僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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はじまりと記憶

僕は人形の国の真の姿を知る②

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 ドカッという大きな破壊音と共に物騒な得物を持ち大勢の人形達が宿屋に流れ込んできた。彼らが見たのは部屋として機能できないほど荒らされた部屋と、無惨にも切り刻まれたゴム人形同胞の姿であった。

 誰となく舌打ちをして同胞の残骸を見つめていると、背後にある別室からコトリと小さな、物音がした。ギョロリと人形達が音のなった方に一斉に向き直る。


 そこには、一人のがビクりと身体を震わせて部屋の扉にすがり立って居た。

 人形達の顔がニヤリと口元に歪みを造る。

 そして、少女の前に膝まついた。


ご無事でしたか。」
「え、ええ。この部屋に隠れていたの。」

 
 人形達が一斉に向き直る姿に驚いたのか、少し固めの返事に、居心地の悪そうな姿に悪いことをした気持ちになりながらも、人形達は彼女の無事の姿を喜んだ。
 どうやら侵入した人間たちはこの宿を早々に切り上げて行ってしまったのだろう。
 

「宿の親父さんもシシリー様がご無事なら報われるだろうよ。」
「ごめんなさい。」
「謝りなさんな。これに懲りたら、危ない行動は控えなさい。」
「ええ、善処します。ところで、王は今はどちらに?」
「ん?」
「伝えないといけないことがあって……。」
「それなら、国の中央の工場にまたこもっていますよ。会うなら、ちゃんとお父さんと呼んであげてくださいな。」
「……。」


 人形達は宿にシシリーだけしか居ないと判断すると次々と宿屋から出ていってしまった。残ったのは、シシリー……ではなく、シシリーの姿になったシンリと、その背後のシシリーが隠れていたという部屋に息を潜めて隠れていたコウランを含めた4にんだけであった。


「ロキはシシリーの父親なのか。」
「上手く騙し聞けましたね。」
「バルスさんの変態め。スカートが短い。」


 バルスさんの提案でシシリーさんに成りすます事にした僕は宿の一室にあった彼女の物であろう薄墨色のワンピースをお借りした。ブカブカだったので、バルスさんの『成長グロウ』で12歳位の姿になりました。
 
 なので、コウにぃより背が高いです。
 コウにぃのつむじ可愛いです。

 でも、バルスさんが選んだワンピースの丈は膝より上でとてもスースーして心もとない。怨めしく睨みながらスカートの丈を押さえて変態扱いしたら、鼻元を押さえてサムズアップされた。解せぬ。

 しかしまあ、髪をおろしただけでああも簡単に騙されるとは。
 一斉に向き直った時はマジで怖かったよ。


「とりあえず、工場に向かうか。」


 確かにいつまでも此処に居てもしょうがないし、きっとこの国の原因である王様の場所もわかったからね。

 と、移動すべく元の服に着替えようとしていると、兄上に良い笑顔で阻止された。
 
 えっ、このまま?まじで?
コウにぃの言うことは?……分かったよ。

 女の子ってこんなひらひらふわふわした服をよく着れるよね。さっきも言ったけど裾が心もとないし、足に静電気で張り付いたりしてきて気持ち悪い。

 とぼとぼとした効果音が聞こえそうな僕を含めて、人形達の目から隠れるように移動を開始する。すると、この国の人口?の多さに驚いた。勿論人口は人形の事だ。

 大通りにはまさに某遊園地並みにうじゃうじゃいるし、脇道や細道にも草の根探す勢いの人形がいるので、結構移動が大変だ。
 さらには、中央の建物に向かうにつれて人形の数が増えてきてる。その中には他の人形よりも動きが洗礼された者の姿もちらほらある。


「私が囮になりましょう。」


 そう言い出したのはバルスさんだった。


「私なら派手な技で注目を集められますし、いざとなれば『隠行』の技で誤魔化せます。丁度良く人形達彼らは魔法が得意でない様ですし。」
「それが最善か?」
「なら、アキも残れ。」
「えっ。ナンダト。」
「お前の顔色は死人も逃げ出す位ヤバイからね。」


 うん、確かにアキさんの顔色はヤバイ。なんて言うの?ドドメイロって言うの。
 目が良いと言うのも大変なんだね。


「本当はシンリ様と魔王様も置いていきたいのですが、あなた達が来ないと意味がないので。それに……。」
「僕はこの身体なら多少動けるから大丈夫。」
「俺も問題ない。」
「でしょうね。」


 とりあえず、ここからは二手に分かれる事にして、2刻半後(五時間後)に例の宿屋に集合することにした。
 刻印の魔法を左手に打ち込んで貰う。

 左手に5の数字が点滅している。


「バルスさん、無茶はしないでね。アキさんの事をお願いします。」
「シンリ様も無茶はダメですよ。魔王様は……大丈夫でしょう。」
「おい。」
「冗談ですよ。三人ともお気をつけて。五分後に爆発を起こしますので。」
「分かった。」


 こうして、2、3と別れて行動することになった。
 なんか、あの時のバルスさんイケメンすぎでしょう。女の子じゃないけどきゅんと来てしまったよ。

 今更ながらにバルスさんの容姿ですが、普段はフードに隠された輝く金髪に空色の美しい瞳の美人さんです。
 何でフードを被っているか聞いたら曖昧にされてしまったのだ。残念。




 

 
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