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成人編
07.教授(マエストロ)
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「そうそう、サエラ君、最近北原君から連絡は有った?」
えっ、なんで……
とは思ったが、落ち着いて直ぐに聞き返す。
「あれ、北原君をご存じなのですか?」
瑠璃さんが少し驚いて、紹介を始めた。
「ごめんなさい北原君から聞いて既に知っているかと思ったのよ、こちらは北原君が居た研究室の斎藤教授です」
どうやら私の面は既に割れていたようだった。
裕也の私の紹介を受けていたが、なかなか本人が挨拶にも来ないので瑠璃さんが私を偵察していたようで。
何度か店に来た時に、私は親子連れだと思っていたが、彼らは既に私を認識していたようだった。
「そうか、忙しそうじゃからな
夏休みじゃが、明日も研究室におるから、いつでも研究室に来ると良い、いろいろ勉強させるちゃるぞ」
マエストロは気さくに話しかけてくれる。
そうか、私も仲の良い親子連れだと思ったくらいなのだ、そのくらい人が良さそうな人だった。
う~ん、どうも裕也の情報に関西人特有の笑いを誘うための誇大な情報が混じっているような気がしてきた……
「それで、最近北原君から連絡は有ったのか?」
「そうですね、良くメールは来ますが、昨日のメールでも彼は元気そうですよ」
「そうか、元気か、それは良かったのぉ……
北原君からアルザス財団の話と無かったじゃろうか?」
「アルザス財団ですか?」
初めて聞く名前だ、教授と彼の間とか学校関連だけの話であれば私に聞くはずが無いだろう。
と言うことは「アルザス財団」というのは彼の個人的な話かな?
瑠璃さんが少し補足してくれた。
「北原君の海外へ行く目的の一つだったからね」
海外に行く目的!!
それは私の知らない話だった。
「今度聞いておきます」
私にはそう言うしかなかった……
「そうじゃ、このランタンも買っておこう、
瑠璃君きれいじゃろ、見ていて癒されるわぃ
よし瑠璃君、さっきの渡したカードでお勘定じゃ!!」
そう言うとマエストロ教授は瑠璃さんとキャッシャーに向かった。
「サエラ君、気軽に明日にでも研究室に顔を出すんじゃぞ!!」
振返りながら、そう付け加え、去って行った。
一瞬にして嵐のような教授が来て去って行った、何がしたかったんだろうか?
アパートに帰ってからメールを打つ。
何度も何度も消しては書いた。
裕也には海外に行く目的が有った、そのことはひとことも聞いたことは無かった。
私には言えないことなのか……
そう思うと書いていると感情が滲みだして書いている内容が荒れてしまう。
書き終えて送信ボタンを押すと、一日バイトで疲れていたからか寝てしまった。
そう、気持ちに余裕が無かったのだろう、財団のことを単純にネットで調べても良かったはずだ……
-----
なんか音がする。
そう思って目覚めた、というか気が付いた。
携帯電話に着信があった、裕也だった。
「サエラ元気か?」
久しぶりに聞く裕也の声だった、少し涙が出そうになる。
「どうしたの?、電話なんかして来て大丈夫なの?」
「大丈夫やで、こっちこそ悪いなこんな時間に電話して、眠くないか?大丈夫か?」
「私は大丈夫よ、どうしたの?」
「声を聞きたくてね……
というのとマエストロと会ったって……
と言うのは言い訳で、正直に言うと、サエラのメールの『アルザス財団』という文章が気になったんや」
彼はメールの返事を電話でして来たのだ……
「別に隠す気は無かったし、もちろん主目的はボランティアやったからな
今回の海外で財団とは接触できる可能性は低いから無理や思っとったんや
それでも今回の活動は評価の対象になるはずやから、卒業してからでも就職試験受けに行こうとか思とったんや
でもな、斎藤教授が画策してくれたようで最近接触の機会があって
その上に就職に関して話す機会を持てたんや
それで、先日、斎藤教授にお礼のメールしたんや……」
電話でも彼の興奮している様子が分かる、よっぽど嬉しいことなんだろう。
久しぶりの裕也の声、頷くのも忘れ聴き続けていた。
「でも、まだ確定やないし何度かの面接を受けてから結果が出るからな
それで、メールでは書きにくいからサエラには報告出来てなかったけど……
おれなぁ、いろいろ調べていて、結果卒業後『アルザス財団』の研究員になりたいと思ってたんや」
「えっ!!」
獣医ではなく? 研究員? 一瞬、彼が何を言っているのか分からなかった。
「実は、日本での活動では無くて、世界的な活動をしたいと思とるんや!!
