僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

文字の大きさ
10 / 245
はじまりと記憶

僕の正体を求めた旅

しおりを挟む





 結果を言えば僕は無事に旅に出ることとなった。
 コウにぃが居ることと、油断していたとはいえ父様をのしたのが良かったみたいだ。

 メンバーは僕とコウランとバルスさんと凄腕の護衛2人。子供二人に大人一人の明らかに異質を放つ騎士姿の護衛二人がいる旅人。いやぁ、僕達ってば変な集団だよな。

 そして本当はヴァン兄様やシス兄様も父様まで来たがっていたのを思うと止めて正解だった、その時は大事な我が家の跡取りであったのでやめさせただけなのだけど。あの時はの僕、グッジョブ!
 少人数とは言いがたいが、父様がついて行けないからと一兵団を要請しようとしたことを考えれば、まあ良いだろう。
 うん、あの時は大変だった。

 今は人形の国ニブヘイムへ向かう馬車の中に居ます。
 ニブヘイムに向かうには馬車でニブヘイム近くの国まで行ってからそこから徒歩になるみたいだ。


 という訳で今は馬車でゆったり寛ぎ中。


「脅した僕が言うのもなんだけど、本当に来ちゃって良かったの?コウにぃ。」
「今さらだな。まあ、俺が死んでも継承は放棄してるし大丈夫だ。」
「王位継承を放棄してるの?」
「ああ、皇帝になる利点を感じないし、面倒だ。」


 誰もが憧れる王位に面倒だと言って断るのは、コウにぃぐらいだろうな。
 よく、王位に固執する物語とか人とかの話を聞いたからかえって兄上らしくて、苦笑いを浮かべてしまう。

 そんな僕とコウランの話を聞き耳をたてて聞いていた同乗者はあんぐりとした表情で口をパクパク。
 

「聞いてないんですけどっ!」
「まだ、公表してないからな。」


 まあ、まだ、八歳かそこらの子供が王位継承権の返還をしたなんて誰も信じないだろうな。誰かに唆されたのかと疑われるだろうし。
 たとえ、その子供が転生者でもだ。


「公爵の位が与えられるらしいが、邪魔だよな。」
「いっそ、冒険者とかなっちゃえ。」
「それは良いな。」
「コウラン皇子には向いているかも知れませんね。」


 会話に入ってきたのは、行者も勤めてくれていた護衛のお兄さん1号。
 薄茶の髪をスポーツ刈りにして、もみ上げが不思議な模様になっているイケメンというより爽やかな好感の持てる男である。馬車の馬も上手く操ってくれており、より心地は抜群である。


「えっ、と。」
「ああ、お姫様おひいさまはじめまして。わたくしは騎士団長を勤めてますユーシヤと申します。」
「勇者?」
「あはは、よく言われます。町で呼ばれると恥ずかしいのでシヤとお呼びください。」


 ユーシヤことシヤさんは騎士の鎧に付く飾りが揺れるほどの豪快な笑い声を上げた。爽やかな雰囲気には合わない野性味を帯びた笑いです。
 行者の席にいるためその姿は後頭部しか見えないが、飾り同士が接触する音がチャラチャラと鳴っている。

 
 「ほら、アキも紹介しろよ。」


 笑いが治まってシヤさんが声をかけたのは、馬車の端にに剣を抱えるように座っているフードマントの護衛のお兄さん2号だ。
 僕とコウランの反対側にバルスさんと彼が座っているのだが、まるで隠れる様にバルスさんを盾にしている。
 チラチラとみるその視線には悪意など無いのだが目が合うと慌てて背けてる。
 僕ってば何かしたかな?


「こいつ、お姫様が可愛くて照れてるだけだから。」
「お、おいっ!」
「その反応分かるけど。レオン様の秘蔵子って聞いたから厳ついの想像してたらこんな綺麗で可愛らしいお姫様だとな。」
「シヤっ!」
「僕、男だけどね。」
「「えっ?」」
「ん?」


 あれ、なんか護衛さんの反応がおかしいぞ。
 まさか、僕が女の子だとおもってたの?
 今の格好はズボン姿だし、ヒラヒラしたような格好でもなかったよね。
 コウにぃ、そんな肩を震わせて笑わないでくださいよ。
バルスさんまでポカンとしないで。って、まさかバルスさん!


「シンリ様、男の子だったの?」
「やっぱり。服脱ごうか?」
「止めて!妖しい世界を開きそうだからっ!」


 どういう意味ですかバルスさん。

 護衛2号さん顔を手で覆ってますけど指の間から見てますよね。妖しい世界に興味あります?

チラリ

 服の裾を少しだけたくしあげてハラチラをすれば護衛2号さんは真っ赤になってプルプルし始めた。


「こいつら大丈夫?」
「腕は良いぞ。」


 あっけに取られている僕の問にたいして、笑いから抜け出して息を吐いたコウランがそれでもひくついている口で護衛二人を誉める。


「五歳ぐらいでのしてやったがな。」
「ええー、流石コウにぃチート。」
「あれは、油断も有りましたが、確かに負けましたね。」
「ふーん。あれ?」


 やっと動揺から回復したらしいシヤさんが答えてくれた。数年前の兄のチートぶりに感心していると、僕の気配察知の糸に何かが引っ掛かった。
 人のような気配がいくつも行き先で察知した。
 シヤさんに馬車を止めてもらい、護衛2号が様子を確認する。


「シンリ様、お見事です。この先で盗賊がいるみたいです。」
「じゃあ、どうにかしないと通れないかな。」
「え、ええ。この経路で馬車が通れるのは此処しか有りませんから。だからこそ盗賊共も此処に張っているのでしょう。」
「では、肩慣らしに僕が行きましょう。」
「えっ?」





 次回は山賊退治。

 

    
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

処理中です...