僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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残り幾日かの狂騒曲

僕と終演

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 全ての石が壊されたと感じたとき木々から覗く空に写し出されていた向こうの世界が存在を薄めた。のこりは5時間はあったことを考えれば余裕だったと思うべきかギリギリだったと思うべきか。

 世界を包んだ重苦しい空気も消え、いつもの雰囲気が戻ってきたことを思うとやっと終わったのだと実感した。ただこれだけの大仕掛けがこんなにも簡単に終わってしまったことに少しだけ違和感を感じたが実際に世界が交わりを止めて消えてゆく姿を見ると、気の所為だってのか。


「彼奴がこんな生ぬるいなんて。」


 コウにぃも同じく疑問に思っているようだ。
 僕なら石が砕かれたあとに最終ボスを用意して置くけどな。それをしなかったのかのか。


「取り敢えず危機は去ったんですよね。」
「恐らく。としか言えないね。」
「同意見だ。」
「確かにこれだけの大仕掛けをこんな捨て駒のように終わらすとはな。」
「まあまあ。取り敢えず城に戻りましょう。」


 向こうの状況も気になるのでそこはシヤさんの意見を受け入れて変えることにする。父様はここの後始末をするためと残党が居ないかの確認のためここで離脱した。シヤさんもおいて行こうかと、伝えるも逆に足手纏だと言われて返されていた。
 シヤさん自身も父様と一緒と聞いた瞬間に顔色は変わらなかったがバイブレーションの様に身体を震わせて居たので、城に帰れると知って喜んでいるようだ。

 


 城に戻れば、皇帝陛下も女神様も何処となくホッとしている。兄上が報告がてらそちらの方に向かうのを見届けて僕はまだ向こうの世界と繋がっている鏡の元に近づいた。鏡には少し疲労感のあるカズトシと前回も居た二人が居た。僕が近づいているのを向こうも気づいて手を振り挨拶をしてくれている。


『そちらも落ち着きそうか。』
「そうですね。あっけないぐらいですよ。」
『だよな。彼奴が長い間計画していたのにこれって裏を勘ぐるよな。』
「ええ。」
『今、彼奴とその仲間を探しているが見当たらないんだ気をつけてくれ。』
「もしかしてだけど、君、いや君たちは僕と親しい人だった?」


 ムラキのことは気になるが、眼の前の男達は更にもっと気になるのだ。
 僕の言葉に眼の前の人達の目に力がこもる。それが涙を堪えている事は見るからに分かることでじわじわと鼻頭が赤くなってきて本当に泣く数秒前と言った感じだ。

 僕が死んで何年も経ってたなと思っていたけど僕を知る人達がこうして生きているという事はそんな時期は離れていないという事か。


「記憶が無くてごめんね。多分ムラキとかと一緒くたになっている様でさ。」
『毎回、何かしらしやがって彼奴等。』
「でも、必ず記憶を取り戻すよ。」
『それが生きるのが辛くなるほどの物でもか?』


 どこかで聞いたことのあるような言葉。
 

「僕はそれで死んだの?」
『‥…いや、違う。』
「だよね。死ぬ間際の記憶はそんなのではないもの。」



 僕がどんなにつらい過去があったとしてもそれから立ち直り最後には僕に相応しい最後を迎えているのは知っている。
 顔は思い出せないけど色んな人が看取ってくれたのは覚えているよ。


「もしかしたら記憶が戻って挫けるかもしれないけど、こちらにも友人は沢山出来たんだ。」
「俺も居るしな。」
「コウにぃ!」
「こちらは大丈夫だ。」
『そうですか。神無をいや、シンリを頼みます。』


 鏡の映しにノイズがはいる。
 あまり向こうの世界では異世界の交流をよしとしない。今回も異常事態で滅多に世界に干渉しない魔神達が頼んできたから実現したにすぎない。

 異常事態も終わりが見えて鏡の機能がなくなってきたのだろう。


「か、カズくん!」
『あ‥…。』
、じゃあね。」


 何となく頭に浮かんだ名前。
 だけどもそれが彼らの名前だと知っている。なんで今思い出したのだろうか。きっと魔神のランプに残っていた残渣が思い出させてくれたのだろう。

 泣きそうな笑いを浮かべる彼らの姿が消えて僕は俯く。
 こんなに心が苦しいのは初めてだ。もう二度と会えないよさようなら。






 世界の異常事態が収まりを見せる中、魔法もファンタジーも現実的でない世界で多くの者に追いかけられている者が居た。ひと目につくような白髪を雨に濡らし、時折追手に向って札を投げて邪魔をする。

 だけども追いかけられている身としてはそのうちに根がつきた。

 赤い鉄塔の上にまで追い詰められたそのものはその先に足場など無いのにさも有るように宙に身を踊らせた。その身体は重力に伴い下に落ちてゆく。

 シルバーのフレームの眼鏡が吹き飛び嫌な浮遊感が彼を襲う。
 これで自分の役目は終わりだ。きっとあの方は探し人の元に行っているだろう。

 下には夜もふけるなか会社帰りや食事に来ていたカップルが歩いていた。そのうち何人かが男に気付くももう遅い。男は何人かの人を巻き込んで赤い肉片へと変わってしまった。

 あたりに悲鳴が木霊して、追いかけてきた者達の耳にも入る。


「神代家に報告を奴は死んだと。」







______



 皆さんお読み頂き有難うございます。

今回の章はここで終わります。次の章まで少し休みます。
 次は9/18に更新できればとおもいます。

またお読みいただければ幸いです。

SHIN

 
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