僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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残り幾日かの狂騒曲

僕と止まらぬ時

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 父様の攻撃で気絶したサイクロプスはもうすでに熱気は放っていなかった。このままだと溶岩でダメージを受けてしまうと考えて予備で準備していた護符を貼り付けておく。出せたら火口に連れて行きたかったのだけどこの大きさを大人一人に子供二人でやるのは骨が折れる。魔法で浮かすことも考えたが、火口の入口は僕らには広くても彼女には頭をぶつけてしまうかもしれなかった。更に倒れたときの体勢が少し出すには難しかったと言える。

 流石に父様と僕の二人がかりで(兄上は力加減で潰しそうだと怖いこと言っていた。)体勢を整えて浮かすをやるには危険だと判断したのだ。

 もうすでにサイクロプス火山の異変は収まってきているのであとは麓の魔族の人達に任せる事にしてしまっても良いかもしれない。彼女もどうやらもう無闇矢鱈に襲うことはなさそうだ。空間魔法内には行方不明になっている者達も居るからそちらも預けてしまいたい。

空を見上げると未だにの世界が少しずつ近づいて来ている。

 こちらの要石は全て破壊した筈だが動きは止まらないという事は向こうの状況が芳しくないという事か。


「取り敢えず、神の国フェーリスに戻るぞ。」
「そうだな。ここのことは麓の奴らに任せれば良い。」


 
 ということで麓の魔族の人達に行く途中で回収した様々なもの、動物や一部の行方不明者にサイクロプスの子供達を託した。サイクロプスの子供を出したときは嫌悪の眼差しで見られたが、頂上でその親玉の後悔と反省を教えたら渋々ながらだが介護してくれるようだ。もしもまた暴れたら責任を持って殲滅しに来ると約束して、頂上の方にも護符を預けた何人かが向っていった。





 そして僕達は国へと帰ってきた。


「帰ったか。どうであった?」
「全て破壊をしてきた。」
「そうか。でも止まらぬか。」
「向うはどうだ?」
『それは、俺が話そう。』


 謁見の間に設置している鏡にカズトシが映る。
 少し疲れた表情をしているが怪我などはしていない様でホッとした。
 あれ、なんでホッとしたんだ?


『こちらは樹海のを合わせて5つの石の場所を把握して4つまで破壊した。それでも止まらないところを見ると5つ全てを破壊したほうが良さそうだ。』
「こちらは残り一つの場所は分かっていない。」
『え。あれ、アシュレイさん。お久しぶりです。』
「ああ。」
『相変わらず素っ気ないですね。』
「‥…そんなことよりも、どうしたら5つ目を探し出せる?」


 カズトシとコウにぃは知り合いらしくこちらの状況を教えたコウにぃを見てぱあと顔を明らめていた。それに対してそっけなく答える兄上に相変わらずと言って苦笑いをしているのを見てこの間からの疑問が強くなった。

 先程のホッとした長持ちに前の心が暖かくなる感覚。
 僕は彼らを知っている。そして身近にいた人達だ。
 今回は大勢が居るわけでは無く、カズトシと背後に二人の男が控えていた。片方は優しそうな微笑みを浮かべる美人系の男でもうひとりは目つきの鋭いけと整った顔の男。二人とも女性にキャーキャー黄色い声が上がることは想像できるし、何なら男からも灰色の声が聞こえてきそうだ。

 そんな二人が僕を見て泣きそうな顔をしたのを見た。

 多分彼等も神無前世の知り合いだ。
 こんな暖かそうな記憶を代償に兄上も嫌がるトラウマを封じた記憶がまだ戻っていない。一体どんな記憶なのか。


『だから、星詠みをすれば良いだろ?』
「その星詠みとは何なのか聞いているんだ。」
『シンが得意だろ!』
「あ、その手を忘れてた。」


 段々と喧嘩腰になってきた二人から聞こえた星詠み。
 夜空に輝く星空から吉兆を予見する陰陽の調和を重んじる人達の仕事だ。かつてはそれは政府公認の仕事だったが段々と詠みてがいなくなってしまい眉唾ものだと軽んじられてしまったものだ。

 そういえばこっちではやらなかったな。


「丁度、夜だし見てくるよ。」
『ほら、あんなノリでやれるのは彼奴ぐらいだよ。』
「そうなのか。」
『お前のその態度も彼奴の無自覚チートを増強させるんだよぉ!』


 背後で何か叫んでいるようだが、僕は気にすることなく夜空が見えるバルコニーに出た。幸運な事に雲ひとつない夜空にあちらの世界が見えている。
 本来なら星詠みをするときに道具が必要なのだがまあ、省略でいいだろう。こちらじゃ有るわけないし。星の感じが向こうと似ていて良かった。

 こちらじゃあまり夜空を眺める事はしていなかったな。

 凶兆の星の輝きが強いそれはあちらの世界との交わりを意味しているのだろう。その星に付きそう形の淡い光がある。あれがあそこにあると‥…。


『本来なら星詠みの為の道具が必要で、更には異世界。星の配置とか数日は必要だ。だけどシンはそれらをふっ飛ばして感覚で詠みやがる。』
「心中察する。」
『お前も似たような感じだけどな。‥…嬉しそうにするな。』
『和季くん、口調が崩れてるよ。』
「こっちも5つ目の場所わかったよ。」
『糞チートめ。』


 あれ、今ディスられた?

 カズトシの顔は相変わらずニコニコしている。気のせいかな。


「場所はどこだった。」
「え、あ、なんとこの国にあるよ。」
「灯台下暗しか。」
「正確には移動した感じの星の動きだから前は隣国に有ったみたいだ。」


 今はこの国の南の方にあると出ていた。
 南の方にある隠れられそうな場所は。


「辺境の地だろ。」



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