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しおりを挟む「木崎くん。これ頼まれていたやつ。」
一限目が終わり、彼の所に美術部の井上さんと坂井さんが声をかけているのを横目で見ながら、資料本を取り出して写し出す。
「ありがとう。クラス旗の図案を後ろの黒板に掲示しておくから、帰りに多数決で決めたい。見ておいてくれ。」
彼がそう声を張り上げて告げると後ろに移動した。
早速それを見ようと人だかりが出きる。
私はゆっくりと見たいから、もう少し後で見ようかな。
「どんな感じなのかな? 私見てくるね。」
そう言うと瑞歩が席を立ち興味津々で見に行った。
「珠稀。」
それを見送った後で星香が声をかけてきた。
「何?」
「例のやつだけど、メールで詳細を送っておいたから、後で確認して欲しい。変更点があればメールして。」
小声で伝えてきた。
「うん、わかった。」
私は、それだけを返すと資料写しを再開した。
「きゃーっ!」
突然の叫び声に何事かと声がした方へ振り向けば、瑞歩が彼にしがみついていた。
「大丈夫か? 山崎。」
彼の冷静な声に対して。
「えっ、あっ、ごめん…。」
慌てる瑞歩。
巧く取り立ててるようで、成ってないのが丸分かりだ。
だって、顔がにやけてるんだもの。
彼に心配されて嬉しいって顔がね。
「気を付けろよ。」
彼は一言そう言うとさっさと距離を取っていた。
すると、直ぐ様顔色を変えて。
「…足…捻ったかも……。」
と言い出した瑞歩。
「大丈夫か? 保健委員、彼女を保健室へ連れて行ってくれ。」
彼が淡々と周りに声をかけて、保健委員を呼び出して、彼女を託し此方に向かって来た。
思惑と違ったのか、何とも言えぬ顔をして彼の後ろ姿を目で追っていた。
その後、保健委員に連れられて教室を出て行った。
「あれ、瑞歩じゃなく珠稀なら、木崎自分で保健室に運んでたよ、ね。良からぬ企みをするから……。」
星香が小声で言う。
それが聞こえてたのか。
「当たり前だろ。好きな娘を他のヤツに触らせるつもり無いし、悪化しないように姫抱っこしてくし……。」
って恥ずかしげもなく言う彼。
「しかし、山崎のヤツ何考えてるんだ。何もないところで転ぶなんて……。」
「それが、彼女の作戦だったんじゃない。自分から木崎に触れられるのって、それくらいしか思い付かないと思うし。」
星香の言葉に。
「それどう言う事?」
彼の言葉に私も同意する。
「前から思ってたんだけど、瑞歩が珠稀に近付いた理由が木崎なんじゃないかって。」
星香の言葉に私は確信した。
「それって……。」
「自分からじゃ、木崎に近付きにくいから、同じ委員の珠稀に近付いて徐々に近付こうと企てていたけど、最近、木崎が珠稀に告白して珠稀が答えを保留にしている隙に木崎にアタックして自分をアピールして、惚れて貰おうとでも考えたんじゃない。」
星香の口から私が思っていたのと似たような意見が出てきた。
「こんなにも、木崎が珠稀を好きだって全身で言ってるのに、それでも自分に向くと思ってるんだから、バカとしか言えないよ。」
辛痛な言葉が星香の口から出てくる。
「えっ、あっ…そんなにわかりやすいか?」
彼の顔が本の少し赤くなる。
「わからないのなら、周りに聞いてみれば良いじゃない。」
星香の一言で彼が周りを見渡すと、呆れ顔のクラスメートたちが各々頷いている。
それにともない私まで顔が熱くなる。
「大体さぁ、放課の度に田所の所に行き、普段しない顔で傍に居ればなぁ。」
大沢さんが口にし、周りも同意している顔だ。
クラス公認? されたの。
嬉しいけど、恥ずかしくて顔が上げれなくなってしまった私だった。
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