僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
227 / 245
残り幾日かの狂騒曲

僕の灼熱の大地

しおりを挟む




    

 数時間後、僕達は西のサイクロプス火山の入口に来ていた。事情は女神の方からすでに魔王達にも伝えてくれていたようで、すんなりと領土の通行が出来た。魔族内でもこの火山の異変は気が付いていたようで内々のうちに方を付けようと、してくれていたらしい。しかし、その行動は不発に終わった。

 山を取り囲む様に見たことの無い結界が発生したからだ。
 中に取り残された仲間もいたがその結界はこちらの領分であったのでどうしたらいいか分からなかったのだろう。

 西の魔王からの指示を受けた魔族の人達に山まで案内してもらいその結界を見ると火山という火の属性に対して強い水の属性の結界が使われていた。すぐに組まれた術式を紐解くといともかんたんに解いてみせた。

 その瞬間、山の方からは皮膚がチリつくほどの熱風が襲いかかった。その事に顔を歪めて移動の時にもしもと思って造っておいた護符をそれぞれに渡す。火山という話だったので万が一火口に入ることになっても大丈夫な仕様である。

 こうやって対策ができた僕達だけど熱風は周囲の草花をしおらせていて、目に見える山は暑さのせいで蜃気楼の様に歪んでいる。おそらくこれは上に行くほど暑さが凄いことを教えているようだった。
 今までは結界がこの熱気を山の所で抑えていたが結界がない今、近くの村に被害が出るかもしれない。

 僕は周囲に揺蕩う精霊に話しかけてなるべく温度を適温に下げてくれるようにお願いをした。


愛し子貴方の為でしたら‥…。』


 直ぐに本来はここに居ないはずの美人な氷の精霊が現れ、吐息が吐かれると周辺の温度が下がったようだ。さらには万が一を考えて加護までつけてくれて優しく微笑む姿は道案内してくれた魔族も見惚れるほどだった。


『暫くはここで皆を守ります。』


 そう言った氷の精霊に見送られていざ登山へと山に足を踏み入れた。


 サイクロプス火山は火の属性がとてもきつい状態である。緑の葉がついている木々が微かに見受けられるところをみるとつい最近はそうでも無かったはずだ。ということはムラキの仕業で間違いなさそうだ。
 少し奥に行くだけで木々の葉は地面に落ち、元は水をたたえていそうな場所も干上がっている。

 結界で帰れなくなった人は生きているかもわからない。


「待て。」
「ん?」
「あそこに子供がいる。」
「えっ!」


 その言葉に近くに駆け寄ると人間の子供の倍はあるのでは無いかと言うぐらいの大きさの単眼の者達がいるというより倒れていた。


「サイクロプスの子供だな。」
「生きてはいるか?」
「‥…瀕死というところだな。」


 でも生きているならば助けたたほうが良いだろう。この山に住んでいるサイクロプスが絶滅したなんて洒落にならない。


「でも、山の入口に引き返すのもね。」
「あれに入れとけ。空間魔法アレに。」
「そっか。そうだね。」


 取り敢えず、そこからは見かけたらひょいひょいと空間魔法に入れることにした。勿論、サイクロプスだけでなく動物や魔獣、モンスター以外のこの山を形づくる生物で助けられそうなのは助けた。

 ただ、頂上に向かってゆくとその生命が残ってゆくのが少なくなり、とうとう見つけても皮膚は焼け爛れ、喉も熱気で焼かれた遺体だけになってしまった。


「麓の住人らしき人は二人だけ見つけたけど、ここら辺しか散策してないからどうなっているかわからないね。」
「ベテランなら熱気が発生したら水の結界を貼るだろうしご飯は好きなだけ焼けてるから意外と生きているかもしれないぞ。」
「それなら良いですけど。」


 確かにある一定の冒険者なら火には水など経験で知っている人も居るだろう。問題は魔力が尽きないかと言うことか。

 
「それより、木々が無くなった。頂上はもうすぐだ。」


 3時間は歩いただろう。途中、救命もしたので正味一時間ほどで頂上につくということか。途中もあまりにもの熱気で木々が燃えていたりもしていた。護符も上ではなくて石で作ったおかげで燃えることはなさそうでよかった。体感温度も暑さは感じないので上出来だろう。


「『うう。』」



 石だらけの場所で歩いているとどこからか泣くような声が聞こえてきた。
 それはどうやら頂上から聴こえてくるようで皆が行動が慎重になる。山の王者でもあるサイクロプスと戦いとなったら苦戦するかもしれない。今のところ要とされた者達は襲いかかってきているから慎重にならざる得なかった。


 やっと頂上につくもどこも見当たらない件の魔獣。


「『うぅう。』」
「声は火口からだね。」


火口を覗くとそこには赤い色の単眼のサイクロプスがいた。そと手だけでも僕ぐらいの大きさのそのサイクロプスは大きな手で顔を覆い、単眼から涙を零しながら嘆いていた。涙は直ぐに蒸発してしまうが、火口にいるサイクロプスは身体が焼かれる訳では内容でこんな事態で無ければこの火山で温泉に入っているように見えただろう。  

 さらに様子を見ようと火口に見を乗り出したら、足元にあった石が当たって落ちてしまった。



「『誰だ!侵入者か!』」






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...