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8話 自惚れ…敦斗
しおりを挟む授業が終わり、辺りを見渡す。
春菜が教室を出ようとしてる。
僕は、慌てて自分の鞄を掴んで。
「あっ、春菜。一緒に帰ろ」
と声を掛けた。
春菜は、僕を振り返り見ると。
「ん……。ごめん。今日、部活なんだ。だから一緒に帰れない。」
申し訳なさそうな顔を見せて言う。
僕は、春菜の部活に興味をもった。
身を屈め、春菜の顔を覗き込み。
「じゃあ、一緒に行って見学してもいい?」
と聞いてみた。
春菜の顔が赤くなったと思ったら。
「うん。言いと思うよ?」
って、疑問符がついて言う。
あれ見学、ダメだったのかな?
「何で、疑問系?」
僕は、不思議に思って聞き返した。
「さぁ?」
って、不思議そうに答える春菜。
自分でもわかってないようだ。
思わずクスクスと笑みが溢れる。
そんな僕に対して、明らかに不機嫌になって歩き出した春菜。
僕は、慌てて追いかけた。
「春菜。ちょっと待ってよ。」
声をかけるが、止まる気配がない。
僕は、春菜の横に並ぶと。
「笑ってごめん。」
小声で伝える。
そんな僕を春菜はちょっと悲しそうな顔をして見てくる。
でも、その視線は、僕の頭の上に向けられてる。
「春菜?」
僕は、不思議に思った。
呼び掛けても視線は、頭の上から離れないから…。
もしかして……。
僕は、恐る恐る頭に手をやった。
「あっ……。」
そう僕の頭の上に猫の耳が……。
うわ~。
ヤバイヤバイ。
やってしまった。
さっき、春菜を怒らせたと思って、気落ちしたせいで、耳が現れてしまったんだと気付いた。
感情の起伏で制御できなくなると具現化する耳。どうしよう。
動揺しつつも。
「春菜って、見えるんだっけ?」
僕は、恐る恐る聞いてみた。
一瞬、キョトンとした顔をした春菜。
「うん。あっ君の頭の上の猫耳(?)綺麗な白色の耳が付いてる。」
って、色まで言われたら、隠しようがない。
「ハァー。」
僕は、溜め息を吐いた。もう、説明しないといけないよね。
「これは、説明しないといけないよね」
う~ん。
どう説明したらいいのだろう?
思い悩んでいたら。
「別にしなくていいよ。興味無いし」
って、返ってきた。
興味無いって…。
「えっ……。」
僕は驚いた。
だって、普通は説明を求められるものだろ。
それが、何も興味ないから、話さなくてもいいって……。
あまりにも寂しい。
「説明するの大変なんでしょ? だったらいいよ。それに私以外に見える人居ないみたいだから、私が気付かないふりしてれば良いわけだしね。」
って、春菜が茶目っ気のある笑顔で僕を見る。
春菜には、僕の事を知って欲しいって思ってる。
でも、まだ時じゃないんだって思わされた気がする。
「……ありがとう。」
僕はそれしか言えなかった。
「お礼を言われる筋合いはないけど……。あっ君は、ここで待ってて。」
春菜は、素っ気なく言い放し、部室に入っていった。
暫くして出てきた春菜は、侍の如く胴着を着こなしていた。
「春菜、その格好って……。」
僕の言葉に。
「うん? あぁ、私、あっ君が引っ越していってから始めたんだ。お母さんにも進められたってのもあるけど……。」
って、言葉を濁して言う。
だけど、それって、僕の為におばさんが春菜に進めたってことだよね。
自惚れかもしれないけど、そういう事だよね。
「そうだったんだ。」
伯母さんは、春菜を僕にって思ってるってことで、いいんだよね。
僕が考えてるうちに春菜が歩き出したから、僕も慌てて後を追った。
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