僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
226 / 245
残り幾日かの狂騒曲

僕と新たな旅路

しおりを挟む





「で、どうだった?」
「大体の場所は分かった。西の火山だ。」


 僕達の眼の前にはなんでこうなってしまったのか恐怖の表情の女の遺体。
 別に止めは刺していないよ。ただこれからの未来のなさと尋問の恐怖で心臓が勝手に止まっただけさ。
 魔法も使わないで情報だけを抜き取られるって恐怖だよ。さらにはとある暗躍していた組織のメンバーならこの先は情報をバラした裏切り者として始末される。しかも制裁も込めて。その事に思い至ったらあとは恐怖に震えながら尋問を受けていた。

 四肢も動かないし絶望しかなかっただろう。


「西の火山だといくつかあるけど絞れたのは3つか。分かれて探す?」
「いや、強いとはいえ狙われているのはお前だ。一人には出来ない。」
「じゃあ、どうしょうか。一つずつあたってたら時間が足りないよ。」


 西の火山は小さいのも合わせれば片手では収まりきらないぐらいある。その中で前例2件と人魚の国の出来事を踏まえて考えると候補は数か所に絞られた。兄上の読心術で残り3つまで絞られた所で彼女の心臓は持たなかったようだ。本来ならもっと多かった事を考えたらだいぶ楽だけど今はもう残り三日目に突入しようとしているのだ。


「せめて2つならシヤさんを含めて二人づつ分けられたのに。」
「もしかしたらディーレクトゥス辺境伯が何かつかめたかもしれない。戻ってみるぞ。」
「分かった。」


 

 こうして集落に戻ってきたのだけど、辺りは騒然としていた。

 人々が過ごしていただろう家の壁には血が飛びちり地面には人が武器を持って倒れている。息のあるものは見たところ居ないようで、今度は隠れて様子を見ることなく集落に堂々と入って行った。

 中に入ると外から見たときより倒れている人が多く血の匂いが充満している。慣れないものなら酔ってしまいそうなその濃い匂いに眉を潜めて先に行くと、3人に絡まれている父様を見つけた。

 3人は各々武器を持っているが父様はぱっと見剣に手を添えているだけだった。なのに3人は余裕のない様子でオロオロと襲うか悩んでいる様子だ。そのうちに焦れた一人が襲いかかった。残りの二人が静止したようだが覚悟を決めたそのものは父様に襲いかかった瞬間に胴体を真っ二つにされて地面に転がる。


「ほう。居合か。」
「速いね。」


 血が地面弧を描くように飛んでいる。一瞬で剣を抜き、対象物を薙いで剣から血を落とす。一連の動きを一秒もかからずにこなしているようだ。

 残りの二人が戦意喪失して逃げ出すのは追わない。自らにかかる火の粉だけを払った父様はこちらに気が付き寄ってきた。


「喋れる事がバレて正体もバレてね。」
「こっちは兄上が脅して死んだ。」
「人聞きが悪いな。」
「でも、西の火山だということは分かっているよ。」
「なら、良かった。こっちは名前はわかったのだけど西か東かわからなかったんだ。」


 ちょうど2つの情報で1つの正解って感じだ。

 3つ目の要の場所は西のサイクロプス火山だ。
 名前の通り一つ目の巨人のサイクロプスがいる山で普通の冒険者では麓でサイクロプスの子供にやられ、中腹から頂上まではその火山の熱気で対策していないと焼け死んでしまうそうだ。魔法が使えれば防火やなんやら対策ができるが、この魔法が使えない集団ではいくらムラキが札で対策しようと命がけだったであろう。

 
「石が取り込まれていそうな魔獣は頂上に居るだろう。」
「じゃあ、これから登山ですね。」
「いや、こればかりは明日を待たねばならない。」
「?」
「西のサイクロプス火山は西の魔王の領域なのだ。」


 なるほど。
 普通には旅行も出来ない領土ということなのか。このいち大事だから無理やり入ることも可能だが、後々に難癖つけられないように慎重に行動しないと行けないと。
 魔族を収める魔王様。場所によっては人族と仲がいいが、場所によっては唯一崇めるのは魔王様で人が神を崇めているのが気に食わない奴らも居るとか。

 トップの魔神様方は気にしていないけど少なからずそれによって争いが起こることもあるようだ。こちらの女神様、カトレア様と魔王の一人が直接争った話も聞かないので水面下のイザコザだ。


まあ、とにかく、サイクロプス火山はそういう部族が住んでいると言うことだろう。何ならサイクロプスがそうか?


「身体を休めるいい機会だと思って一日我慢してくれ。」
「わかったよ。だけど向かうのはいいでしょ?馬車で身体は休めるし。」
「そうだな。許可が出たら即座に動ける方がいいだろう。」


 
 僕達は一度、音の国に戻り今回の事件に関与している部落の制圧とその処理を音の国のギルドに任せて、神の国に3つ目の所在の報告をした。
 少し気まずそうな顔をしたが、なにやら学園長が伝があるらしく早急に対処をしてくれることとなった。
 それならばと僕達はそのまま西のサイクロプス火山に向かう。

 あちらの世界での進捗も少し聞いたが、どうやら樹海に強力な結界がはられていてそこの看破に時間を取られているらしい。
 他の2つは見つけ出し破壊済みとの事であちらもだいたい同じぐらいのようだ。
 他の2つは水辺と砂漠にあったというからこちらの火山は間違いな。



残りの日にちあと3日。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...