15 / 25
第3章 お米には七人の神さまがいるんだよ
5.さっきの誰? ……お兄さん?
しおりを挟む
陽翔の顔を見て仁奈が「わあ」と声をあげた。
「陽翔くん、すごいねー。それはいったいなに?」
陽翔はジャージにクラスTシャツ姿。髪はワックスで逆立っている。顔にもペイントがしてあった。
険しい形相だった陽翔は一変「すごいだろう?」と笑みになる。
「カニなんだよ。頬のペイントはカニの触覚。髪は親爪をイメージしているんだ」
「カニに触覚なんてあったっけ」
「タラバガニとかめちゃ長いのあるっしょ」
「あー、うちはタラバより毛ガニ派だから」、「ウチもー」と仁奈と亜里沙は声をそろえる。
「えー、なんだよ」といいかけた陽翔は「そうじゃなくて」と柚月へ詰めよった。
「あーもー、やっと見つけたよ。捜しまくったでしょ。行灯のそばまできたなら、ちゃんと行列が終わるまでいてくれよ」
へ? と目を丸くする。
「どうしてそばまでいったことを知ってるの? なにか頼まれていたっけ?」
「いやあの」と口ごもる陽翔へ「そうよ、行列だよ」と仁奈が割って入った。
「行列って三十分くらいはかかるもんでしょ。もう終わったの?」
「だから、途中で柚月がいないのに気づいて戻ってきたんだよ」
「戻ってきたっ? ちょっと待って。陽翔くん、行灯班のリーダーでしょ。リーダーなしでほかのメンバーは行列してるってこと?」
「よく間違われるけど、おれはデザイン担当でリーダーじゃない」
「そうだったのっ?」と柚月たちは声を裏返した。
「だとしても」と仁奈が気色ばんで続ける。
「最後の最後で陽翔くんがいないのってあんまりでしょ。みんなそろっての晴れ舞台ってもんじゃないの?」
「あ、ま、そうなんだけど」
「ここの片づけがあるから我慢してるけど、できることなら私たちも参加したいくらいなんだよ。それなのにどういうことよっ」
「仁奈、落ち着け。おれは別に──」という陽翔の声を聞きながら柚月は青ざめる。
そうまでして陽翔くんが行列を抜けてきた。わたしがいなかったから。それって。
「……わたし、それだけ大切な頼まれごとをしていたのよね。それを忘れていたって。ごめんなさい。すぐにいく。グランドでいい?」
陽翔の答えを待たずに柚月は教室を飛び出した。
「いやあんた、なにも頼まれてないからーっ」と仁奈が叫んでいたけれど、とにかくいってみないことには気持ちがおさまらない。
その柚月へすぐに陽翔が追いついた。
「あのカニ、柚月に一番見てもらいたかったんだから。すごくがんばったんだぞ」
「そうだよね。すっごく迫力がある仕上がりだった。がんばったよねえ。徹夜もしたんだもんねえ」
陽翔が言葉に詰まっている。小走りでグランドに向かいながら、どうしたのかな? と振り返る。
陽翔は数メートル後ろで立ち止まっていた。
「陽翔くん?」
「……さっきの誰?」
え? と足を止める。さっきのって?
首をかしげつつも思い当たるのはひとりしかいない。公武さんのこと?
「お兄さん?」
「違うわよ」
「じゃあ誰」
えっと、と今度は柚月が言葉に詰まる。
仁奈たちへ伝えたように「ご近所さん」といえばいい。けれどなぜか声が出ない。だってそういえば陽翔くんは仁奈たちとは違ってわたしと公武さんを「ただの知人」扱いをするだろう。
それって……なんだか嫌だな。
じゃあ、わたしと公武さんの関係ってなんだろう。公武さんがいうように弟子と師匠ってわけでもないし。
胸がどんどん苦しくなる。陽翔が公武を「お兄さん?」といったのも胸に刺さっていた。
……人から見たらそう見えるのかな。そりゃわたしと公武さんは歳が離れているけど。あんまり気にしていなかったけど。少なくとも陽翔くんにはそう見えたってことで。
「柚月、黙っていないで答えてよ」
ああもうっ、と顔をあげる。
どうしようもないほど腹が立ってきた。わかっている。この気持ちは八つ当たり。それでもこらえられなかった。
「陽翔くんには関係ないでしょう?」
ハッと口元を押さえる。しまった、と思ったけれど遅かった。陽翔は真っ白い顔になっていた。
「ご、ごめんなさい。そうじゃなくて。わたしがいいたかったのは──」
「──彼氏?」
「ち、違うわよ」
顔が赤くなる。耳の先まで熱くなり、たまらず柚月は陽翔から逃げ出した。
ああもう泣きたい。こういうとき、なんていえばよかったのかな。仁奈たちは陽翔くんがわたしに気があるっていっていたけど、そんなわけない。陽翔くんは面倒見がいいからわたしを気づかってくれているだけで──。
