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霊峰と深緑の山
新緑の山にて異界の神?に出会う
しおりを挟むコウにぃにボコられて顔を腫らせた少年は雪のように白い肌を赤くして深い緑色の長い髪に紅葉した葉っぱを絡ませてぐったりしているのを引きずられていた。長い前髪で良くは見えないが意識はない様で微動だにしていない。そんな姿の少年はこの山の中、いやこの世界では異質な漢服の様な姿をしている。
明らかにこの山の登山客ではなさそうな少年を引きずっているコウにぃや宵月の機嫌がすこぶる悪そうだ。
「どうかした?」
「偉そうだから殴った。」
「『同じく。』」
「どういうこと?」
時は遡り僕達と分かれてすぐのこと。
僕に置いてかれた事に対してまた少し衝突があったが、周りからくすくすと微笑ましい目線で笑われていることに気が付き森で当初の目的通り散策をすることにした二人。
森の中は鳥の声や動物の嘶きを始め木々のこすれる音や水のせせらぎの音が辺りを包み苛立つ心を落ち着かせてくれた。息を吐き渋々と探索をしているとこの場には不釣り合いな姿の少年を発見した。
雪のように白い肌に深い緑色の長い髪を持っている少年はこちらには気が付かつかないまま山に住む小動物に話しかけている。
その少年からはこの世界とは異なる気配をか持ち出していた。この少年こそ女神様が言っていた者に違いない。
コウにぃと宵月がお互いに確認をして少年に近づいた。
少年はどうやら意中の相手が居るようで小動物にその事について語っているようだ。小動物のリスの様な存在はとても迷惑そうな目線を向けているがこの山を豊かにしてくれている(予想)相手に強く出れないのかもしれない。
パキッ
『誰だ!』
落ち葉をガサガサと踏みながら進んでいたら木の枝も踏んでいたようで、一段と大きな音が上がった。その前のガサガサでも気付けよと思うが、枝の折れた音でこちらを向いた少年の長い前髪から覗き見えたのは虹色を呈する瞳だった。
こちらに警戒する様子もなく、こちらの服装から登山客だと判断した少年は小動物を手で追い払いこちらをじっと観察し始めた。
異質の存在である自らが見えているとは夢にも思っていないのだろう。
兄上は少年の眼の前で歩みを止めるとその態度が不愉快だというように見下した。
その態度は僕も納得というか。
ボコボコの今の状態でもその身に宿る神気は不安定で早く言えば熟していない果実の様だ。それが一年中雪山にする、豊かな山に変えるなんて世界に干渉するような事が出来るなんて信じられないし、僕達の世界を踏みにじられて居るようで気に食わない。
「こんな低能な物に干渉されるとはこの世界も見直しが必要だな。」
「『だからカトレア様が走り回っているのだろ。』」
『コヤツらは何を言って?』
「おい神もどきの餓鬼。」
『ワイが見えるのか?』
「こんな隠れてもいない奴を見つけるなんて自称ヒロインでも出来る。」
それってムラキに利用されたあの娘の事だよね。
そんな突っ込むだろう僕とは離れてしまっているので多分ダレソレ状態だと思うが、馬鹿にされているのは分かった様で憤慨して寝転んでいた姿勢から座り込んでギャンギャンと文句を言っていた。
『ワイはちゃんと修行をした神様だぞ!そんな存在にその言い方は許されない!天罰を食らわす!遠くの山は天罰にて一年中雪で苦しんでいるのだ!どうだ怖いだろう。』
要は今回の原因はこの人物だ。ということらしい。
「修行した神が自分の感情のままに能力を使うわけないだろ。お前は神では無い。」
「『そうだな。感情のままに振舞うなんて修行験者ですらない。』」
『貴様ら!神であるワイに対して不敬であるぞ!』
ゴワっと辺りが突風に包まれる。
落ち葉が空に舞散り、暗雲が徐々に形成されて来た。
山の天気は変わりやすいというが神の感情によって変化が起こっている。それが眼の前の少年が起こしているのを見ていて『力の制御が出来ていないな』と判断出来る。腕組みをして様子を見ている兄上に完全に傍観を決め込む気満々の宵月。
遠くから登山客の慌てた声が聞こえてくる。
山の動物や魔獣の怯えの様子も見えるのに少年は止まらない。
暫く様子をみて盛大な溜息をついた兄上は少年の頭に一発拳を落とした。
ギャッという悲鳴と共に辺りが元のしずけさになった。痛みのため頭を抱える少年がキッとこちらを向く。
『何をする!』
ゴッ
兄上の右ストレートが繰り出される。
『ワイは神やで!ぶっ‥』
ズガッ
兄上の連打が開始された。
「『とても弱い者いじめが上手だった』」
そう、宵月は感想を漏らした。
こうして気を失った少年を連れて(引きずり)僕達と再会したのだという。
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