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番外編『心配症のゼイン』2
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「あぁ」
オルフェウスは状況を察したのか、ハルの手を引き、大広間の隅へと移動する
「たしかに。ゼインはハルが体調不良で欠席だと言っていた」
「ゼインさまが『欠席にしろ』と勝手にお決めになったのですよ。私はこんなに元気なのに」
オルフェウスに愚痴をこぼすと、「ハルらしいな」と笑われた。
「ゼインはハルを失いたくないんだろう。テオドールを産むときにハルは意識を失い、このまま目を覚まさないのではないかと思った。あのとき、ハルが意識を回復するまでゼインは大変だったんだ」
ハルはテオドールを産むときに命を落としかけたのだ。まったく目を覚まさないハルを見て、ゼインは顔面蒼白になり、一睡もせずにハルのそばにいたらしい。
目を覚まして、ゼインの手を握り返したとき、ゼインが声を出して泣いたのを今でもはっきり思い出せる。
「もう大丈夫なのに」
ゼインは過保護すぎる。ハルの体調は元どおりとは言わないが、まったく問題なく動けている。それなのに「無理をするな」「休んでいろ」とそればかりだ。
「でも俺にはゼインの気持ち、わかるなぁ。あのときは背筋が凍った。ハルがいなくなるかもしれないと思った瞬間、恐ろしくて立っていられなかった」
「ご心配をおかけして、本当に申し訳ございません」
体調不良になってしまったせいで、みんなに心配させてしまった。ゼインはもちろんのこと、オルフェウスや家族のみんなもハルが目を覚ましたときに「よかった」と泣いてくれていた。
「心配した。でもこうして元気になってくれてよかったよ」
オルフェウスはハルの顔を覗き込むようにして膝を折る。
「ハルはこの国の次期王妃だ。ゼインには愛嬌が足りない。だからいつもニコニコしてるハルがそばにいてくれると、とてもうまくいくと思うよ。ゼイン自身も、ハルが近くにいると見違えるように穏やかになる。あいつ、ハルにいいところ見せたいって頑張るんだろうな」
オルフェウスがフフッと笑うから、ハルもつられて笑う。
王太子であるゼインのことをこんなふうに茶化すことができるのはオルフェウスくらいのものだろう。
「ゼインさま、幸せそう」
ゼインは息子のテオドールを自慢げに人に見せている。
生まれて間もないころは大勢の人の前にテオドールを連れ出すことはしていなかった。ひと月経って、ゼインは自分の誕生日に合わせて新しい王家の一員をお披露目することにしていた。
「あのゼインが父親とはね。何があっても眉ひとつ動かさなかったゼインのあんな顔を見ることになるとは。全部、ハルの愛の力だね」
「そ、そんなことありませんよ」
オルフェウスが微笑みかけてくるから、恥ずかしくなってハルは顔を真っ赤にして否定する。
買いかぶり過ぎだ。ゼインが元々持っていた力だと思う。
ゼインは優しい人だ。自分を犠牲にして国のために戦い、ハルの幸せのためにハルを手放そうとした。
そんなことができる人はこの世にどれだけいるだろう。思い出すたびにゼインの深い愛情を感じる。
「ハルがうちに嫁いできてくれてよかった。ハルが来る前と今と、ゼインは別人のようだよ」
幼い我が子を抱いて、愛おしげな目を向けているゼインを遠目に見ながらオルフェウスは微笑む。
「オルフェウスさまは本当にいい人ですね」
双子の王子である二人は、何かを間違えれば歪み合ってしまってもおかしくなかったと思う。
でも、穏やかなオルフェウスの性格がそうさせなかった。
「ハルに褒められると嬉しいな」
そう言って微笑む姿には、優しい本心が垣間見える。あぁ、この人は本当に喜んでくれていると思うと、一緒にいて安心できる。