……ううん。違うな。足を止める。
気づかないふりをしていたけど、本当はわたし……陽翔くんの気持ちに気づいてる。
だって。
なんとも思っていない相手に公武さんとの関係を真顔で問い詰めたりしない。
ただのクラスメイトに毎日あんなに声をかけてくることなんてないし、個人アカウントへメッセージを送ってくることもない。
それなのにわたしは陽翔くんを傷つけるようなことばかりしている。さっきなんて八つ当たりまでした。……最低だ。
足取り重く行灯集合場所へ着くと、ちょうどクラスの行灯が戻ってきたところだった。
行灯班は「へ? 柚月? なんで?」と驚きつつも「助かるー」とあれこれ手伝いを頼んできた。
どうもなにかを頼まれていたのは勘違いだと気づいたものの、陽翔への負い目でそんなことはどうでもよくなっていた。
ひといき作業をすませて教室へ戻ると、仁奈と亜里沙が駆けよってきた。
「……陽翔くんとなにかあった?」
「ひどい顔をしてるよ?」
思わず涙目を向ける。
「わたし──どうしたらいいんだろう」
震えた声が出た。口元へ手を当てると仁奈と亜里沙が肩を抱いてくれた。
「ゆっくりでいいから教えて? なにがあったの?」と心配そうな声をかけてくれる。鼻をすすって、あのね、と声を出そうとした。
ガラッと教室のドアが開いたのはそのときだ。
級長と学祭委員、それに担任教諭が入ってきた。
学祭委員が真っ赤な顔で吠える。
「模擬店賞、ウチの甘味処『カニの愛した白玉はいかがカニ?』が受賞しましたっ」
わあっ、と耳が痛くなるほどの歓声があがる。
模擬店メンバーが仁奈へ抱きつき、「柚月、やったーっ」と手を取られた。
「柚月の梅シロップ、最高だったからー」、「抹茶白玉もおいしかったもんねー」、「ウチの行列、やばかったし」とクラスメイトは口々にまくし立てた。
柚月を気づかって仁奈と亜里沙は戸惑った顔をしていたものの、次第に感極まった顔つきになっていく。
「よかったー」、「がんばったもんねー」と柚月も泣き笑いになった。
鼻をすすって二人の耳元で声を出す。
「……心配してくれてありがとう。大丈夫。自分でちゃんと考える。でも、なんとかできなかったら相談に乗ってくれる?」
「もちろんだよ」
熱気の中で二人は力強く柚月へうなずいた。
***
「お疲れ様でした。持ちますよ」
校門の外で待っていた公武が柚月のカバンへ手を伸ばす。
「いえ、自分で持てます」
「僕のほうが力持ちですから」
そう笑われて、「ではお願いします」とカバンを手渡した。
「乙部先生へ連絡を入れておきました。乙部先生は帰宅するのにあと一時間くらいかかるそうです」
「あー、そうだ。父へ連絡を入れるのを忘れていました。なにからなにまでありがとうございます」
「学祭ですから。それどころじゃないのは乙部先生もわかっていらっしゃいますよ」
公武はふんわりと笑って歩き出す。小走りで続くと、それに気づいた公武が歩調を緩めた。
笑みが浮かぶ。公武さんのこういうところ、ホッとする。
「柚月さんの梅シロップ、おいしかったなあ」
「喜んでいただけてよかった。父の分がまだ残っているので、今度少しお持ちしますね」
「乙部先生に怒られちゃいそうですね」
ふふっ、と二人でいたずらっぽく笑い合う。
「そういえば公武さん、発表会があったんですよね。いかがでしたか?」
あー、と公武はうなだれる。
「かなりコテンパンにやられました。おにぎりって奥が深すぎますねえ」
首を振って、「それで」と公武は申し訳なさそうに続けた。
「お疲れのときに切り出すのは申し訳ないのですが。お願いしてもいいでしょうか」
「なにをでしょう?」
「お手すきのときで構いません。また、おにぎりを食べていただけますか? 方向性がわからなくなってきて。ぜひ柚月さんのご意見をいただきたいんです」
「いいですよ。日曜でいいですか? さすがに明日だとちょっとつらいかなって」
「もちろんです。よかった。本当に師匠がいて心強いです」
「大げさです。そうだ。梅シロップも日曜にお持ちしますね」
やった、と公武は拳を握る。
しみじみとそうやって公武が喜んでくれるのが嬉しい。公武と一緒にいると陽だまりの中にいるみたいだ。余計な気遣いも必要ない。
──陽翔くんとはぜんぜん違う。
ハッとする。
わたし、どうしてそんなことを?
