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堕天の聖女
セイントバイオレンス(聖なる暴力)
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自習の時間として午前中を練習に使っていたが、午後一番にラング先生と聖女クリエナがやって来た。
ラング先生は3人に頼み事があると話す。
「昨日の技をもう一度見せてくれないか……
今後の聖女との共同授業や技の研究用にしたいんだ」
クリシェは快く引き受けた。
「そうですね、要は相殺をどう避けるかと言うことです
戦闘訓練場に場所を移しましょう」
昨日のことがあり、武道場は閉鎖されていた。
そのため戦闘訓練場に集まるシェリル達3人とバルカム。
クリシェが説明する。
「これから昨日の技の再現をしていきます
これは聖女様との本格的な共同戦闘訓練という意味でも重要な戦闘方法です
昨日のことを思い出し、あの『袋叩きの岩』に向かって訓練してみます」
この戦闘訓練場には剣や魔法の練習用に特殊な大岩が5つありそれは通称「袋叩きの岩」と言う。
特種とは言っても原理はいたって簡単だ。
精霊石の動力でカウンターの応用魔法が付与され守られた岩だ。
だが防御は完璧で魔法や剣のあらゆる攻撃対応していた。
よって防御魔法によりどんな剣で切っても切れない。
そしてどんな魔法で壊そうとして壊れない。
この岩、練習用としては最適だった。
「まずはサリア行きます」
聖女の聖なる光を纏わせた模擬剣を持った。
そして袋叩きの岩に向かって「"暴水斬"」と叫び斬撃を放つ!!
その水は聖なる光を纏い袋叩きの岩に突き刺さった。
これにはラング先生が驚いた。
「えっ、跳ね返されないで突き刺さった……」
クリシェが説明した。
「簡単です、魔法を相殺する聖なる光が『袋叩きの岩』の精霊石がカウンター魔法を発現させている魔力の効果を無効化したのです
そして相殺後に残った聖なる光が刺さったんです、でも今回の聖なる光は弱いので直ぐに効果は切れます」
光はやがて消えて行った、その後『袋叩きの岩』は精霊石により再度カウンター魔法で守られた。
「次はバルカム君にやってもらいます」
バルカムは昨日やった方法を披露した。
『火炎サークル』そう叫ぶと空間に火の短いトンネルが出来た。
トンネルは照準をセットするかのように『袋叩きの岩』に出口を向け、そこへバルカムは聖なる光を纏わせた模擬剣を『袋叩きの岩』に向けて投げた。
『火炎サークル』の中に入った模擬剣はそのトンネルの中を通る間に綺麗に燃え尽きた。
そしてこのトンネルを抜けた聖なる光のみが固まった礫のようなものが飛び出し『袋叩きの岩』に突き刺さった。
共通するのは、魔法は直接光に触れさせないことと、纏っている光を単独にすることだった。
その結果、光は分散するのではなく固まると言うことだった。
「たぶん纏わせるという方法自体が光の結合を強くしているので纏わりついている物体(模造剣)が無くなると光が固まるのだと思います」
次にクリシェがやって見た。
「"抜刀"」その瞬間聖なる光は刃物となり『袋叩きの岩』に到達すると真っ二つにした。
ラング先生は大きな声を出した。
「えっ、それ高いんだよ……」
クリシェは直ぐにフォローしておいた。
「大丈夫です、半分になっても使えますから……」
ラング先生も少しして魔法が再度発動すると一安心したようだが……
「確かに半分になっても魔法が再度発動したけど……これでいいのかな」
最後にシェリルが昨日の再現をするのだが、クリシェが止めた。
「シェリルには普通に纏った槍を振るってもらっただけだから見なくても大丈夫だろう」
そう言うとシェリルに再現をさせなかった。
サリアもそのことの意味は分かったようだった。
つまりあの時の最後の指令である「お湯お沸かす」という言葉……
それはは二人にとっては言わなかったし聞かなかった言葉だった。
但しシェリルには昨日からひとつ疑問があった。
「聖なる光のみを取り出すと固まる?」
それは何時も自分がやっていることだった。
「光を最大限見えなくしてお湯を沸かしているが
光を見える形で固めるとあんなに威力があるのか・・・・」
皆が教室に帰る時に、みんなが見ていない瞬間を見計らって実行してみた
手の中で直径5ミリ程度の純粋な玉を作って『袋叩きの岩』に投げた。
「ドドッ、ドドッ、ドカーン」と大爆破が起こった。
そしてあったはずの『袋叩きの岩』は一瞬にして粉々になっていた。
ラング先生は「今頃、大破のか?これって弁償かな?」と呟き、驚きの顔で岩の有った辺りを見ていた。
クリシェもサリアも何が起こったかは分からなかったが、たぶんシェリルがなんか「やらかした」らしいとは思った。
しかし二人ともが一切言葉には出さなかった。
当のシェリルはというと全くお構いなしに考え事をしていた。
(なんという威力なんだろう……
この技に『聖なる光の暴力:セントバイオレンス』という名を付けよう
ただし人前で使うとまずい気がするので秘密の技ということで胸にしまっておこう)
そんなひと騒ぎがあったのだが、その日の授業終了後クリエナは夕方に再度バザールへ行くことにした。
もちろん目的はカーミラに会いに行くためだ。
ところで、その後もシェリルは、強力なその力を捨てきれなかったのだろう。
そこでシェリルは城を抜け出してはこっそりと人目に着かない所で練習をしているらしい。
もちろんシェリルは力を相当押さえているようなのだが……
王城の側の森の中に最近大きなクレータが出来た場所が数か所あるという噂が立っていた。
押さえていてもこの威力だ、本来のセントバイオレンスの威力とはどれほどなのだろうか?
