僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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はじまりと記憶

僕の正体を求めた旅

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 結果を言えば僕は無事に旅に出ることとなった。
 コウにぃが居ることと、油断していたとはいえ父様をのしたのが良かったみたいだ。

 メンバーは僕とコウランとバルスさんと凄腕の護衛2人。子供二人に大人一人の明らかに異質を放つ騎士姿の護衛二人がいる旅人。いやぁ、僕達ってば変な集団だよな。

 そして本当はヴァン兄様やシス兄様も父様まで来たがっていたのを思うと止めて正解だった、その時は大事な我が家の跡取りであったのでやめさせただけなのだけど。あの時はの僕、グッジョブ!
 少人数とは言いがたいが、父様がついて行けないからと一兵団を要請しようとしたことを考えれば、まあ良いだろう。
 うん、あの時は大変だった。

 今は人形の国ニブヘイムへ向かう馬車の中に居ます。
 ニブヘイムに向かうには馬車でニブヘイム近くの国まで行ってからそこから徒歩になるみたいだ。


 という訳で今は馬車でゆったり寛ぎ中。


「脅した僕が言うのもなんだけど、本当に来ちゃって良かったの?コウにぃ。」
「今さらだな。まあ、俺が死んでも継承は放棄してるし大丈夫だ。」
「王位継承を放棄してるの?」
「ああ、皇帝になる利点を感じないし、面倒だ。」


 誰もが憧れる王位に面倒だと言って断るのは、コウにぃぐらいだろうな。
 よく、王位に固執する物語とか人とかの話を聞いたからかえって兄上らしくて、苦笑いを浮かべてしまう。

 そんな僕とコウランの話を聞き耳をたてて聞いていた同乗者はあんぐりとした表情で口をパクパク。
 

「聞いてないんですけどっ!」
「まだ、公表してないからな。」


 まあ、まだ、八歳かそこらの子供が王位継承権の返還をしたなんて誰も信じないだろうな。誰かに唆されたのかと疑われるだろうし。
 たとえ、その子供が転生者でもだ。


「公爵の位が与えられるらしいが、邪魔だよな。」
「いっそ、冒険者とかなっちゃえ。」
「それは良いな。」
「コウラン皇子には向いているかも知れませんね。」


 会話に入ってきたのは、行者も勤めてくれていた護衛のお兄さん1号。
 薄茶の髪をスポーツ刈りにして、もみ上げが不思議な模様になっているイケメンというより爽やかな好感の持てる男である。馬車の馬も上手く操ってくれており、より心地は抜群である。


「えっ、と。」
「ああ、お姫様おひいさまはじめまして。わたくしは騎士団長を勤めてますユーシヤと申します。」
「勇者?」
「あはは、よく言われます。町で呼ばれると恥ずかしいのでシヤとお呼びください。」


 ユーシヤことシヤさんは騎士の鎧に付く飾りが揺れるほどの豪快な笑い声を上げた。爽やかな雰囲気には合わない野性味を帯びた笑いです。
 行者の席にいるためその姿は後頭部しか見えないが、飾り同士が接触する音がチャラチャラと鳴っている。

 
 「ほら、アキも紹介しろよ。」


 笑いが治まってシヤさんが声をかけたのは、馬車の端にに剣を抱えるように座っているフードマントの護衛のお兄さん2号だ。
 僕とコウランの反対側にバルスさんと彼が座っているのだが、まるで隠れる様にバルスさんを盾にしている。
 チラチラとみるその視線には悪意など無いのだが目が合うと慌てて背けてる。
 僕ってば何かしたかな?


「こいつ、お姫様が可愛くて照れてるだけだから。」
「お、おいっ!」
「その反応分かるけど。レオン様の秘蔵子って聞いたから厳ついの想像してたらこんな綺麗で可愛らしいお姫様だとな。」
「シヤっ!」
「僕、男だけどね。」
「「えっ?」」
「ん?」


 あれ、なんか護衛さんの反応がおかしいぞ。
 まさか、僕が女の子だとおもってたの?
 今の格好はズボン姿だし、ヒラヒラしたような格好でもなかったよね。
 コウにぃ、そんな肩を震わせて笑わないでくださいよ。
バルスさんまでポカンとしないで。って、まさかバルスさん!


「シンリ様、男の子だったの?」
「やっぱり。服脱ごうか?」
「止めて!妖しい世界を開きそうだからっ!」


 どういう意味ですかバルスさん。

 護衛2号さん顔を手で覆ってますけど指の間から見てますよね。妖しい世界に興味あります?

チラリ

 服の裾を少しだけたくしあげてハラチラをすれば護衛2号さんは真っ赤になってプルプルし始めた。


「こいつら大丈夫?」
「腕は良いぞ。」


 あっけに取られている僕の問にたいして、笑いから抜け出して息を吐いたコウランがそれでもひくついている口で護衛二人を誉める。


「五歳ぐらいでのしてやったがな。」
「ええー、流石コウにぃチート。」
「あれは、油断も有りましたが、確かに負けましたね。」
「ふーん。あれ?」


 やっと動揺から回復したらしいシヤさんが答えてくれた。数年前の兄のチートぶりに感心していると、僕の気配察知の糸に何かが引っ掛かった。
 人のような気配がいくつも行き先で察知した。
 シヤさんに馬車を止めてもらい、護衛2号が様子を確認する。


「シンリ様、お見事です。この先で盗賊がいるみたいです。」
「じゃあ、どうにかしないと通れないかな。」
「え、ええ。この経路で馬車が通れるのは此処しか有りませんから。だからこそ盗賊共も此処に張っているのでしょう。」
「では、肩慣らしに僕が行きましょう。」
「えっ?」





 次回は山賊退治。

 

    
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