僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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残り幾日かの狂騒曲

僕と置土産の処理

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 曇天の曇り空に雷鳴がなり響く光景を観ながら、結界に封じられたゾンビ元いガスを吸って変異してしまった兵士をみる。
 彼らはきっとグレイシアやラウルス家と共に国を再建しようとした兵士たちなのだろうね。グレイシアもクラウスさんも攻撃の手は緩い。

 助かる見込みがないのならさっさと楽にしてあげるのが情というもの。
 兄上が一体を切り倒そうとしたとき、サラート夫妻の結界に拒まれた。牢屋ではこちらの攻撃だけ通るような結界を使っていたのでその弾かれる音が響き驚く。

 彼らの感情は理解はできが今は優先していられない。原因の石を壊したのに戻らない所を見るともう手遅れだ。

 
「何を躊躇う。」
「父様?。」
「助ければ良いだけだ。」


 もう助からないと思っていたのに父様が剣を構えて希望を口にする。それは死という平穏の助けなのか本当に助けられるのか。
 グレイシアもクラウスさんも突然現れた僕の父様に視線を送る。
 彼らにしたら希望の輝きに見えるだろう。


「父様、いらぬ希望は‥…。」
「大丈夫だ。コレの原因である蝦蟇は倒したのであろう?」
「はい。元王が変異していました。」
「ほう。それは興味深い。後で死体を見せてもらおう。」
「本当に彼らは助かるのですか。」
「勿論だ。この症状を発する蝦蟇はディーレクトゥス家領土にもいるからな。」


 マジか。

  先程のシリアスな雰囲気が吹き飛んだ。
 顔見知りぽい兵士たちを涙ぐみながら相手取っていたグレイシアが目元を拭う。


「どうすればいいですか。」
「感染初期なら聖水を飲ませれば良いし、今の中期なら‥…シンリ、あの結界一杯に聖水は作れるか?」
「教会が三日三晩お祈りをして‥…。」
「出来ます。」
「え?」
「え?」


 そうか、こっちじゃ教会が三日三晩お祈りをして作っているのか。
 
 僕は呆れた様子の剣を納めたコウにぃにため息をつかれながら、流石我が子だと褒める父様に抱き上げられていた。


「なら、あの者達を溺れさせなさい。流石にガスはどうしようも出来ないから除去してくれ。」
「『分かった。感謝する。』」


 牢屋でやったようにガスだけを小さなビー玉に封じると次なるガスが出る前に空間魔法に収めていた聖水をジョボジョボと結界の天井部分に開けられた穴から投入する。
 最初は聖水に触れて『ぎゃああ』や『ぐぉお』と叫んでいた者たちだったが徐々に静かになり、結界の中は水が満帆になった。スノードームみたいだなと思いながら見ていると父様は時計を取り出して時間を測りだした。


「老人や子供にはこの手は使えないが、兵士なら生きていられるだろう。」
「結構アバウトなんだね。」
「応急処置等そんなものだ。」


 1、2分ぐらいたったであろうか、父様が手を上げるとサラート夫妻は結界を解除した。びしゃと床に広がる聖水は盛大に壊れた城の壁から外へ流れ出ていく。
 残ったのは緑だった肌から元の肌に戻った兵士達だった。


「力を供給する蝦蟇さえいなければ、残りは残渣を消せば良い。流石に数日経つと本人が本体になる可能性があるが。」
「運が良かったと。」
「ああ。聖水を大量に用意できる自慢の子もいたからな。」


 髪をわしゃわしゃされて父様に褒められた。
 チートな父様に褒められるなんてなんか嬉しいぞ。
「これだけの量の聖水を作り出すとはやはり只者ではないな。」なんてクラウスさんが言っていたけどこれぐらいはズルをしているので簡単なんだけどな。

 
「取り敢えず、水を飲んでいるかも知れないから吐かせて休ませよう。グレイシア、頼んで良いかい?」
「わかってる。シンリはあの異変をどうにかするんだよね。行って。」
「有難う。シアさんもここの後処理を頼むよ。」


 動けそうな人に指示を出すと、グレイシアが空の異変を指さして先に行くように促してくれた。だけど、あと一箇所の要の場所はまだわからずしまい。一度、神の国に戻る方が良いのか迷っていると、遅れて合流した父様が思い出したかのように獣人街の外れを指さした。そこは獣人街から外に行けるようになっている関所のような場所だ。
 前に来たときは獣人はそちらに行けと言われたり、通行料金が馬鹿高かったりしたんだったな。


「あちらから、怪しい黒服の女が出て行った。急いで知らせようと思ってな。」
「え、もうだいぶ出遅れた?」
「安心しろ。マーキングはしてある。」
「流石、父様。」


 抜かりない父様に感謝しながらその怪しい黒服の女を追ってみることにする。もしかしたら、変異した王様の様子を見に来たのかもしれない。

 父様曰く、馬や魔獣を乗っていた様子はないとの事だった。

 獣人街の先は荒野が広がっているもうすぐあの日から2日経とうとしている。あちらの神々もこちらの神々も魔神達父上も師走並みに忙しく動いているはずだ。向こうの理を知るもの達も動いているのだから僕達も最後の石に関する何か手懸りを得ないと。


「この先は何がある?」
「地図上だと平野が続いているはずだ。」
「そこならばアジトとか作れそうだね。」


 誰も通らなそうな場所なら人目を引く事もないし色々と実験や修行等をやれるであろう。そしてその予感は当たるのだった。




 
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