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霊峰と深緑の山
霊峰と豊山の因果
しおりを挟む『‥…ん。』
微かな声が聞こえた。
視線が一同に向けられた先にはボコボコにされた少年の姿。傷はもうない。というのも今僕達はあの目にも痛い金色の祠から数キロ離れた別の祠に来ているのだ。
この豊かな山は2つのコブのようになっていて片方を男岳、片方を女岳と呼ばれているそうだ。金ピカの社はその女岳にありこちらは登山がしやすい様に整備されている人工の道なのだとか。男岳は整備はされていない自然を堪能できるスポットと言われていた。
人が少なくなり金色の祠を覗いて山の女神の気配がないことに気づき近くのベテランそうな登山者に聞いたところ上記の話しを知ることとなったのだ。
その人曰く男岳にも歴史を感じるシックな祠があるのだと言っていたので少年を引きずりながら移動した。
そうすれば話通り古めかしい祠を見つけることが出来、更には薄緑の肌にイチョウのような鮮やかな長い髪の女性が出てきた。その翠を宿す瞳には少年に対する心配をしている光が宿っている。
女性は自らをツクバネと名のりこの少年の知り合いだと教えてくれた。
少年の名はオウメイと言い、とある冬の季節にこの山にお腹を空かせて迷い込んできたそうだ。空腹の姿に山に住む者達に頼み食べれる物を集めて差し上げたら気に入られてしまった。帰る場所も無いと言うのでこの山に住まわせているという事らしい。
『あの時期、お腹を好かせているのは皆同じでした。山の仲間達の優しい心が彼を救ったのです。』
その御礼がこの豊かな山だと言うことか。
ボコボコの姿が憐れに見えたのかツクバネはオウメイの 傍らに座り癒しの力を使って彼の腫れた顔を癒した。
なので今の少年は服は汚れていてもピンピンとしている状態だ。
「起きた様だね。」
『誰だお前!』
「君をボコした男の弟かな?」
オウメイが状況を確認するために周りに視線を彷徨わせている。そこで森で出会った兄上の姿を確認するとバッと飛び退いた。
「なんだ?怖いのか。」
『そんなわけっ‥…。』
「手が震えているぞ。」
よほど兄上の一方的な暴力が身にしみた様だ。
姿を見た途端に身体が逃げ、知らずに受けた心の傷はどうしょうもなく震えとなって襲い掛かってくる。
それに目を背けたいのは分かるがその震えは敵対時にはデメリットでしかない。知らずの恐怖は動きを悪くする。
「俺等は別に戦いに来たわけじゃない。」
『初っ端に殴りかかって来て何を!』
「‥…ムカついたから殴っただけだ。」
『神のワイを殴ってただで済むと思うか?』
「神?誰の事を言っている。」
『そんなのワイに‥…。』
パチンッ
ドカッ
兄上が指を鳴らせば天空より光の筋がオウメイの足元に落ちてきた。それは地面を刳り焦がして煙を上げていた。
出発するときに何かを仕込んでいるとは思っていたけどこれか。
信仰深いものなら神の天罰とでも言いそうな光の攻撃。
その正体はただの光魔法。
だけどもチート級の兄上の魔法で、しかも光の光線のようにしたこの技は当たると存在が消えるぐらいやばぁい奴である。
「この世界の神では無いだろ?」
『まさかお前が‥…。』
「俺では無いけどな。顔見知りだ。今回の件もその神に頼まれたんだ。」
だよね。
カトレア様にむりやり休ませるために行動しているだけだけどね。まあ、それ以上の存在とも知り合い以上の関係だし。
『今回の件とは?』
「ああ、ツクバネ様は知りませんでしたね。」
ツクバネに今まであった事と、この山の豊かさのお陰でひもじい者が減った反面、警戒心の無さすぎで危ない事などを知らせる。
豊かだから良いと言うものでは無いのだよ。
『まさかフジネ様にそんなことが‥…。』
「知り合い?」
『はい。若輩者の私をここまで指導してくださいました。ここ数年お顔が見えないと思っていたら守っているのですね。』
「そうだ。」
『ふん。空腹なワイのことを追い払ったのだから当然じゃ!』
確かにオウメイにしたら当然の事かと思うのだろうか。
だがあのフジネに居た小動物達や他の生き物に対してまで影響が出て居るのはわかっているのだりうか。態度が悪かったとは思うが影響の大きさは割に合わないと思う。
向こうで呪い返しを行った事を話せばどこか納得のいった顔つきになるオウメイ。
「取り敢えず、呪の解除をお願いするよ。呪い返しで多少の緩和はしたのだけどね。」
『通りで鳥類共がワイを襲うとおもったわ。』
ギギャとあの雪山で放った呪い返しがこちらに向かって襲ってくる。
どうやらこの少年のが女岳に居たのはこの呪い返しの鳥から逃げていたという理由のようだ。縁を辿るから逃げても追いかける様になっているので無駄な事なのだが、多少の時間稼ぎにはなる戦略かな。
予想外だったのは僕の力に反応して呪い返しと同じ形状の今回は鳥が同調してしまったようだ。
『雪山の呪をとくには条件がある。』
「殴られたりなかったか?」
『ひぃっ!』
「まあまあ、聞くだけ聞こうよ。」
オウメイの条件とは。
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