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7話 不思議な耳…春菜
しおりを挟む放課後。
私は、鞄を掴んで教室を出ようとした。
「あっ、春菜。一緒に帰ろう。」
あっ君が、声を掛けてきた。
「ん……。ごめん。今日は部活なんだ。だから一緒に帰れない」
そう答えた私に。
「じゃあ、僕も一緒に行って見学してもいい?」
あっ君が、背を屈めて、私の顔を覗き込んでくる。
ちょっ…近い。
顔、近いから……。
「うん。いいと思うよ?」
「何で、疑問系?」
あっ君が、不思議そうな顔で聞いてくる。
「さぁ?」
私も自分で不思議だった。
私の言葉にクスクス笑い出すあっ君。
そんな彼にムッとしながら、部室に向かって歩き出した。
「春菜。ちょっと待ってよ。」
あっ君が、慌てて追い駆けてきた。
「笑って、ごめん。」
シュンと肩を落とす彼。
頭の上にある耳まで垂れてる。
あれ?
さっきまで見えてなかったのが、何でまた見えるようになってるの?
不思議だ。
「春菜?」
私の視線に気付いたあっ君が。
「あっ……。」
って、慌てて頭に手をやる。
「春菜って、見えるんだっけ?」
怯えた目で私を見てくる。
何の事かわからず首を傾げた。
一瞬考えてから、今のあっ君を見て、軽く頷いてから。
「うん。あっ君の頭の上の猫耳。綺麗な白色の耳が付いてる。」
見たままを伝えた。
するとあっ君が。
「ハァーー」
って、大きな溜め息をついた。
「これは、何か説明しないといけないよね。」
あっ君が小声で言ってる。
何を悩んでるんだろう?
「別にしなくて良いよ。興味ないし……。」
私は、悩んでるあっ君にそう伝えた。
ただ、普通の人間と違うんだなぁって感じるだけで、別に説明を求めるつもり無い。
「えっ……。」
あっ君の驚いた声。
「説明するの大変なんでしょ? だったらいいよ。それに私以外に見える人居ないみたいだから、私が気付かないふりしてれば良いわけだしね。」
私は、至って普通に言った。
あっくんは本の一瞬ポカンとした後。
「……ありがとう。」
小声で微笑しながら言う。
「お礼言われる筋合いはないけど……。あっ君は、ここで待ってて。」
私は、素っ気なく答えて部室に入った。
私は、胴着に着替えて、防具と竹刀を持って、部室を出た。
「春菜、その格好って……。」
あっ君が、戸惑っている。
「うん? あぁ、私、あっ君が引っ越してから始めたんだ。お母さんにも進められたってのもあるけど……。」
それまでは、あっ君が守ってくれてたから……。
あっ君が居なくなって、泣いてばかりだった私にお母さんが進めてきたものだった。
『自分の身は自分で守れなくちゃダメよ!』
何て言いながらね。
「そうだったんだ」
あっ君が、何か考え込み出した。
私は、あっ君の横を通り道場に足を向けた。
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