オルフェウスとゼイン、この二人がいればこの国は安泰だとまで思える。素晴らしい兄弟だ。
オルフェウスは状況を察したのか、ハルの手を引き、大広間の隅へと移動する
「たしかに。ゼインはハルが体調不良で欠席だと言っていた」
「ゼインさまが『欠席にしろ』と勝手にお決めになったのですよ。私はこんなに元気なのに」
オルフェウスに愚痴をこぼすと、「ハルらしいな」と笑われた。
「ゼインはハルを失いたくないんだろう。テオドールを産むときにハルは意識を失い、このまま目を覚まさないのではないかと思った。あのとき、ハルが意識を回復するまでゼインは大変だったんだ」
ハルはテオドールを産むときに命を落としかけたのだ。まったく目を覚まさないハルを見て、ゼインは顔面蒼白になり、一睡もせずにハルのそばにいたらしい。
目を覚まして、ゼインの手を握り返したとき、ゼインが声を出して泣いたのを今でもはっきり思い出せる。
「もう大丈夫なのに」
ゼインは過保護すぎる。ハルの体調は元どおりとは言わないが、まったく問題なく動けている。それなのに「無理をするな」「休んでいろ」とそればかりだ。
「でも俺にはゼインの気持ち、わかるなぁ。あのときは背筋が凍った。ハルがいなくなるかもしれないと思った瞬間、恐ろしくて立っていられなかった」
「ご心配をおかけして、本当に申し訳ございません」
体調不良になってしまったせいで、みんなに心配させてしまった。ゼインはもちろんのこと、オルフェウスや家族のみんなもハルが目を覚ましたときに「よかった」と泣いてくれていた。
「心配した。でもこうして元気になってくれてよかったよ」
オルフェウスはハルの顔を覗き込むようにして膝を折る。
「ハルはこの国の次期王妃だ。ゼインには愛嬌が足りない。だからいつもニコニコしてるハルがそばにいてくれると、とてもうまくいくと思うよ。ゼイン自身も、ハルが近くにいると見違えるように穏やかになる。あいつ、ハルにいいところ見せたいって頑張るんだろうな」
オルフェウスがフフッと笑うから、ハルもつられて笑う。
王太子であるゼインのことをこんなふうに茶化すことができるのはオルフェウスくらいのものだろう。
「ゼインさま、幸せそう」
ゼインは息子のテオドールを自慢げに人に見せている。
生まれて間もないころは大勢の人の前にテオドールを連れ出すことはしていなかった。ひと月経って、ゼインは自分の誕生日に合わせて新しい王家の一員をお披露目することにしていた。
「あのゼインが父親とはね。何があっても眉ひとつ動かさなかったゼインのあんな顔を見ることになるとは。全部、ハルの愛の力だね」
「そ、そんなことありませんよ」
オルフェウスが微笑みかけてくるから、恥ずかしくなってハルは顔を真っ赤にして否定する。
買いかぶり過ぎだ。ゼインが元々持っていた力だと思う。
ゼインは優しい人だ。自分を犠牲にして国のために戦い、ハルの幸せのためにハルを手放そうとした。
そんなことができる人はこの世にどれだけいるだろう。思い出すたびにゼインの深い愛情を感じる。
「ハルがうちに嫁いできてくれてよかった。ハルが来る前と今と、ゼインは別人のようだよ」
幼い我が子を抱いて、愛おしげな目を向けているゼインを遠目に見ながらオルフェウスは微笑む。
「オルフェウスさまは本当にいい人ですね」
双子の王子である二人は、何かを間違えれば歪み合ってしまってもおかしくなかったと思う。
でも、穏やかなオルフェウスの性格がそうさせなかった。
「ハルに褒められると嬉しいな」
そう言って微笑む姿には、優しい本心が垣間見える。あぁ、この人は本当に喜んでくれていると思うと、一緒にいて安心できる。
オルフェウスとゼイン、この二人がいればこの国は安泰だとまで思える。素晴らしい兄弟だ。
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