悪役とは誰が決めるのか。

SHIN

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エルの家族

※attention
 今回のお話には月の物の話が出てきます。苦手な方は飛ばす事をオススメします。







 「姉に会ってくれないか?」





 婚約解消を受け家族と話をした翌日、私の屋敷もとい実験に使っている地下でポコポコと琥珀の大量生産をしていた所、エルがいつもの様に入ってきたと思ったら最初の言葉を言ってきた。
 思わず作成の手が止まりエルの作り物じみた顔をガン見してしまった。
 
 エルは何処吹く風の様子で琥珀を拾うと、まじまじと見つめていた。




「へぇ、綺麗だな。」
「売る予定の商品の材料よ。と言うかエルに兄弟がいたのね。」
「言ってなかったけ?兄と姉が一人づつ居るよ。」
「そのお姉さんの方に会えば良いの?」





 そうだと頷いたエルは、琥珀を丁寧に置き真面目な顔つきになると、姉の事を話し始めた。

 姉の名前はフレア。
 どうやらフレアは家族には隠しているが何処か病を患っているのではないかと疑っているらしい。
 疑問に思ったのは姉の部屋に訪れた時に感じた強い血の臭いであった。
 
 母親にも相談された形跡はなく、知り合いに知られたくない事なのだとは理解していた。私ならほぼ他人だし同じ女性なので相談しやすいのではと思って声を掛けたのだとか。






「今、忙しかった?」
「大丈夫です。大好きなエルの頼みの方が最優先ですから。」
「……反則だよその言葉。」





 にっこりと笑って頷けば、微かに頬を染めたエルが昔懐かしのorLの形になってしまった。何かに勝った気分である。
 
 二人で辺りに散らばる琥珀を丁寧に片付ける。エルは、丁寧に品物扱ってくれるから助かる。元婚約者のドランなんぞ扱いが雑で雑で、思い出したら少しムカついてきたぞ。

 とにかく片付けが終わったらエルの手をとり、繋ぐ。なんとエルは珍しい転移魔法の使い手なのです。一度行った所なら何処でも行ける便利魔法。エルはほとんど使わないがたまに道を知られたくない時に使っている。

 今回もどうやらそうらしく、姉の方には両親に内密に大切な人を紹介したいと伝えているみたいです。大切な人って誤解されても知りませんよ。







──────────



「姉上、こちらが紹介したかったユーリです。」
「まあ、綺麗な子ですわね。」




 
 転移魔法で一瞬で来たのは、水色を基調とした上品な部屋。所々に有名で高価な調度品が飾られている。エルよ、本当に貴方は何者なんだい?
 
 部屋の窓側にはベッドが置かれていてそこには、エルに眼差しの良く似た可愛らしい女性が居た。
 女性は鮮やかな金糸にエルと同じ透明感のある翡翠色の瞳をしている。色だけを見るとドランにそっくりだが彼女の人形の様な相貌と遥かに綺麗な髪は全然違う。
 まさに月とすっぽんだ。もちろん、月がフレアですっぽんがドランだ。





「お初にお目に掛かります。ユーリ・ブラットレイと申します。」
「あら、丁寧にありがとう。私の事はフレアと呼んで。」
「フレア様?」
「うふふ。綺麗なのに可愛らしい子。」






 とても、明るい方みたいですね。 
 それにしても、肌が白くって透き通っていて本当に人形みたい。
 赤めの紅がとても映えていて羨ましいわ。こんなに元気そうなのに何かの病気ねぇ。
 でも、エルの違和感を否定することはしない。

 ふと、ベッドに座るフレアの爪に視線が釘つけになる。爪の中心部が少し凹んでいる。肌の白さに紅で色を隠された唇、そして凹んだ爪はある症状を指していた。

 でも、その症状を起こす原因は何か。
 女性特有の病気なら先ずは母親に相談しそうな所だが。相談できない何かなのか。そういえば、前世の友人に似た様な事を聞いたな。






「エルに何か聞いているかも知れないけど……。」
「軽い貧血を起こしてますよね。」
「っ!」
「エル、後で厨房貸して。貧血向けの料理を作るわ。」
「じゃあ、伝えてくるよ。必要な食材とかある?」
「そうねぇ、ほうれん草とひじき、牛肉と大豆あるかしら。」
「確認しとくよ。少し時間が掛かるよ。」






 いってらっしゃいとエルを送り出したら、少し不安を滲ませているフレアの側に寄る。そして手を取ると色の白さに反して暖かいのがわかる。それも初期貧血の特徴だ。私は安心させるように笑みを浮かべながら、フレアと目線をあわせる。





「もしかして、月の物に塊が出てるかしら?」
「なっ、なんでそれを。」
「しかも、激しい痛みも有るわね。」
「……はい。」
「辛かったよね。大丈夫。」






 私が優しく背中を撫でながら寄り添っていると、フレアは微かに震えて涙を流し始めた。どうやらこの人は我慢強くて、心配を掛けたくない優しい方の様だ。
 明るく見せているのは周りを心配させないためかしら。
 少し落ち着いてきたところで、色々と聞いてみることにした。

 異変に気づいたのは半年前。
 元々痛みが強かった月の物に塊が混じり始めた。量も多く月の物が終わると軽い頭痛が起こるようにもなってきた。

 月の物の量をそもそも比べる事を普通はしないため、最初はこんなこともあるんだとおもっていたら、どんどん酷くなってしまったのだという。

 実は私の前世での友人が同じ症状だった。
 友人は、我慢のし過ぎで月の物がくる度に入院しなくてはならないほどになってしまった。
 見てるこちらが心配になるほど顔色が悪くても笑いかけてくれていた。そんな友人の為に貧血予防の料理もいくつも振る舞ったものだ。





「もしかしたら、呪われているのではと何度も思い、その内家族に言うのが怖くて。」
「そうですよね。どばどば出るときもあるらしいですし。」
「良くご存知なのね。」
「もう会えない私の友人が同じように苦しんでましたから。」
「……そう。」






 今ごろはあいつは何してるかな。
 オタクを拗らせて専門家になってたりして。

 私が懐かしげにしているとフレアがなんとも痛ましげに見ているのに気づいた。まあ、相手が死んだような言い方だったからね。会えないのは一緒だけど。






「透視魔法のある産婆様に見てもらわないと確かの事は言えませんが、どうやらまだ初期の様なので食事療法をしましょ。」
「食事で治るのですか?」
「いえ、この病気は一生付きまとうと考えて下さい。ですが食事によって症状が楽になる人もいるの。」
「是非、お願いしますわ!」






 
 次回は料理回。あれ?恋愛何処行った。

感想 3

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