ラング先生は3人に頼み事があると話す。
「昨日の技をもう一度見せてくれないか……
今後の聖女との共同授業や技の研究用にしたいんだ」
クリシェは快く引き受けた。
「そうですね、要は相殺をどう避けるかと言うことです
戦闘訓練場に場所を移しましょう」
昨日のことがあり、武道場は閉鎖されていた。
そのため戦闘訓練場に集まるシェリル達3人とバルカム。
クリシェが説明する。
「これから昨日の技の再現をしていきます
これは聖女様との本格的な共同戦闘訓練という意味でも重要な戦闘方法です
昨日のことを思い出し、あの『袋叩きの岩』に向かって訓練してみます」
この戦闘訓練場には剣や魔法の練習用に特殊な大岩が5つありそれは通称「袋叩きの岩」と言う。
特種とは言っても原理はいたって簡単だ。
精霊石の動力でカウンターの応用魔法が付与され守られた岩だ。
だが防御は完璧で魔法や剣のあらゆる攻撃対応していた。
よって防御魔法によりどんな剣で切っても切れない。
そしてどんな魔法で壊そうとして壊れない。
この岩、練習用としては最適だった。
「まずはサリア行きます」
聖女の聖なる光を纏わせた模擬剣を持った。
そして袋叩きの岩に向かって「"暴水斬"」と叫び斬撃を放つ!!
その水は聖なる光を纏い袋叩きの岩に突き刺さった。
これにはラング先生が驚いた。
「えっ、跳ね返されないで突き刺さった……」
クリシェが説明した。
「簡単です、魔法を相殺する聖なる光が『袋叩きの岩』の精霊石がカウンター魔法を発現させている魔力の効果を無効化したのです
そして相殺後に残った聖なる光が刺さったんです、でも今回の聖なる光は弱いので直ぐに効果は切れます」
光はやがて消えて行った、その後『袋叩きの岩』は精霊石により再度カウンター魔法で守られた。
「次はバルカム君にやってもらいます」
バルカムは昨日やった方法を披露した。
『火炎サークル』そう叫ぶと空間に火の短いトンネルが出来た。
トンネルは照準をセットするかのように『袋叩きの岩』に出口を向け、そこへバルカムは聖なる光を纏わせた模擬剣を『袋叩きの岩』に向けて投げた。
『火炎サークル』の中に入った模擬剣はそのトンネルの中を通る間に綺麗に燃え尽きた。
そしてこのトンネルを抜けた聖なる光のみが固まった礫のようなものが飛び出し『袋叩きの岩』に突き刺さった。
共通するのは、魔法は直接光に触れさせないことと、纏っている光を単独にすることだった。
その結果、光は分散するのではなく固まると言うことだった。
「たぶん纏わせるという方法自体が光の結合を強くしているので纏わりついている物体(模造剣)が無くなると光が固まるのだと思います」
次にクリシェがやって見た。
「"抜刀"」その瞬間聖なる光は刃物となり『袋叩きの岩』に到達すると真っ二つにした。
ラング先生は大きな声を出した。
「えっ、それ高いんだよ……」
クリシェは直ぐにフォローしておいた。
「大丈夫です、半分になっても使えますから……」
ラング先生も少しして魔法が再度発動すると一安心したようだが……
「確かに半分になっても魔法が再度発動したけど……これでいいのかな」
最後にシェリルが昨日の再現をするのだが、クリシェが止めた。
「シェリルには普通に纏った槍を振るってもらっただけだから見なくても大丈夫だろう」
そう言うとシェリルに再現をさせなかった。
サリアもそのことの意味は分かったようだった。
つまりあの時の最後の指令である「お湯お沸かす」という言葉……
それはは二人にとっては言わなかったし聞かなかった言葉だった。
但しシェリルには昨日からひとつ疑問があった。
「聖なる光のみを取り出すと固まる?」
それは何時も自分がやっていることだった。
「光を最大限見えなくしてお湯を沸かしているが
光を見える形で固めるとあんなに威力があるのか・・・・」
皆が教室に帰る時に、みんなが見ていない瞬間を見計らって実行してみた
手の中で直径5ミリ程度の純粋な玉を作って『袋叩きの岩』に投げた。
「ドドッ、ドドッ、ドカーン」と大爆破が起こった。
そしてあったはずの『袋叩きの岩』は一瞬にして粉々になっていた。
ラング先生は「今頃、大破のか?これって弁償かな?」と呟き、驚きの顔で岩の有った辺りを見ていた。
クリシェもサリアも何が起こったかは分からなかったが、たぶんシェリルがなんか「やらかした」らしいとは思った。
しかし二人ともが一切言葉には出さなかった。
当のシェリルはというと全くお構いなしに考え事をしていた。
(なんという威力なんだろう……
この技に『聖なる光の暴力:セントバイオレンス』という名を付けよう
ただし人前で使うとまずい気がするので秘密の技ということで胸にしまっておこう)
そんなひと騒ぎがあったのだが、その日の授業終了後クリエナは夕方に再度バザールへ行くことにした。
もちろん目的はカーミラに会いに行くためだ。
ところで、その後もシェリルは、強力なその力を捨てきれなかったのだろう。
そこでシェリルは城を抜け出してはこっそりと人目に着かない所で練習をしているらしい。
もちろんシェリルは力を相当押さえているようなのだが……
王城の側の森の中に最近大きなクレータが出来た場所が数か所あるという噂が立っていた。
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