僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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霊峰と深緑の山

戻りましては主人公

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「何か吹雪が弱くなってきたみたいだ。」


 服を乾かして軽い食事を終えた頃、外の景色が少し変わってきた。先が見えない程の吹雪から多少の荒れぐらいまで低減していた。
 きっと兄上が神様の所に着いたのだろう。そんな確信があった。


「僕は行くけど君はどうする?」


 僕達についてきたとしてもカズキが探している人物に会えるとは限らない。それならこの山の状態が落ち着いてから行動したほうが良いと話していたのだ。ついてこられて僕達の正体を知られるのも避けたいという思いもある。

 カズキは少し考えた後に首を横に振った。


「オレはここに残る事にするよ。落ち着いたら帰って下で待つさ。もしかしたら入れ違いになってるかもだし連絡を取ってみるよ。」
「そのほうがいい。」
「あ、最後に聞いても良いかい?」
「何だ?」
「君に女の兄妹はいるか?」


 最初から連絡を取ってくれたら良いのにと思ったが口には出さない。あの吹雪で通じるなんて考えられなかったのだろう。
 それよりもその後に続いた言葉に身支度をしていた僕の手がピクリと反応してしまった。

 一瞬だけカズキの眼鏡の奥に隠された瞳が見透かしているように見える。


「いるよ。僕にそっくりというか、僕と同じく母様にそっくりな娘が。」
「ふーん。今度再会できたら紹介してよ。君とそっくりなら期待出来そうだ。」
「嫌だね。大切な奴を紹介するかよ。」


 反応してしまったし、隠すより居るようなフリをしたほうがシシリーが存在感を増すだろう。どういった事でシシリー隠れ蓑がバレるかも知れない。なら、何処でも居るように振る舞うのは得策だ。


「えー。凄く好みの顔なのに。」
「僕はもう行くよ。」
「あ、待ってよ。」


 まだ何かあるのかと彼を見やると小さな布袋を投げてきた。
 それは掌で包めるぐらいの小さな袋で中には何か硬いものが入っている様だった。中を見ようとしたら静止がかかる。


「今回の君の任務の後に開けてよ。」
「怪しいものじゃないんだな。」
「それは天と地に誓って保証するよ。」
「分かった。」


 天と地に誓ってと聞き慣れない言葉を使って保証された小袋を無造作に空間にしまい、僕だけが岩の亀裂から身体を出した。
 視界はある程度良好なのでこれなら目的の場所にも簡単に行けるだろう。もしも、見慣れぬ人がいればカズキが待っていることを伝えれば良いし、早速兄上の元に向かうことにした。

 そんな僕の背中を見つめるカズキの目が怪しく光っていることも知らずに。





 僕が兄上と合流出来たのはそれから数時間後だった。
 人が数人入れるぐらいの祠の入口で手を組んで待っている見慣れているのに輝いているように見える黒髪の超絶イケメン。

 灰靑色の瞳がこちらに気づくと普段では見ることの出来ないホッとした表情を浮かべている。心配をかけてしまったようだ。

急いで側に行くと辺りをキョロキョロしていた。


「あの男は?」
「置いてきました。探し人がいるのは本当みたいでしたが下で待つと。」
「最初からそうしていればよかったのに。」
「ですよね。」


 忌々しそうに言っている言葉は完全同意です。
 祠の奥からアキさんの姿も見えて、向こうも僕の姿にホッとしていた。そのお隣で半透明の紅葉のような真っ赤な髪の女性がここの山の神様だろうか。
 手に自らと同じ姿の像を拝むように持ってじっとしている。


「ここの吹雪や雪はあの女のせいじゃないとの事だ。」
「そうなの?」
「もしかしたらカトレアの気付いた異質の存在のせいかもな。」
「ああ。」
「おい。説明をしてやれ。」
『はい。』


 彼女が拝むのを止めると外はまたとてつもない吹雪に逆戻りしていた。
 祠の中にて話を聞こうとしたら小さな動物達が出て行こうとしていたので止めた。寒さを凌ぐための場所に後から来たのは僕達なのだから出て行かなくて良いと教えると、何故か山の神様の方が泣いてしまった。


『‥…済まない。妾はこのような者を排除しようとしてしまったのじゃな。』
「無事だから大丈夫だよ。」
『何と優しい愛し子なのか。』
「コウにぃ、虐めたな。」


 僕が居ない間に何があったのかは想像できないがコウにぃもアキさんも僕が絡むと大人気ないところがあるからな。

 よすよすと慰めながら山の神様の話を聴く事となった。


『事の始まりは冬の頃じゃった。』


 山の神様の前に現れた見慣れぬ服装の男。
 食事を求めて来たという。
 この山は冬になると雪に覆われるの毎年のことで食糧になり得る木の実も限られていた。とても出ないが男に分ける量は無かった。
 なので男を追い返したのだと。


『妾は昔から偉そうな言い方だと言われて来たがあの時男の目にはどんな風に写ったかしらぬ。だが、妾はこの山の者を守らねばならぬ。男が去った後から雪の匂いが濃くなり制御しきれぬ程の吹雪になり始めたのじゃ。』
「その男が原因で間違い無さそうだね。」
『男はツクバネに向かっていったのを動物達が見ておる。』
「情報ありがとう。」


 次に向うのはツクバネか。確かカトレア様も一年中豊かな不思議な山だと言っていたな。


 この山にかけられている呪いを解くのは本人のほうが簡単だ。だけどこの山の生きている者たちにはもう限界の者もいる。
 呪い返しを施してから次に向かった方が良いだろう。



 
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