なんだか自分がどんどん嫌な人間になっていく気がした。
「陽翔くん、すごいねー。それはいったいなに?」
陽翔はジャージにクラスTシャツ姿。髪はワックスで逆立っている。顔にもペイントがしてあった。
険しい形相だった陽翔は一変「すごいだろう?」と笑みになる。
「カニなんだよ。頬のペイントはカニの触覚。髪は親爪をイメージしているんだ」
「カニに触覚なんてあったっけ」
「タラバガニとかめちゃ長いのあるっしょ」
「あー、うちはタラバより毛ガニ派だから」、「ウチもー」と仁奈と亜里沙は声をそろえる。
「えー、なんだよ」といいかけた陽翔は「そうじゃなくて」と柚月へ詰めよった。
「あーもー、やっと見つけたよ。捜しまくったでしょ。行灯のそばまできたなら、ちゃんと行列が終わるまでいてくれよ」
へ? と目を丸くする。
「どうしてそばまでいったことを知ってるの? なにか頼まれていたっけ?」
「いやあの」と口ごもる陽翔へ「そうよ、行列だよ」と仁奈が割って入った。
「行列って三十分くらいはかかるもんでしょ。もう終わったの?」
「だから、途中で柚月がいないのに気づいて戻ってきたんだよ」
「戻ってきたっ? ちょっと待って。陽翔くん、行灯班のリーダーでしょ。リーダーなしでほかのメンバーは行列してるってこと?」
「よく間違われるけど、おれはデザイン担当でリーダーじゃない」
「そうだったのっ?」と柚月たちは声を裏返した。
「だとしても」と仁奈が気色ばんで続ける。
「最後の最後で陽翔くんがいないのってあんまりでしょ。みんなそろっての晴れ舞台ってもんじゃないの?」
「あ、ま、そうなんだけど」
「ここの片づけがあるから我慢してるけど、できることなら私たちも参加したいくらいなんだよ。それなのにどういうことよっ」
「仁奈、落ち着け。おれは別に──」という陽翔の声を聞きながら柚月は青ざめる。
そうまでして陽翔くんが行列を抜けてきた。わたしがいなかったから。それって。
「……わたし、それだけ大切な頼まれごとをしていたのよね。それを忘れていたって。ごめんなさい。すぐにいく。グランドでいい?」
陽翔の答えを待たずに柚月は教室を飛び出した。
「いやあんた、なにも頼まれてないからーっ」と仁奈が叫んでいたけれど、とにかくいってみないことには気持ちがおさまらない。
その柚月へすぐに陽翔が追いついた。
「あのカニ、柚月に一番見てもらいたかったんだから。すごくがんばったんだぞ」
「そうだよね。すっごく迫力がある仕上がりだった。がんばったよねえ。徹夜もしたんだもんねえ」
陽翔が言葉に詰まっている。小走りでグランドに向かいながら、どうしたのかな? と振り返る。
陽翔は数メートル後ろで立ち止まっていた。
「陽翔くん?」
「……さっきの誰?」
え? と足を止める。さっきのって?
首をかしげつつも思い当たるのはひとりしかいない。公武さんのこと?
「お兄さん?」
「違うわよ」
「じゃあ誰」
えっと、と今度は柚月が言葉に詰まる。
仁奈たちへ伝えたように「ご近所さん」といえばいい。けれどなぜか声が出ない。だってそういえば陽翔くんは仁奈たちとは違ってわたしと公武さんを「ただの知人」扱いをするだろう。
それって……なんだか嫌だな。
じゃあ、わたしと公武さんの関係ってなんだろう。公武さんがいうように弟子と師匠ってわけでもないし。
胸がどんどん苦しくなる。陽翔が公武を「お兄さん?」といったのも胸に刺さっていた。
……人から見たらそう見えるのかな。そりゃわたしと公武さんは歳が離れているけど。あんまり気にしていなかったけど。少なくとも陽翔くんにはそう見えたってことで。
「柚月、黙っていないで答えてよ」
ああもうっ、と顔をあげる。
どうしようもないほど腹が立ってきた。わかっている。この気持ちは八つ当たり。それでもこらえられなかった。
「陽翔くんには関係ないでしょう?」
ハッと口元を押さえる。しまった、と思ったけれど遅かった。陽翔は真っ白い顔になっていた。
「ご、ごめんなさい。そうじゃなくて。わたしがいいたかったのは──」
「──彼氏?」
「ち、違うわよ」
顔が赤くなる。耳の先まで熱くなり、たまらず柚月は陽翔から逃げ出した。
ああもう泣きたい。こういうとき、なんていえばよかったのかな。仁奈たちは陽翔くんがわたしに気があるっていっていたけど、そんなわけない。陽翔くんは面倒見がいいからわたしを気づかってくれているだけで──。
……ううん。違うな。足を止める。
