僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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残り幾日かの狂騒曲

僕と新たな旅路

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「で、どうだった?」
「大体の場所は分かった。西の火山だ。」


 僕達の眼の前にはなんでこうなってしまったのか恐怖の表情の女の遺体。
 別に止めは刺していないよ。ただこれからの未来のなさと尋問の恐怖で心臓が勝手に止まっただけさ。
 魔法も使わないで情報だけを抜き取られるって恐怖だよ。さらにはとある暗躍していた組織のメンバーならこの先は情報をバラした裏切り者として始末される。しかも制裁も込めて。その事に思い至ったらあとは恐怖に震えながら尋問を受けていた。

 四肢も動かないし絶望しかなかっただろう。


「西の火山だといくつかあるけど絞れたのは3つか。分かれて探す?」
「いや、強いとはいえ狙われているのはお前だ。一人には出来ない。」
「じゃあ、どうしょうか。一つずつあたってたら時間が足りないよ。」


 西の火山は小さいのも合わせれば片手では収まりきらないぐらいある。その中で前例2件と人魚の国の出来事を踏まえて考えると候補は数か所に絞られた。兄上の読心術で残り3つまで絞られた所で彼女の心臓は持たなかったようだ。本来ならもっと多かった事を考えたらだいぶ楽だけど今はもう残り三日目に突入しようとしているのだ。


「せめて2つならシヤさんを含めて二人づつ分けられたのに。」
「もしかしたらディーレクトゥス辺境伯が何かつかめたかもしれない。戻ってみるぞ。」
「分かった。」


 

 こうして集落に戻ってきたのだけど、辺りは騒然としていた。

 人々が過ごしていただろう家の壁には血が飛びちり地面には人が武器を持って倒れている。息のあるものは見たところ居ないようで、今度は隠れて様子を見ることなく集落に堂々と入って行った。

 中に入ると外から見たときより倒れている人が多く血の匂いが充満している。慣れないものなら酔ってしまいそうなその濃い匂いに眉を潜めて先に行くと、3人に絡まれている父様を見つけた。

 3人は各々武器を持っているが父様はぱっと見剣に手を添えているだけだった。なのに3人は余裕のない様子でオロオロと襲うか悩んでいる様子だ。そのうちに焦れた一人が襲いかかった。残りの二人が静止したようだが覚悟を決めたそのものは父様に襲いかかった瞬間に胴体を真っ二つにされて地面に転がる。


「ほう。居合か。」
「速いね。」


 血が地面弧を描くように飛んでいる。一瞬で剣を抜き、対象物を薙いで剣から血を落とす。一連の動きを一秒もかからずにこなしているようだ。

 残りの二人が戦意喪失して逃げ出すのは追わない。自らにかかる火の粉だけを払った父様はこちらに気が付き寄ってきた。


「喋れる事がバレて正体もバレてね。」
「こっちは兄上が脅して死んだ。」
「人聞きが悪いな。」
「でも、西の火山だということは分かっているよ。」
「なら、良かった。こっちは名前はわかったのだけど西か東かわからなかったんだ。」


 ちょうど2つの情報で1つの正解って感じだ。

 3つ目の要の場所は西のサイクロプス火山だ。
 名前の通り一つ目の巨人のサイクロプスがいる山で普通の冒険者では麓でサイクロプスの子供にやられ、中腹から頂上まではその火山の熱気で対策していないと焼け死んでしまうそうだ。魔法が使えれば防火やなんやら対策ができるが、この魔法が使えない集団ではいくらムラキが札で対策しようと命がけだったであろう。

 
「石が取り込まれていそうな魔獣は頂上に居るだろう。」
「じゃあ、これから登山ですね。」
「いや、こればかりは明日を待たねばならない。」
「?」
「西のサイクロプス火山は西の魔王の領域なのだ。」


 なるほど。
 普通には旅行も出来ない領土ということなのか。このいち大事だから無理やり入ることも可能だが、後々に難癖つけられないように慎重に行動しないと行けないと。
 魔族を収める魔王様。場所によっては人族と仲がいいが、場所によっては唯一崇めるのは魔王様で人が神を崇めているのが気に食わない奴らも居るとか。

 トップの魔神様方は気にしていないけど少なからずそれによって争いが起こることもあるようだ。こちらの女神様、カトレア様と魔王の一人が直接争った話も聞かないので水面下のイザコザだ。


まあ、とにかく、サイクロプス火山はそういう部族が住んでいると言うことだろう。何ならサイクロプスがそうか?


「身体を休めるいい機会だと思って一日我慢してくれ。」
「わかったよ。だけど向かうのはいいでしょ?馬車で身体は休めるし。」
「そうだな。許可が出たら即座に動ける方がいいだろう。」


 
 僕達は一度、音の国に戻り今回の事件に関与している部落の制圧とその処理を音の国のギルドに任せて、神の国に3つ目の所在の報告をした。
 少し気まずそうな顔をしたが、なにやら学園長が伝があるらしく早急に対処をしてくれることとなった。
 それならばと僕達はそのまま西のサイクロプス火山に向かう。

 あちらの世界での進捗も少し聞いたが、どうやら樹海に強力な結界がはられていてそこの看破に時間を取られているらしい。
 他の2つは見つけ出し破壊済みとの事であちらもだいたい同じぐらいのようだ。
 他の2つは水辺と砂漠にあったというからこちらの火山は間違いな。



残りの日にちあと3日。




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