17 / 245
はじまりと記憶
僕は記憶を手にいれた
しおりを挟む「 お姫様、眼の色が変わってますが。」
シヤさんの指摘に、目を兄上に向けると僕の目を見た瞬間からふんわりと優しい笑みを浮かべて、抱きつくように身を抱え僕の髪を撫でてくれた。
「ああ、覚醒している。綺麗なDARK VIOLETだ。」
「彼等の事を思い出したからだよね。」
歓喜に震えるような声を耳元で受け取りながら周りの状況を把握し始めた。ちなみに、記憶はここでは詳しく語らないでおいとく。城で結局話すだろうしね。
彼等の記憶を取り戻した僕はこの世界の光景が先程とは変わって見える。
先程も言ったようにおそらくシシリーさんや、名も無き職人が守ったであろう人々が洞窟に多く居た。もしかしたら人形の国に掛かっているげ幻術は元々、彼等を守るべく宝玉から学んだのかもしれない。それをロキが利用して今の様なことになっているということなのかも。
まあ、かもかも言っていても答えを教えてくれる存在はすでに動かぬ人形にもどってしまったのだけど。
ふよふよと視界の端で動く存在に癒されながら、ふと、思い立ち兄上に時計を見せてもらう、するともうすでに二刻も経っていた残りの時間でギガンテラを相手にしてなおかつロキを祓うなんて面どぅゲフン、大変なのでとりあえず祓う準備のため、バルスさん達と合流することにする。
「さてと、とりあえずバルスさんと合流しよう。」
「ロキは倒さないので?」
「ロキを倒しちゃったら名も無き職人も死んじゃうよ。」
「あっ。」
そうなのだ、シシリーさんの願いを叶えるにはお祓いしないといけないのだ。
僕は荷物を確認してアキさんに預けている物が必要であることを把握した。まあ、今の僕なら要らないと言えば要らないけど、有ったら楽ができるのです。
兄上の腕の拘束をそのままにふむふむとプランを考えていると、シヤさんは複雑そうな表情でそわそわしていた。
「シヤさん?」
「私ははこのメンバーだと足手まといですね。見えない事がこんなにきついとは。」
ああ、前の戦いの事を悔やんでいるんだ。
それなら、大丈夫なのに。
「コウにぃ……。」
「……。」
「一緒にお風呂……。」
「シヤ、こっちに来い。」
兄上はシヤさんを呼び寄せると、僕の拘束を緩め自由になったその子供の手でガッとシヤさんの目元を掴む。シヤさんの口からは痛みの悲鳴が聞こえたが、兄上は気にせずになにかを呟きながらどんどん力を込めていく。
事情を知るゆえに子供の手だから目に食い込んでいるんだけど、しょうがないよね。と成り行きを黙って見ていた。
最後には、投げ飛ばすように乱暴に手が離れる。シヤさんがおそらく痛みで地面の上を目元を押さえながら転げ回った。
目が、目がぁ状態ですね。分かります。
「何するんですか皇子!剣士は目が命なんですよ!」
「シヤさん、周りみてください。」
「止めないでくださって、これは……。」
痛みから回復して早速兄上に突っかかるが周りを見て絶句している。おそらく、シヤさんには洞窟の幻術はすでに効いていないはず。なので老若男女の人形の国の国民達がちゃんと見えているだろう。
こんなことが素手で道具も無しにできるのは兄上ぐらいだろう。マジチートなんだから。
「一時的に俺らと同じものが見えるように呪いをかけた。タイムアップは1日だ。」
「1日……。」
気になった人もいるかもしれないが、兄上は魔法はおおざっぱで細かい作業は苦手である。城を吹き飛ばしたしね。だけど、前世から呪いだけは相性がよく、それが細かい作業でも何故か巧いのである。
「それで、ギガンテラは大丈夫だと思うけど。」
「ああ、初めての世界だ。アキはこんなのを見ているのだな。」
「これでこちらはオッケーだね。」
少しだけ気分が少々しているシヤさんから目線を外して、さてと、と視線を人々に向ければびくりと体を震わせてお互いに抱き合うだけだ。彼等はただ災いが過ぎ去るのを待つだけである。その様に見えた。まあ、そんな中にも例外は居るわけで。
「シシリー様が託した願いを叶えてくださるなら、私も協力しますわ。」
強い意思の瞳がこちらに向けられる。
それは、腕や顔、様々なところに傷を付けた一人の女性だった。
どこの世界でも女性は強いなぁなんて現実逃避をしていると、女性は隠し通路の地図を持ってきてくれた。これなら敵地からすんなりとバルスさんと合流出来そうだ。
「どうか、此処に平穏を。シシリー様のお父さんを自由に。」
「まあ、頑張るよ。」
地図を眺めながら最短のルート、抜け穴等を頭に刻み込んでいるであろう兄上の変わりに僕が答えておく。
さあて、反撃の開始になるかな。
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる