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はじまりと記憶
僕は記憶を手にいれた
しおりを挟む「 お姫様、眼の色が変わってますが。」
シヤさんの指摘に、目を兄上に向けると僕の目を見た瞬間からふんわりと優しい笑みを浮かべて、抱きつくように身を抱え僕の髪を撫でてくれた。
「ああ、覚醒している。綺麗なDARK VIOLETだ。」
「彼等の事を思い出したからだよね。」
歓喜に震えるような声を耳元で受け取りながら周りの状況を把握し始めた。ちなみに、記憶はここでは詳しく語らないでおいとく。城で結局話すだろうしね。
彼等の記憶を取り戻した僕はこの世界の光景が先程とは変わって見える。
先程も言ったようにおそらくシシリーさんや、名も無き職人が守ったであろう人々が洞窟に多く居た。もしかしたら人形の国に掛かっているげ幻術は元々、彼等を守るべく宝玉から学んだのかもしれない。それをロキが利用して今の様なことになっているということなのかも。
まあ、かもかも言っていても答えを教えてくれる存在はすでに動かぬ人形にもどってしまったのだけど。
ふよふよと視界の端で動く存在に癒されながら、ふと、思い立ち兄上に時計を見せてもらう、するともうすでに二刻も経っていた残りの時間でギガンテラを相手にしてなおかつロキを祓うなんて面どぅゲフン、大変なのでとりあえず祓う準備のため、バルスさん達と合流することにする。
「さてと、とりあえずバルスさんと合流しよう。」
「ロキは倒さないので?」
「ロキを倒しちゃったら名も無き職人も死んじゃうよ。」
「あっ。」
そうなのだ、シシリーさんの願いを叶えるにはお祓いしないといけないのだ。
僕は荷物を確認してアキさんに預けている物が必要であることを把握した。まあ、今の僕なら要らないと言えば要らないけど、有ったら楽ができるのです。
兄上の腕の拘束をそのままにふむふむとプランを考えていると、シヤさんは複雑そうな表情でそわそわしていた。
「シヤさん?」
「私ははこのメンバーだと足手まといですね。見えない事がこんなにきついとは。」
ああ、前の戦いの事を悔やんでいるんだ。
それなら、大丈夫なのに。
「コウにぃ……。」
「……。」
「一緒にお風呂……。」
「シヤ、こっちに来い。」
兄上はシヤさんを呼び寄せると、僕の拘束を緩め自由になったその子供の手でガッとシヤさんの目元を掴む。シヤさんの口からは痛みの悲鳴が聞こえたが、兄上は気にせずになにかを呟きながらどんどん力を込めていく。
事情を知るゆえに子供の手だから目に食い込んでいるんだけど、しょうがないよね。と成り行きを黙って見ていた。
最後には、投げ飛ばすように乱暴に手が離れる。シヤさんがおそらく痛みで地面の上を目元を押さえながら転げ回った。
目が、目がぁ状態ですね。分かります。
「何するんですか皇子!剣士は目が命なんですよ!」
「シヤさん、周りみてください。」
「止めないでくださって、これは……。」
痛みから回復して早速兄上に突っかかるが周りを見て絶句している。おそらく、シヤさんには洞窟の幻術はすでに効いていないはず。なので老若男女の人形の国の国民達がちゃんと見えているだろう。
こんなことが素手で道具も無しにできるのは兄上ぐらいだろう。マジチートなんだから。
「一時的に俺らと同じものが見えるように呪いをかけた。タイムアップは1日だ。」
「1日……。」
気になった人もいるかもしれないが、兄上は魔法はおおざっぱで細かい作業は苦手である。城を吹き飛ばしたしね。だけど、前世から呪いだけは相性がよく、それが細かい作業でも何故か巧いのである。
「それで、ギガンテラは大丈夫だと思うけど。」
「ああ、初めての世界だ。アキはこんなのを見ているのだな。」
「これでこちらはオッケーだね。」
少しだけ気分が少々しているシヤさんから目線を外して、さてと、と視線を人々に向ければびくりと体を震わせてお互いに抱き合うだけだ。彼等はただ災いが過ぎ去るのを待つだけである。その様に見えた。まあ、そんな中にも例外は居るわけで。
「シシリー様が託した願いを叶えてくださるなら、私も協力しますわ。」
強い意思の瞳がこちらに向けられる。
それは、腕や顔、様々なところに傷を付けた一人の女性だった。
どこの世界でも女性は強いなぁなんて現実逃避をしていると、女性は隠し通路の地図を持ってきてくれた。これなら敵地からすんなりとバルスさんと合流出来そうだ。
「どうか、此処に平穏を。シシリー様のお父さんを自由に。」
「まあ、頑張るよ。」
地図を眺めながら最短のルート、抜け穴等を頭に刻み込んでいるであろう兄上の変わりに僕が答えておく。
さあて、反撃の開始になるかな。
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