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しおりを挟む定番に成りつつある屋上に二人、日陰を陣取り腰を落ち着かせる。
お弁当箱の蓋を開けるが、食欲は出なかった。
何でこんな事に……。
落ち込む私に。
「食べないの?」
心配気な声が掛かる。
「た、食べるよ。」
歯切れの悪い返事を返しながら、手は動かず仕舞い。
「瑞歩の事気になる?」
不意に聞かれた言葉にコクリと頷き。
「私が自分の気持ちを瑞歩に伝えてれば、こんな事には成らなかったんじゃって後悔してる。」
私が口にすれば。
「珠稀が気にする事無いよ。告白のタイミングなんて、各々違うんだから……。今回だって、珠稀は言うつもり無かったんでしょ?」
確認する様に聞いてくる星香に。
「うん。言うつもりはなかった……。瑞歩にもきちんと自分の気持ちを伝えてからって決めてた。そこで衝突したとしても友達…親友だって思ってるから理解してくれると思ってたけど…私の勘違いだった。」
もうね、苦笑いしか出てこないよ。
瑞歩の態度から、親友だと思ってたのは私だけの様だし……。
「私は、最初から瑞歩のお目当てには気付いてたけど、それを言って珠稀と敬遠の仲になるのは嫌だったから口にしなかった。だから、自分を攻めないで。」
星香の言葉は、自分の行動に後悔してる様に感じる。
「こればかりは、時間が解決してくれるのを待つしかないね。元々、木崎は珠稀の事を気にしていたわけだし、最近になって、堂々と宣言してるしね。そこに入り込もうとしてる瑞歩の行動は無謀だと思ってた。」
感情のともわない声で星香が言う。
その言葉に引っ掛かりを覚える。
「星香、木崎さんが気にしていたって?」
どういう事だろう?
首を傾げて星香を見れば、逆に驚いた顔をして私を見た後、口許を隠し顔を背けた。
「珠稀、気付いていなかったの?」
戸惑いながら放たれた言葉に疑問符を浮かべる私。
罰が悪そうな顔をして、小さな溜め息を吐くと。
「私が気付いたのは夏休み前よ。木崎がやたらと珠稀の事を見ていたのよ。」
星香が話し出した。
「なんと無く気になって観察してたら、珠稀が笑みを浮かべると顔を真っ赤にして背けたの。その行動で思ったのよ、木崎が珠稀に落ちたって……。その後もちょくちょく珠稀が困ってないか確認するかの様に見てたわよ。」
星香の思い掛けない言葉に固まってしまう。
星香の言葉が信じられずにオロオロする自分が居る。
「まぁ、何時から珠稀の事を好きなのかは、わからないけど…そこは直接本人に聞いてね。」
星香はニコリと悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。
それは、難しいような……。
「私が気付いたくらいなんだから、瑞歩だって気付いてたと思うよ。ただ、席が隣だったから、自分と勘違いしてしまっても可笑しくはないと思うけど……。」
それは……。
「木崎が、瑞歩を見て顔を赤くさせてると思ったんじゃないかな。それ程までに珠稀の事を見ていたからね。その視線に気付いて振り返ったタイミングで、顔を赤らめて逸らしていたから……。」
なる程ね、それは彼が悪いかも……。
「珠稀は気付いていなかったでしょ、瑞歩の気持ちに。」
突っ込んでくる星香に。
「最近気付いた。何となくだけど…ね。」
そう口にしてら、星香が本日二回目の驚いた顔をする。
私、そんなに鈍感じゃないんだけどなぁ……。
ただ、瑞歩の事を考えると胸が痛んだ。
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