『アルザス財団』はアメリカの財団やからな……」
驚いて声が出なかった。
それでも、私は声を振り絞り震える声で裕也に「良かったわね、夢に一歩近づいたわね!!」
そう言うと、何も言えなくなった。
「ありがとうな、でもまだまだや
実は今回の海外での活動内容も彼らの判断材料になるから、今回海外に来たんやけど実績がまだ少ないわ」
裕也は嬉しそうに言っていた。
次の目標を考えていた裕也、今回の海外も、その夢をつかみ取るためのものだったのだ。
私は……考えているようで、本当になにも将来に付いて考えていないことを思い知った……
「サエラ、卒業したら一緒に海外で働かへんか?」
えっ? 海外で? 頭が真っ白な状態……
「ごめん、ほら、あの、お父さんとの、約束の、ほら、覚悟とかいう、まだ果たせてないから……」
言葉がしどろもどろになる。
「大丈夫や、お父さんも、卒業してからやから分かってくれると思うで、考えておいてんか……」
「うん、そうやな、考えておくわ」
「ごめんな、こんな時間に、明日もバイトやろ、ホンマにごめんな、ゆっくり出来へんやろうけど休んでな……」
「うん、裕也も気を付けてね、お・や・す・みなさい」
そう言うと電話を切った。
また眠れなかった、そしてネットで『アルザス財団』を調べた。
えっ、なんで……
とは思ったが、落ち着いて直ぐに聞き返す。
「あれ、北原君をご存じなのですか?」
瑠璃さんが少し驚いて、紹介を始めた。
「ごめんなさい北原君から聞いて既に知っているかと思ったのよ、こちらは北原君が居た研究室の斎藤教授です」
どうやら私の面は既に割れていたようだった。
裕也の私の紹介を受けていたが、なかなか本人が挨拶にも来ないので瑠璃さんが私を偵察していたようで。
何度か店に来た時に、私は親子連れだと思っていたが、彼らは既に私を認識していたようだった。
「そうか、忙しそうじゃからな
夏休みじゃが、明日も研究室におるから、いつでも研究室に来ると良い、いろいろ勉強させるちゃるぞ」
マエストロは気さくに話しかけてくれる。
そうか、私も仲の良い親子連れだと思ったくらいなのだ、そのくらい人が良さそうな人だった。
う~ん、どうも裕也の情報に関西人特有の笑いを誘うための誇大な情報が混じっているような気がしてきた……
「それで、最近北原君から連絡は有ったのか?」
「そうですね、良くメールは来ますが、昨日のメールでも彼は元気そうですよ」
「そうか、元気か、それは良かったのぉ……
北原君からアルザス財団の話と無かったじゃろうか?」
「アルザス財団ですか?」
初めて聞く名前だ、教授と彼の間とか学校関連だけの話であれば私に聞くはずが無いだろう。
と言うことは「アルザス財団」というのは彼の個人的な話かな?
瑠璃さんが少し補足してくれた。
「北原君の海外へ行く目的の一つだったからね」
海外に行く目的!!
