日暮ノ町の日常

しまうまひと

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ある冬の夜

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 眠りに落ちてから何時間が経過しただろうか。ふいに犬神は、自分の下肢を撫でる手がある事に気がついた。股間がむずむずして、夢の中にいた脳が徐々に覚醒し、ぼやけた視界が暗い天井を映す。
 ねちゃねちゃという粘り気のある音が耳に届き、それが自分の陰茎から発せられている音だと理解した瞬間、犬神はぱちりと目を開けた。

「あ……何? て、丁一? 何してんだよ……っ」

「仁郎、起こしちゃった?」

 隣を見やると暗闇の中で上半身を起こして犬神を覗き込む宮内の姿が浮かび上がった。
 犬神自身の下半身はいつの間にかズボンの前がくつろげられ、天を向いて聳り立つ逸物が白日の下に晒されている。
 そこに繊細だが硬い指が添えられ、滑らかな上下運動を繰り返していた。竿を擦られるたびに痺れるような気持ち良さが背筋を這い上がり、犬神はふるりと身震いをする。

「あっ、はぁ……っは」

「ごめんよ。仁郎が可愛い顔をして寝てるから、我慢できなくなっちゃって」

「だからって……こんな、寝てる時に……んっふぁあ……」

 ひと言文句を言おうとしたものの、まとわりつく五指に陰茎を強く擦り上げられて、言葉が途切れてしまう。亀頭を手のひらで捏ね回され、鈴口を親指で抉られると、たまらず引き攣った声が上がり、びくびくと体が跳ねた。

「っあ、アアッ! ていいち! さきっぽ、やだぁ」

「嫌じゃないだろ? こんなに濡らして……もっとして欲しい、だろう」

 ペニスの先端に爪先が触れる度に先走り液が溢れ宮内の手をしとどに濡らす。
 それを揶揄うように指摘されて犬神は赤くなった。まるで自分が人前ではしたなくお漏らしをして悦んでいるかのような気分だ。
 宮内はそんな犬神を興奮を帯びた眼差しで見つめ、わざとらしく音を立てながら肉棒を激しく扱く。
 途端に襲ってくる強烈な快感に、犬神は身を捩って逃げようとしたが、腰に回った宮内の腕により固定され、重点的に敏感な箇所を責められて仰け反ることしか出来なかった。
 頭が真っ白になり、もう射精することしか考えられずに、自らの腰を突き出して精子を撒き散らす。

「あっ、ああ! あーッ!! も、らめイク! ああああぁ……」

 着ているシャツや畳の上にまで白濁を飛び散らせ、宮内の手にも二度に分けて吐精した。
 周囲に濃い雄の匂いが漂い、鼻腔を満たす。
 犬神が絶頂の余韻から呆然として息を整えていると、手に絡みついた白濁を愛おしそうに舐める宮内が見えて、顔が熱くなった。
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