僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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残り幾日かの狂騒曲

一寸の光り

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 あたしは、とあるエルフの国で生まれた。
 エルフは自然と生き自然と友になりて自然の地で生を終えると言われている。それが我々にとって幸せなことなのだと。
 そんな国の中で生きていくにはあたしと母は異質な存在である。
 あたしの父は誰かは知らないがエルフの国の誰かだという。母はたまたまこの国に行商に来ていたただの人間ヒューマンだった。どこに惹かれたのかわからないが二人はあたしを生み出した。
 他のエルフとは異なる短い、だけども普通の人よりは長い耳に、エルフが得意とする精霊魔法は使えないが精霊とは対話できる。

 何事も中途半端で嫌になる。

 他とは異質の存在を排除しようとするのはどこの国も同じ事。中途半端なアタシは格好のいじめの標的だった。嘲り笑い暴力も日常的にされた。だからこそアタシは魔法を諦め剣を鍛えた。
 自分の身長よりも重い剣も扱えるようになれば周りの目は嘲りから恐怖に変わってゆくのが分かる。

 成長したあたしが選んだのはクレイモアで本来の両手剣である物を片手で軽く扱えるまでになっていた。そうしてあたしはエルフの国から去る。勿論、報復はきちんとさせてもらった。今頃あたしは指名手配されていることだろう。


 それからしばらくたったある日。
 運命の出会いをすることになった。
 精霊と対話して目的のモンスターを退治しようとしていた時だ。精霊達が急に怯え始め逃げ出した。その逃げ出す方向と反対の方に向かって進むと、とても神秘的な男が居た。
 それがムラキ様との出会いだった。
 
 ムラキ様との出会いは一筋の光の様であたしに知らない世界を見せてくれた。精霊や魔素など必要の無い魔法の様な物、あたしとは正反対の静の動作の格闘術。何よりもムラキ様が探していると言う人物はお姫様の様に輝いているのに戦いの時にだけ見せるその冷たい瞳が見惚れるほど美しかった。
 彼女はいろんな『コトワリ』というのに雁字搦めで大変なのだという。ならば救って差し上げなければ。
 
 ムラキ様はどうやら組織を作っているらしい。世界を変える大事な計画のための組織だ。
 もしかしたらその組織に入ればあの方に直接会えるかもしれない。あたしは迷わずムラキ様に仲間にしてほしいと伝えて仲間になった。世界中に我々の仲間がいる。
 いよいよ、世界を変える計画を実施していると待ち焦がれたあの方に会った。


 人魚の国の海で計画のための要を作ろうと魔獣の封印された場所に来ていた。都合よくパーティーなんてしていたから簡単に忍び込めた。だけども要を作るための石がたまたまパーティーを途中で抜けてきた人魚に奪われた。

 結局は取り戻せなかったけどあの方、シシリー様に会えたからもう良いわ。石を奪われてしまったのであまり行きたくなかったけどドラゴンの住むとある火山に行くことになってしまったけどあの方に生で、しかもあんなに間近で触れ合えるなんて感激。


 そして今も目の前で立ち塞がる二人の姿をみて笑いがとまらない。
 一人はよく知らない男だけど、もうひとりはあたしの待ち望んでいたあの御方。なんでこんなところにいるか知らないけどとても幸運だ。
 その姿は変装のつもりかの男物の装備で身を固めていた。水の中であったときは動きづらいからだと思っていたけどそうね、麗しの女性が仲間ムラキ様と離れて生きてきたら変装もするはずだ。




。ムラキの手下さん。」
「な、何を‥…。」
「誰だ貴様!」
「やめろ!ムラキ様の探し人だ!」



 確かに今はフードを被っているからわからないのかもしれないそう思ってフードを外すもその反応は芳しくない。事情を知らないお供がざわざわとしている。いったいどういうことなのか。






 予想通り、女は目に見えて動揺している。
 数分前、音の国ミュージアに入る前に決着をつけたほうが良いと話になった時、コウにぃから初めてあったフリをしろと言われた。あれ程までにシシリーを慕っている様な感じなら似た人物が二人も居たら、しかも一度会っているのに会ってないふりをすれば動揺し制しやすくなると。

 フードを外されようが前回はシシリーとして会っているので何も反応を返さないようにした。どうやら全員がムラキの探し人であるシシリーの顔を知っているわけでは無さそうだ。確かに魔の森の男もしらなかったようだしな。


「シシリー様、ご冗談は‥…。」
「シシリー?ああ。義妹の事か。そういえば、ムラキストーカーに悩んでいたな。」
「ストーカー?それに妹って。」
「あれ、ムラキに聞いてないのかい?ディーレクトゥスは養子にした子供と同い年の子が居るって。それに僕も母にそっくりだから自然と双子の様だろ?」
「まさか。」
「こちらはそのシシリーの婚約している男さ。」
「そろそろ結婚でもいいがな。」


 いやいや、それは僕が困る。いや、有りか?

 それは置いといて、話していくうちに色々と理解してきた女は鋭い目つきでコウにぃを睨んできた。 
 背にあるクレイモアを手に取ろうとしたところで異変に気が付いた様だ。そう。ただ単に話していた訳ではない。彼らの周りに話しているうちに暗器を仕込ませてもらったのだ。

 彼女を動揺させたのもその仕込みに気づかれると困るから。


僕は手を彼らに見せつけて握りしめた。

 それが合図となり周辺の地面から銀色に輝く針が彼らを襲いかかる。






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