何も喋らないのはわかっている。目の前で内心どう思っていたかはわからないが仲間が異形の者に変じたのだ。それは精神的に辛かったことだろう。子供を実験に使い殺していたのだから同情はしないけど。
「それとも僕達がこうして助けたのを見て裏切り者と思われたかもしれないな。」
「ひっ。」
「話したほうが安全かもしれないよ。」
「うう。」
まあ、その後話を聞いた限りあまり有用な内容でなかったので割愛する。
ムラキの手下が王様を要にしたのを見る限り元公爵よりも情報を持っていたのはこっちだったという事。
証人も消えるし混乱も起こせるし要にも出来た。一石二鳥どころか一石三鳥ぐらいは儲けている。
再度開いている牢屋にダウニー元公爵を押し入れているとクラウスさんからの使いが慌ててこの場に現れた。
「が、ガスにお気を付け下さい!」
サラート夫妻の囲っているガスを皆が注目する。
ガスを吸った兵士が気絶したというので封じてくれていたがその兵士が王と同じく変異してしまったそうだ。それならばガスを漏らすことはしてはならない重要案件だ。
兵士の説明に上でも戦闘が起こっている事を察してグレイシアは牢獄から地上に走ってゆく。僕は取り敢えず、サラート夫妻に煙を捕らえて身体の変化は無いかなど訪ねたあとにガスをどうするか相談をしておく。もしもこのガスがここだけで収まっているなら良いが、上での兵士も同じくガスを発しているならそちらもどうにかしないと行けないし、サラート夫妻にずっと囲んで置いてもらうのも現実的ではない。
「『なら、こうしよう。』」
サラート夫妻は片方が結界を維持し、もう片方が新たな魔法を使い始める。呪文の内容的にまた結界の呪文のようだったが結界の中のガスがみるみるうちに圧縮されてゆく。最終的にはビー玉ぐらいの大きさの塊へとなった。
「『これなら大丈夫。』」
結界が外されてしばらく様子を見るも大丈夫そうなのでその塊を手にする。中で濃く色づいた緑色が蠢いていてその、周りを硬化した硝子のようなもので覆われている。
「『どこかの城で人間がビンに閉じ込められてイルノ見たという話を聞いてやってみた。』」
「どこかの国ね。まあいいや、じゃあこのガスはこうやって対処するとして上に行こうか。」
「『そうしよう。』」
背後でダウニー元公爵が騒いでいたがそれを無視して位牌もどきを手にとり騒ぎが起こっているだろう地上に上がってゆく。
地上ではわあわあこえが喧騒の声が聞こえてきている。
その騒ぎの元に行けば城が大破しようとしている現場だった。
そこにはグレイシアとクラウスさん、それに魔王ゲフン兄上が居て対峙するは肌が緑色に爛れたここの兵士の服装の大勢だ。
その体からは案の定ガスが出ていてそれで広がってしまったのだろう。だけども、この大破した城はどうしたことかね。
「サラート夫妻、ガスの処理をお願いします。」
「『彼らと共に一度フウジル』」
キッンと甲高い音と共に結界がはられて中の感染した兵士と共にガスが封じ込められた。
「まるでバイオハザードだな。」
「下の処理は終えたのですかな。」
「はい。サラート夫妻がガスも処理しました。」
「うむ。こちらもこれ以上の感染を阻止すべく換気を試みた。」
あ、この城の大破って換気のためでしたか。
ま、まあ地上なら牢屋と違って薄まるだろうにいい判断だよね。
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