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39話 母との電話
しおりを挟む鉄格子の向こう側には、夕闇が広がっていた。
いつの間にか眠っていたのだろう。
今、何時頃なんだろうか?
母さんは、無事なんだろうか?
私は、ポケットに容れていた携帯を取り出しの電源を入れた。
着信有りの文字が、画面に表示される。
それを開くと見事に成瀬の表示が画面一杯に表示される。
呆然とその画面を見ていたら、フと思ったのは、心配しているだろう母さんに連絡を入れて安心させることだった。
私は、急いで電話をする。
コールを待たずに。
『幸矢!』
母さんの慌てた声に、やっぱり心配してたのだと悟った。
「母さん、大丈夫?」
私は、自分よりも母の方が心配だったからそう口にした。
『私は大丈夫よ。幸矢こそ、大丈夫なの?』
優しい声で問いかけれ。
「うん、大丈夫。ちょっとお祖父様とやりあっちゃって、今、反省室に入ってる。」
本当は、言わないつもりだったけど、何か口から出てきたんだよね。
『幸矢……。ゴメンね。幸矢……。』
母さんが、泣いている。
傍で慰めることが出来ないのに……。
「母さん、泣かないでよ。私から戻るって決めたんだからね。母さんが謝ること無いんだよ。」
私は、母さんを宥めるように口を開く。
『でも……。幸矢を助けれるのは、私しか居ないでしょ……。』
母さんが、シャクリ混じり言う。
「大丈夫だよ。今なら冬哉兄さんも帰って来てるし、それに父さんが、謝ってくれたから……。私は、何とかなるから、母さんは自分の身体の事を考えて、ね。何とか逃げ出して戻るから、其までに体調を戻しておいてよ。まだ、夏休み始まったばかりなんだからね。」
私は、明るい声を出して伝える。
私、母さんと行きたい場所一杯あるんだよ。
そう口に出来ないのは、何でだろうか?
『幸矢……。有り難う。』
母さんがポツリと言う。
「母さん、私こそ有り難う。」
そう言って、電話を切った。
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