それは私の知らない話だった。
「今度聞いておきます」
私にはそう言うしかなかった……
「そうじゃ、このランタンも買っておこう、
瑠璃君きれいじゃろ、見ていて癒されるわぃ
よし瑠璃君、さっきの渡したカードでお勘定じゃ!!」
そう言うとマエストロ教授は瑠璃さんとキャッシャーに向かった。
「サエラ君、気軽に明日にでも研究室に顔を出すんじゃぞ!!」
振返りながら、そう付け加え、去って行った。
一瞬にして嵐のような教授が来て去って行った、何がしたかったんだろうか?
アパートに帰ってからメールを打つ。
何度も何度も消しては書いた。
裕也には海外に行く目的が有った、そのことはひとことも聞いたことは無かった。
私には言えないことなのか……
そう思うと書いていると感情が滲みだして書いている内容が荒れてしまう。
書き終えて送信ボタンを押すと、一日バイトで疲れていたからか寝てしまった。
そう、気持ちに余裕が無かったのだろう、財団のことを単純にネットで調べても良かったはずだ……
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なんか音がする。
そう思って目覚めた、というか気が付いた。
携帯電話に着信があった、裕也だった。
「サエラ元気か?」
久しぶりに聞く裕也の声だった、少し涙が出そうになる。
「どうしたの?、電話なんかして来て大丈夫なの?」
「大丈夫やで、こっちこそ悪いなこんな時間に電話して、眠くないか?大丈夫か?」
「私は大丈夫よ、どうしたの?」
「声を聞きたくてね……
というのとマエストロと会ったって……
と言うのは言い訳で、正直に言うと、サエラのメールの『アルザス財団』という文章が気になったんや」
彼はメールの返事を電話でして来たのだ……
「別に隠す気は無かったし、もちろん主目的はボランティアやったからな
今回の海外で財団とは接触できる可能性は低いから無理や思っとったんや
それでも今回の活動は評価の対象になるはずやから、卒業してからでも就職試験受けに行こうとか思とったんや
でもな、斎藤教授が画策してくれたようで最近接触の機会があって
その上に就職に関して話す機会を持てたんや
それで、先日、斎藤教授にお礼のメールしたんや……」
電話でも彼の興奮している様子が分かる、よっぽど嬉しいことなんだろう。
久しぶりの裕也の声、頷くのも忘れ聴き続けていた。
「でも、まだ確定やないし何度かの面接を受けてから結果が出るからな
それで、メールでは書きにくいからサエラには報告出来てなかったけど……
おれなぁ、いろいろ調べていて、結果卒業後『アルザス財団』の研究員になりたいと思ってたんや」
「えっ!!」
獣医ではなく? 研究員? 一瞬、彼が何を言っているのか分からなかった。
「実は、日本での活動では無くて、世界的な活動をしたいと思とるんや!!
『アルザス財団』はアメリカの財団やからな……」
驚いて声が出なかった。
それでも、私は声を振り絞り震える声で裕也に「良かったわね、夢に一歩近づいたわね!!」
そう言うと、何も言えなくなった。
「ありがとうな、でもまだまだや
実は今回の海外での活動内容も彼らの判断材料になるから、今回海外に来たんやけど実績がまだ少ないわ」
裕也は嬉しそうに言っていた。
次の目標を考えていた裕也、今回の海外も、その夢をつかみ取るためのものだったのだ。
私は……考えているようで、本当になにも将来に付いて考えていないことを思い知った……
「サエラ、卒業したら一緒に海外で働かへんか?」
えっ? 海外で? 頭が真っ白な状態……
「ごめん、ほら、あの、お父さんとの、約束の、ほら、覚悟とかいう、まだ果たせてないから……」
言葉がしどろもどろになる。
「大丈夫や、お父さんも、卒業してからやから分かってくれると思うで、考えておいてんか……」
「うん、そうやな、考えておくわ」
「ごめんな、こんな時間に、明日もバイトやろ、ホンマにごめんな、ゆっくり出来へんやろうけど休んでな……」
「うん、裕也も気を付けてね、お・や・す・みなさい」
そう言うと電話を切った。
また眠れなかった、そしてネットで『アルザス財団』を調べた。
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