気づかないふりをしていたけど、本当はわたし……陽翔くんの気持ちに気づいてる。
だって。
なんとも思っていない相手に公武さんとの関係を真顔で問い詰めたりしない。
ただのクラスメイトに毎日あんなに声をかけてくることなんてないし、個人アカウントへメッセージを送ってくることもない。
それなのにわたしは陽翔くんを傷つけるようなことばかりしている。さっきなんて八つ当たりまでした。……最低だ。
足取り重く行灯集合場所へ着くと、ちょうどクラスの行灯が戻ってきたところだった。
行灯班は「へ? 柚月? なんで?」と驚きつつも「助かるー」とあれこれ手伝いを頼んできた。
どうもなにかを頼まれていたのは勘違いだと気づいたものの、陽翔への負い目でそんなことはどうでもよくなっていた。
ひといき作業をすませて教室へ戻ると、仁奈と亜里沙が駆けよってきた。
「……陽翔くんとなにかあった?」
「ひどい顔をしてるよ?」
思わず涙目を向ける。
「わたし──どうしたらいいんだろう」
震えた声が出た。口元へ手を当てると仁奈と亜里沙が肩を抱いてくれた。
「ゆっくりでいいから教えて? なにがあったの?」と心配そうな声をかけてくれる。鼻をすすって、あのね、と声を出そうとした。
ガラッと教室のドアが開いたのはそのときだ。
級長と学祭委員、それに担任教諭が入ってきた。
学祭委員が真っ赤な顔で吠える。
「模擬店賞、ウチの甘味処『カニの愛した白玉はいかがカニ?』が受賞しましたっ」
わあっ、と耳が痛くなるほどの歓声があがる。
模擬店メンバーが仁奈へ抱きつき、「柚月、やったーっ」と手を取られた。
「柚月の梅シロップ、最高だったからー」、「抹茶白玉もおいしかったもんねー」、「ウチの行列、やばかったし」とクラスメイトは口々にまくし立てた。
柚月を気づかって仁奈と亜里沙は戸惑った顔をしていたものの、次第に感極まった顔つきになっていく。
「よかったー」、「がんばったもんねー」と柚月も泣き笑いになった。
鼻をすすって二人の耳元で声を出す。
「……心配してくれてありがとう。大丈夫。自分でちゃんと考える。でも、なんとかできなかったら相談に乗ってくれる?」
「もちろんだよ」
熱気の中で二人は力強く柚月へうなずいた。
***
「お疲れ様でした。持ちますよ」
校門の外で待っていた公武が柚月のカバンへ手を伸ばす。
「いえ、自分で持てます」
「僕のほうが力持ちですから」
そう笑われて、「ではお願いします」とカバンを手渡した。
「乙部先生へ連絡を入れておきました。乙部先生は帰宅するのにあと一時間くらいかかるそうです」
「あー、そうだ。父へ連絡を入れるのを忘れていました。なにからなにまでありがとうございます」
「学祭ですから。それどころじゃないのは乙部先生もわかっていらっしゃいますよ」
公武はふんわりと笑って歩き出す。小走りで続くと、それに気づいた公武が歩調を緩めた。
笑みが浮かぶ。公武さんのこういうところ、ホッとする。
「柚月さんの梅シロップ、おいしかったなあ」
「喜んでいただけてよかった。父の分がまだ残っているので、今度少しお持ちしますね」
「乙部先生に怒られちゃいそうですね」
ふふっ、と二人でいたずらっぽく笑い合う。
「そういえば公武さん、発表会があったんですよね。いかがでしたか?」
あー、と公武はうなだれる。
「かなりコテンパンにやられました。おにぎりって奥が深すぎますねえ」
首を振って、「それで」と公武は申し訳なさそうに続けた。
「お疲れのときに切り出すのは申し訳ないのですが。お願いしてもいいでしょうか」
「なにをでしょう?」
「お手すきのときで構いません。また、おにぎりを食べていただけますか? 方向性がわからなくなってきて。ぜひ柚月さんのご意見をいただきたいんです」
「いいですよ。日曜でいいですか? さすがに明日だとちょっとつらいかなって」
「もちろんです。よかった。本当に師匠がいて心強いです」
「大げさです。そうだ。梅シロップも日曜にお持ちしますね」
やった、と公武は拳を握る。
しみじみとそうやって公武が喜んでくれるのが嬉しい。公武と一緒にいると陽だまりの中にいるみたいだ。余計な気遣いも必要ない。
──陽翔くんとはぜんぜん違う。
ハッとする。
わたし、どうしてそんなことを?
なんだか自分がどんどん嫌な人間になっていく気がした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる